Emptiness

空っぽ。
だったらこれからうめていけばいいじゃない。

自虐的

2006-08-29 03:20:48 | Weblog


 そういうことを言ってしまうのはやはりやめておこうわたしは弱いだけだああそうだもっとわたしがしっかりすればよかったそんなことなかったのにななんかな謝ることは簡単だけどきっとわたしはまた繰り返すんだからもう二度とやらないぐらい強くなったらわたしの全身全霊で受け取ろうそうしようそうだそれがいい。

 つまりは私が悪い。それだけだ。他には何もない。遠ざけることしかできないのに離れられるのは怖いんだ。身勝手。無害になれたらと思うのに結局はそうあれない自分しか見えない。そんな自分が割りと嫌いでないことも苛苛の原因だ。

 面倒ばかりを産む両腕は切り落として猶欠片を集める。 


コマを早送る

2006-08-28 10:04:29 | Weblog



 残念だが、自分を救ってやることは、できない。

 
 いつだって。長い言葉を吐き出せば喉が詰まる。痛ましさに目をくらませれば痛みは引いていく。いつだってそう。もはや何も残りはしない。

 
 何も残らない。
 それまででしかもうない。

03. なんで君は普段通りなの?

2006-08-18 00:23:14 | Weblog


 と、言われましても。
 べつにキスひとつしたからって、関係がなんらかの変動を起こしたわけじゃないから。それは、こうなることはわかってたでしょ。付き合ってるならね。
 でもどうやら僕のかわいい彼女はそこんとこが納得できないらしい。相変わらず。ずっと見てきたから知ってるけどね。純粋なの。
「可南子」
 僕はとりあえず、彼女の名前を呼んだ。けれど彼女はこっちを向くことなく、教室の一番後ろ、僕の席にひざを抱えたまま座っている。今は放課後で、教室には僕ら二人きり。昨日の帰りにおもいきって唇を奪ってから、初めて君と言葉を交わした。
 同じクラスなのに、おかしいでしょ。
「なあ、可南子ったら」
 僕は可南子に歩み寄る。机が僕の身体に当たってがたんと音を立てた、その音にさえ反応する君。ねえ、それなのに二人っきりでひとつの部屋なんかにいてもいいの。
「顔上げてよ」
「いやだ」
「なんでさ」
「…はずかしいじゃん」
 そういう可南子の顔が赤くなったのは、決して夕刻のせいではない。何、それ。君の方がはずかしいじゃないか。むずかゆい感じ。
 好きだったら一緒にいたいし手もつなぎたいでしょ。
 それと一緒で抱きしめたいし唇だって寄せたいじゃないか。
 けれどそれをはずかしがって顔を真っ赤にしている君を見ながら僕がはずかしい。これってずいぶん変な悪循環だな。
「可南子」
「…」
「ちゅーしよっか」
「…っ、瞬、」
 僕が投げかけたことばは予想通りに君の顔を上げさせる役に立ち、僕は真っ赤になった彼女の顔を世界の誰よりも近くで拝んだ。そっと離した唇をなめると、可南子のつけているリップクリームの味がした。
「いちご味」
 そうだ、そんな顔をして僕を見つめる君がまるで甘い苺みたいだよなんて、そんなくさい台詞が浮かんで一人で照れる。
 そんな放課後。


02. 最後に笑い合った日を想う

2006-08-18 00:00:24 | Weblog


 つぎはぎをして、結局つながることのなかった明日についての記述。


 明日の今頃には、君はもういないだろうから、俺のこの陳腐な独白も君が持っていかなくてもいいわけだ。明日には君は戻るから。安心していい。俺は君がここにいる間はひとつとして弱音をはかないことに今決めた。だからもっと気楽に俺の背中を見ていてくれないだろうか。
 君と出会ったのはもう五年も前になるのか。早いな。もっともっと最近のことだったようにも思えるし、あるいは全く遠い出来事だったともいえる。それは君といることが俺にとっては当たり前以外の何ものでもなくて、それだけで満足してしまうような、平然と流れる時間と同等のような感覚がしていたからだ。
 君はあの日、照りつけるような暑さの中でそこにいた。校庭だった。まき水をするまでもなくうだった気温が脳も体内もいかれさせた頃、君はいた。
 俺は覚えていない。君があの時なにを話したのか。俺の確かな記憶にあるのはただ、君の腕がひどく細く白かったことだ。灼熱の太陽の下で、それはかなり異質のように、そしてふれてはならない神聖な出来事のようにさえ思った。
 ああそうだひとつだけ思い出した。俺は君に質問をした。
「こんなところでなにをしてる、お嬢様」
 ああ、許してほしい。それは当時の俺からしたら相当な皮肉だった。俺は君という存在を誤解していたんだ。けれど君は嫌な顔ひとつせずに答えた。返答は単純明快だった。
「散歩です」
 君は白く澄んだ顔を、ちいさくゆがませて言った。

