浅井久仁臣 『今日の中東』

1971年のパレスチナ初取材から、30有余年中近東を見続けてきたジャーナリストが独自の視点をお届けします。

レバノンに停戦は訪れるか

2006年08月14日 | Weblog
 即時停戦とレバノン南部への国際部隊の投入を決めた国連安保理決議を、イスラエル、レバノン双方が受け入れたことで、1ヶ月近く続いた戦闘が間もなく(14日のグリニッジ標準時間午前5時)をもって休止されることになった。

 戦闘は週末も続き、双方に新たな犠牲が出た。ただ、先週末は、イスラエル側、特にレバノン領内の占領軍に被害が目立ち、土曜日だけで24人のイスラエル兵が戦死している。時間を追って増強された地上軍は、今や3万人になったが、いっこうに戦況はイスラエルに傾くことはない。そんな不利な戦況も影響したのだろう。遅ればせながら、イスラエルでも市民によるレバノン侵略反対運動が始まった。

 今回の一連の安保理決議に関わる報道を見ていると、15,000人の国際勢力兵士がレバノン南部のイスラエルとの境界線沿いに送り込まれるから停戦監視が上手く行くかのように報じられているが、停戦はそんなに簡単なものではない。一般的に言って停戦に関しては、破られる可能性の方が高いと見て良い。かつての「レバノン内戦」では、あまりに停戦の回数が多く、確か200回位までは数えられていたが、その辺りから誰も数えることはしなくなった。これまで何度も行なわれた国際軍の派遣も、一時的に効を奏したが、しばらくすると「元の木阿弥」になった。

 今レバノンに駐留するUNIFIL(国連暫定軍)もその一例で、78年に停戦監視軍として送り込まれてきたものの、まともに機能したところを見たことがない。だから、レバノンの人たちは今回提案されている国際軍に期待を寄せる者は数少ない。
従って、民衆も今後の戦局に楽観的な見通しを立てられず、避難先で不自由な生活を強いられることになる。

 戦局と言えば、イスラエルの陸海空三軍を挙げての大規模な戦闘の前に、開戦当初は「ヒズボッラーが駆逐されるのは時間の問題」としていた評論家が、時間を追って発言を修正、今では「イスラエルの負け戦」とまで言う者もいる。本当に、この評論家といわれる連中の情報分析の甘さにはいつもの事ながら呆れてしまう。彼らの多くは、英米のTVや新聞・雑誌を読んで「横文字を立てにしただけ(つまり、英文記事を日本語にしている)」のコメントを平気で口にする。対イラク戦争が始まる時も、彼らの多くは、欧米のマスコミの受け売りで、楽観論を振り撒いていた。マスコミはそんなコメンテイターをいつまで使い続けるのかと思うのだが、人材不足は否めない。信頼に足らないと知りつつも彼らに頼るしか術はない。

 たまらないのはそんなコメントを聞かされる視聴者や読者だ。そんな解説を聞かされ続ければ、知らぬ間に、国際問題の本質を見失ってしまうことだって考えられる。そうしてまた、この問題は日本人の話題から消えていくのだ。

 
 
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安保理決議 コメンテイター イラク戦争 レバノン内戦 グリニッジ標準時
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