浅井久仁臣 『今日の中東』

1971年のパレスチナ初取材から、30有余年中近東を見続けてきたジャーナリストが独自の視点をお届けします。

今日も続く悲しい出来事

2005年05月29日 | Weblog
 イスラエルとパレスチナの停戦合意後は、日本のマスメディアでほとんど報じられなくなったパレスチナですが、住民を巻き込んだ悲劇は今もなおほぼ毎日続いています。  西岸自治区をずたずたに分断する「隔離壁」やあちこちに設けられた検問所はまるで大きな収容所の様相を呈しています。その「収容所」の中で、パレスチナ人たちは仕事や学校に行くのもままならず、さらにイスラエル占領軍による日常的な嫌がらせを受けて苦しん . . . 本文を読む

ファタハとハマースが共同委員会

2005年05月29日 | Weblog
 最大与党のアル・ファタハと過激な作戦で有名なハマースのリーダーが27日に会談、両組織が自治区に広がる緊張と選挙を巡る論戦に終止符を打つために委員会を設置すると発表しました。  この話し合いは、エジプトの仲介によるもので、和平への第一歩として期待を持たせますが、これで一挙にハマースが軍事路線から政治路線に転換するというものではありません。両組織は、他の組織に対しても委員会へ参加するよう呼びかけまし . . . 本文を読む

レバノン総選挙

2005年05月28日 | Weblog
 ハリーリ元首相の暗殺に端を発したシリア軍撤退要求は、国際的圧力もあり、シリア政府が30年振りに全面撤退をしたことで、一応の収まりを見せました。しかし、岐阜県ほどの大きさのレバノンに18もの宗派別組織が存在し、それもそのほとんどが武装している異常事態は、その後も政局に影響を与え、不安定な状態が続いています。  そんな中、29日から国民議会の総選挙が始まる予定です。128議席は、キリスト教とイスラー . . . 本文を読む

アッバース大統領、ブッシュ大統領と会談

2005年05月27日 | Weblog
 訪米中のアッバース大統領は26日、ブッシュ大統領と会談、間もなく共同記者会見に臨む予定です。  アッバース氏は、日本や中国、インドなどを歴訪、危機的な財政赤字に苦しむ実情を訴えてきました。ブッシュ大統領は、ここ2年間で送った4000万ドル(約50億円)に加え、議会選挙を控える今年度に2億7500万ドル、来年に1億5000万ドルを約束したと伝えられています。  それに加えて、和平へのロードマップ( . . . 本文を読む

イスラエル軍、ガザの村を20日間封鎖

2005年05月26日 | Weblog
 イスラエル軍は25日、ガザ地区中央部にあるカララ村の住民に対して、向こう20日間の外出禁止を言い渡しました。この地域ではこれまでカサフィム入植地道路とアブ・ホリ検問所のためにパレスチナ人の土地が強制収用されてきており、その道路整備に伴なう治安維持の必要性から取られた措置だと思われます。  そんなことに、住民の自由を20日間も奪うのかと思われるかもしれませんが、こういった外出禁止令は日常的に布かれ . . . 本文を読む

ローラ夫人、イスラームの聖地訪問 近付く少年に銃口

2005年05月23日 | Weblog
 アメリカのローラ・ブッシュ大統領夫人が中東諸国を歴訪中です。アメリカの中東におけるイメージアップを図るための旅だと言われていますが、逆効果になっているようです。  22日にはエルサレムを訪れ、イスラーム教とユダヤ教両方の聖地に足を踏み入れました。イスラエルとアメリカの厚い警備陣に守られたローラ夫人は、まずユダヤ教の聖地である「嘆きの壁」を訪れ、中東和平への願いを込めた紙切れを壁の隙間に押し込みま . . . 本文を読む

アラファトが忘れられない-外務省のホームページ

2005年05月19日 | Weblog
 アッバース大統領来日を契機に、何度か外務省のウエブ・サイトを覗いてみました。その時気付いたのは、外務省の役人の怠慢です。パレスチナのページが古い情報のまま放置されているのです。  例えば、パレスチナの「最近の動向」「我が国の支援」は2000年のものが最後です。「政治関係」「人的交流」の情報は2002年のものです。経済指標は、2000年から2002年の間の数字です。  PLO執行委員会議長に故アラ . . . 本文を読む

イスラエル、停戦後初の空爆

2005年05月19日 | Weblog
 イスラエル軍は18日、ガザ地区のハーン・ユニスの住宅街を空から攻撃、ハマースの活動家一人を殺害しました。イスラエル軍の空爆は、2月の停戦合意後初めてのものです。  イスラエル軍はこの攻撃を、グシュ・カティフ入植地へのロケット砲攻撃への報復と位置付けた発表をしました。しかし、その入植地へのロケット砲攻撃がイスラエル軍によるハマースのメンバー数名殺害に対する報復とハマースは発表しています。  これは . . . 本文を読む

命をかけてパレスチナ人を守る人たち

2005年05月17日 | Weblog
 テルアヴィヴのベングリオン国際空港に飛行機が到着すると、タラップ(滑走路に降りる階段)車が飛行機に横付けされます。タラップの上から見下ろすと、下には目つきの鋭い男女が立ち並んでいます。それら男女は、タラップを降りてくる乗客の一人ひとりの「品定め」に余念がありません。  目星を付けられた乗客は列から離れたところに連れて行かれ、訪問目的、訪問先(特にパレスチナ自治区に行くつもりがあるか)、現地の友人 . . . 本文を読む

小泉さん、次の狙いはノーベル賞?

2005年05月17日 | Weblog
 来日中のアッバース大統領は16日、小泉首相や岡田民主党代表などと会談しました。  小泉首相はアッバース氏を官邸に招き首脳会談、まずは社会資本整備などに1億ドル(約107億円)を支援するとした後、パレスチナ国家樹立を目指す新和平案(ロードマップ)実現に向けた全面協力を約束すると共にイスラエルのシャロン首相を交えての三者首脳会談を提案しました。  これに対してアッバース氏は、ハマースなどの急進派組織 . . . 本文を読む