 それから俺と君の交流は始まったのだけど、それらが君にとって有意義なものであったという保証はない。校庭の端、陸上部が使う水道の脇を君が通るその五分ほどが俺と君に与えられた唯一の時間だった。俺はあのころ、今よりも足りない頭でいまよりも速いスピードを出して物事を考えていた。しかし導きだした思考などたいしたものではなかった。そして君を絶望や呆れさせるためにしかならなかった。
 けれど君は優しかった。だから俺の言葉を決して否定したことなどなかった。
「今日は暑いね」
「そう、ですね」
「飯食ったの、」
「今日は、まだ」
 そういう、他愛もないことばかりをつむいだ。それしかできるすべはなかった。感情がことのはに乗る、という作業を俺たちはまだ完全に理解することなどできなかったし、君が何よりそれを望んでいないようであった。
「お嬢様」
「はい」
「いいの?戻らなくて」
 とある夕暮れに、君は家に戻ろうとしなかった。水道の蛇口をひねったり閉じたりしながら、君は群青色に落ちていく日を見つめていた。風が君の白くて長いスカートをすくっていった。
「もうどうせ、戻れませんから」
 君はそっと、笑った。初めて会ったときのような、小さな笑顔で。
「ここにはきっと、もう二度と」
 何よりも僕が驚いたのは、ここが君にとって戻るべき場所であったこと、それこそだった。君はそうやって、声を枯らすようにして叫んだことなどいまだかつてなかっただろう。しかし、その発言は、大音声と同じぐらいの威力をもって俺の心に焼きついた。
 そうだそれだって、君がどんな思いで言葉をつむいだのかなどわかるはずがないから、俺の勝手な言い分だとおもって聞き流してくれないか。今だけだ。俺たちは、織姫と彦星のようなものだろう。一年のうちの何日かだけをそっと背中合わせに過ごし、声を聞くことも、思いを伝えることも直接にはないまま、君の存在だけを感じるのだ。つまり、それは君という存在に俺がとらわれているということでしか、本当はないのかもしれない。しかし、胸の中にある君の面影がこの時期になるとざわつくんだ。
 だから思い出す、色々なことを。
 君の腕を初めて掴んだときの手ごたえのなさだとか、初めて頬をかすめた唇の感触だとか、お嬢様、と俺が呼ぶときに本当はほんの少しだけ眉をひそめていることだとか、思いが募れば募るほど思い出す。それらが思い出す何かになってしまったこと自体が俺にとってはすでにつらいことなのだ。思い出すのは過去以外にはありえないので。
 君は明日、ここから旅立つ。この世界に俺を置いていく。そうしてまた来年の真夏の日、僕の背中に帰ってくる。だからずっと覚えていよう。君のぬくもりを。君の声を。姿を、形を、ちいさなからだにほとばしっていた生命の息吹を、君を包んでいた何もかもを。
 そうして確かにそこにあった、君という人間を。



