Asakaic Racords 〜浅堺加奈のブログ〜

長編はnoteに短めのものはこのブログ上で公開して行くつもりです。

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

8.(収束する終息 第2話)

2017-01-30 14:05:05 | 長編:収束する終息 第2話
十三原の家に行くといっても再び対面するのは避けるらしい。事情を聞くには母親と話すのが先決だが、同級生でもない僕らが話を教えてほしいといっても「警察には何も話さないようにと言われてい。ますので」と軽くあしらわれた。
どうするものか、と十三原の家を少し離れて窺っていると全くこの件に関係のないような人物が話しかけてきた。
「お兄ちゃん何しているの?」
あまりの不意打ちに飛び上がってしまった。そして冷静に。
「それと、陽さんですね。兄からは話を聞いています。これ以上連れ出すようならお兄ちゃんを家から出ないように縛っちゃいますよ?」
陽はそんな妹の挑発を受け流し「どうも」とだけ伝えまた十三原の家を見る。
「それで、お兄ちゃんどうしたのみ~ちゃんの家をずっと見て」
「み~ちゃん?」
「さっきからお兄ちゃんたちが見ている家に今から遊びに行くの。み~ちゃんのところに遊びに行くって朝に言ってるでしょ…あ、お兄ちゃん今日いなかったね」
まさかこんなところでチャンスがつかめるとは思わなかった。
「なあ、陽。聞いたか?」
「これはいいかも」
二人の考えることは一致しているだろう。
「ねえ、お兄ちゃんからのお願い一つだけ聞いてくれるか?」
「わかりました、じゃあ。後で膝枕で頭なでなでしてね?」
かなり無理難題だが、ここはうんといっておこう。
「そのみ~ちゃんという子に少しだけ合わせてくれないか?」
「わかりました〜じゃあとりあえず一回頭なでなでして!」

み~ちゃんというのは本名十三原美樹という。妹と同じ中学に通い、一緒のクラスらしい。すごく恥ずかしがり屋らしく玄関で僕らを見るなり泣き出しそうな顔をして困らせた。
「み~ちゃんよく見て、前に写真見せたことあるでしょ。ほら私のお兄ちゃん、とその友達」
「…うん」
いつも頼りなさそうな僕の妹もこの十三原美樹の前ではとてもしっかりした子に見える。兄として少し安心した。しかしこれ以降はかなり極秘なので妹には席を外してもらった。
陽は早速本題に入ろうとする。
「あなたのお兄さんの昨夜の様子から今朝の様子を教えて下さい」
「…わかりました。…でもなんでお兄さんたちは私の兄のことを調べるのですか?」
かなり不安がっている様子なので嘘はつかない方がいいと思った。
「本川誠って知っていますか?」
「…はい。兄とよく遊んでいました。家にもよく来ていたと思います」
「彼が失踪したのです。原因はいじめ、私たちは仲良くしていた真君にその影響が来ないようにしようと思っています」
大分違ったことを言っているが、十三原美樹は信じてくれたようだ。
「…そうですか、それなら言いますね。実はここ最近兄はよく母親とけんかして、というか母親が1人で怒っているだけですが、夜家を出ていくんです。黙って…」
そして昨日の様に力を使い殺人をしていたわけか。それだけなら僕らにも予想できたが
「…そして朝になる前には家に帰ってきて、朝ご飯を食べる頃には夜とは別人のようにいつも通りにしてるんです」
それは奇妙だ。
「陽、これって一種の記憶喪失になるのかな、朝になれば夜自分のしていたことを忘れている感じで。夢遊病とか」
陽は首をひねる。どうやら僕の意見が合っているわけではなさそうだ。
「お兄さんはそんな黙って家を出るような人なの?」
「…いえ、あんな反抗的な態度は初めて見ました」
ふむと、頷き。
「ありがとう、大体はわかりました。夜お兄さんを追ってはダメですよ」
「…はい。兄をよろしくお願いします」
「因みに今日はお兄さん何処に?」
「…図書館で勉強してると思います」
「ありがとう」
僕は妹を呼び、時間を取らせたことを詫び、図書館へ向かう。
「結局何がわかったんだ?」
「表面的なことだけど、恐らく十三原は夜の間自分の意識はないと思う。操り人形のような感じだ」
「じゃあ無意識の内に殺人を犯し、昨日は僕らを殺そうとしたのか?」
「そういうことになる。だから昼の内に手を打とう」
要するにこうだ、昨日の戦闘で十三原は視界に入った空間を操ることができると思う。だから昼の間に目隠ししてしまえばいい。というものだが十三原が夜中の状態の時にはそうするのは至難の技、だから日中にしてしまおうということだ。
「そんな簡単にいくものなのか?」
「恐らく…取り敢えず図書館に行こう」
陽は携帯を取り出し。
「猿飛、図書館に来てくれ」
十三原は確かに図書館にいて自習していた。彼の学校にいるどうしようもない輩とは一線を画す存在であるようだ。
「じゃあ待ってて」
それだけを言い陽は十三原に近づく。そして足音一つ出さず、気配をなくして十三原の後ろをつくと。手刀でうなじを叩き、一瞬で気絶させた。そうすると僕を呼び2人で十三原を外へ運び出す。外では既に猿飛さんが待っていた。
「陽様彼を我が家に連れて行くのはわかりますが、どうなさるおつもりですか?」
「取り敢えず縛って地下室で寝かせておいてくれ、あと視界を遮るのを」
「わかりました、それでは帰りましょう」
葉の家に着いた僕らは何をするわけでなく、仮眠をとり、夜を待った。

(9.に続く)

noteではこちらになります。
ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 模試地獄 | トップ | マサオ君とゴミ箱(短編) »

コメントを投稿

長編:収束する終息 第2話」カテゴリの最新記事