東京さまよい記

東京をあちこち彷徨う日々を、読書によるこころの彷徨いとともにつづります

新江戸川公園~幽霊坂

2010年12月25日 | 坂道

新江戸川公園 池 豊川稲荷の先を進むと、行き止まりになったので、引き返し、もとの道を左折し、次を左折すると、新江戸川公園の入口が見える。これまでこのあたりには何回かきているが、この公園ははじめてである。

公園内に入ると、中央に大きな池があり、その周りに散歩道ができている。散歩道を進むと、小さめの池が続いており、そのわきに紅葉が残った樹木がある。ことしの秋は、紅葉狩りには出かけなかったので、思わずここで遅れた紅葉見物ができた。

文京区HPに次の説明がある。

「細川家下屋敷の庭園の跡地をそのまま公園にした回遊式泉水庭園です。目白台台地が神田川に落ち込む斜面地を活かし、変化に富んだ景観をつくり出しています。湧水を利用した流れは「鑓り水(やりみず)」の手法をとりいれて、岩場から芝生への細い流れとなり、その周辺に野草をあしらっています。 新江戸川公園 山 池はこの庭園の中心に位置し、広がりのある景観をつくりだし、池をはさんで背後の台地を山に見立てています。その斜面地は深い木立となっていて、池に覆いかぶさるようにヤマモミジやハゼノキの一群が、秋には真っ赤に紅葉した姿を水面に映し出します。山に続く園路は深山の中の自然の尾根道のようです。所々に開けた空き地があり、ベンチが置かれています。もともとそこからは、木々の梢の間から池や低地の町並みを見渡せるようになっていましたが、木の生長とともに森の中にいるような雰囲気となりました。」

上記の説明のように、この公園は池のある低地とそこから台地に向かう斜面につくられているので、上下する散歩道もあって、池のわきから上ると、山道のようで、山の雰囲気がしてなかなかよかった。都心で山にいる感じがするところはそんなになく、貴重な場所である。

上の方に水がかなりの勢いで流れ出ているところがあったが、これはポンプで池から汲み上げて強制循環させているのだろうか。

幽霊坂下 公園から出て右折し、ふたたび台地に向かう。まっすぐに進むと、やがて上り坂となって、車止めの先で左に目白台運動公園の入口があり、写真はそのちょっと先から坂上を撮ったものである。ここが幽霊坂である。近くの日本女子大学の西わきにもう1つ幽霊坂があるが、ここは台地から南に神田川方向へと下る。

両わきがコンクリート塀で狭くなった坂道が続いている。ちょっと薄暗くなってそういう雰囲気がなきにしもあらずである。以前きたときは、落葉の前であったのか、もっと暗かったように思う。樹木が伐採されたのかもしれない。

説明板がないので、横関、石川、岡崎を調べたら、いずれも大学わきの幽霊坂はのっているが、こちらはのっていない。山野には次のようにある。

「和敬塾を左折して進むと幽霊坂に入る。大きな古木が両側に茂り、緑のトンネルの中を下っていく。いつ訪ねても薄暗く、ひんやりとしている。静寂の中で小鳥の声だけが響き渡る。坂下は新江戸川公園だ。」

幽霊坂途中 尾張屋板江戸切絵図を見ると、小笠原信濃守の屋敷と細川越中守の屋敷との間に台地から谷へと続く道筋が見えるが、これが現在の幽霊坂であろうか。上記のように、細川家屋敷の庭園の跡地がそのまま新江戸川公園となったとあるので、位置的にはあっている。近江屋板にも同様の道筋がある。

上記の道筋は明治地図には見えない。戦前の昭和地図にも見えないが、台地側に細川邸がある。ここが、旧細川侯爵邸で、昭和11年(1938)細川家16代護立が建てた昭和初期の代表的華族邸宅で、現在和敬塾本館となっているとのこと。

念のために昭和31年の東京23区地図を見たが、これにもどうものっていないようである。ということで、この坂は、比較的最近にできたものらしいが、江戸切絵図にはあるので、百年もたってから、ふたたび同じような道筋ができたのであろうか。そうならば、江戸時代の坂が幽霊のように復活したといってもよいのではないか(と勝手なことを思ってしまう)。

幽霊坂上 上記のように、この幽霊坂は比較的新しいようであるが、その暗がりの雰囲気は断然こちらの方がその名にふさわしくなっている。都内には同名の坂がたくさんあるが、すべてを比較したわけではないものの、現在の状態で比べると、ここがもっともその名にあっているのではないか。
(続く)

参考文献
横関英一「江戸の坂 東京の坂」(中公文庫)
山野勝「江戸の坂 東京・歴史散歩ガイド」(朝日新聞社)
岡崎清記「今昔 東京の坂」(日本交通公社)
石川悌二「江戸東京坂道辞典」(新人物往来社)
市古夏生 鈴木健一 編「江戸切絵図 新訂 江戸名所図会 別巻1」(ちくま学芸文庫)
「切絵図・現代図で歩く江戸東京散歩」(人文社)
「古地図・現代図で歩く明治大正東京散歩」(人文社)
「古地図・現代図で歩く戦前昭和東京散歩」(人文社)
「古地図・現代図で歩く昭和三十年代東京散歩」(人文社)

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