○お盆のはなし。

01. 背を向けた夜

2006-08-17 23:26:05 | Weblog


 君の背骨の骨格だけが僕の肌に触れていました、夏。

 それは、そこはかとなく、君に伝えたいことばの数々を飲み込んだ僕と君への距離をまざまざとあらわしている気がしました。どんなにことばをつむいでも君に結局は肝心なことなど何一つ言えず、そのまま、息苦しいようにもがくだけなのです。夏の夜は息苦しいのです。ひとつしかないベッドの上で、互いの体温から存在についてを学びました。その温度だけ、君は確かなものになるのです。
 君の足先は、手のひらは、とても冷えていて僕には信じられない思いでした。合わさった背中から感じる息の音、むずかゆくさせる君の長く伸ばした髪の毛、それから、うすいふとんひとつの中に一緒になる何らかの幸福の一種、それらは、それらこそが僕にとっては何よりもかけがえのないひとつであることを知る証になりました。いつだったか、君の頬にはじめて触れたときも同じことを思っていました。声よりも大切な何かについては常々考えていましたが、ここまで長らく思い続けるものに出会ったのは初めてでした。僕は飽きっぽいのです。一所にとどまることができないのです。
 君の背中の体温を感じながら、長い長い息を吐きます。部屋の中は静かです。君の寝息がたしかに聞こえてきます。そのうしろから、冷蔵庫の息や、窓の外で、バイクが走り去る音が、意識を拡散するようにぼんやりしていた僕の頭におだやかな音色を立てるのです。そうして僕は君の存在だけを深く深く感じながら、他の何にもじゃまされることのないこの小さな部屋の中で君の夢を見るのです。

 それが僕と君の夜です。


お題予定

2006-08-17 23:01:19 | Weblog
◆ 歩み寄る2人の為のお題

01. 背を向けた夜
02. 最後に笑い合った日を想う
03. なんで君は普段通りなの?
04. せめて挨拶はしようよ
05. 困ったように微笑まないで
06. どうしたって変わらないもの
07. 抱きしめたかったのは
08. 踏み出した一歩
09. 懐かしい距離
10. 今更だけど言わせてよ


衝動がついていかない

2006-08-10 23:50:20 | Weblog



 誰かを傷つけることに意味はない。
 つながっていることさえ。
 しばらくは声を出すことも忘れて、誰かとのつながりを全て絶ちたい。
 
 ばいばいを言えたら。

 ただひたすらに、閉じて、そうしてそのさきに、何も伝わらない感情他、諦めの境地に立つじぶんを見つける。



 つながることを恐れる。何もかも、もういらない。

早くなくなってしまえばいいのに

2006-08-07 21:27:29 | Weblog


 体温など。
 私の奥底にある醜い欲を掻き立てるほどにしか用はないのだ。だから背中にしがみつくこの手のひらを切り落としたくて仕方がなくなる。望まれていると分かるからこそ、それでいて相手との距離を近づけることができないからこそ、私は腕を上げる。
 手を繋いでも何もつながることなどないのである。誰も知らないのかもしれないが。
 つまりは独りよがりで停滞しているものばかりが残る。






 本当に書きたいことなんかもうどこにも残っていない。そんな力はどこにもない。消えればいいのは私で、言葉ではない。
 もうやめたい。

うつろげに 時は

2006-08-07 21:21:37 | Weblog


 ただ、あなたのとなりにいられたらいいと。

 願えるはずがない。
 懇願。


 どうか私をおそばにおいてはくれないでしょうか。





 あなたのてのひらが私の心臓をえぐっているのなら本望でしょう。
 



 どんな言葉も
 価値を持たぬままそのへんで浮かんでいるだけ。
 何もないから持つ必要すら得られないだけ。
 ただ、あなたにとっての私が価値を得ることができるかどうかだけが重要である話。
 
 虫の音。
 虫の息。


 やわらかい脳はいつかつぶされてくるって落ちる
 だからその間の小さな部分で自分を守っていなければならぬだけ

 



 孤独に追い立てられる

 そうなれば、すなわち虫の息







 今すぐ鼓動など消えてしまえばいい。


割と 死ねば いい

2006-08-07 21:15:08 | Weblog


 存在する自我と或いは了承の先




 早く眠ったらいいじゃないか、と、サクは言った。
 何をまどろっこしいことをしているんだ。眠ることなんか簡単だ。目を瞑ればいいんだ。それだけ。やがて命の先が眠る方向に向くのだから怖いことなど何もないはずだ。だから大丈夫。絶対に大丈夫だから。
 僕はサクの横顔を見ながら考えた。サクは何を考えているのだろうか?大丈夫であるはずがなかった。眠ってしまったら命が減るだろう。血と一緒に生命のあらゆる作用が流れ出てしまうだろう、どうしてサクはそれを知らないのだろう。いや、むしろ、知っていて目を瞑るのだろうか。そうだとしたら、サクは、本当に眠りたいのかもしれない。
 
 サクがきれいな顔をして笑った。
 僕はゆっくりと、サクをにらみつけた。
 




 ◎何を書いても出て行かないな。