らくが・・・浅井まさのぶ&(広岡球志)

女房が他界して思いついたのが
遺書代わり 私の半生をエッセイと
漫画仕立てで構成してみました・・・

らくがき(昭和ロマン)五十一

2016年10月02日 07時40分27秒 | エッセイ
あくる日取りあえず彼女を連れて貝塚さんの所え挨拶に行きました「今度は、本当みたいだね」
彼女が怪訝そうな顔をして
「誰かほかにも連れて来たの?」
彼女が尋ねてきました、マズいと思ったのか貝塚さんが
「こう言う事は早い方が良いヨ役所に届けを出した方がサ」
「ところで・・・」
「これから吉沢君〔ど根性がえる〕の所に行くんだけど行ってみる?」
私と彼女は、貝塚さんを交え吉沢し御夫婦と懇談
その足で彼女に連れられ役所に行き手続きを済ませました
【1972年〔昭和47年〕11月6日(結婚)】
晴美さんには悪いと思いました結婚式も祝い事も無し何ですから
「貴方最初から嘘をつきましたね」
「えっ嘘なんかつく訳無いでしょ、どうしてそんなこと聞くのさ」
「だって私には、二十九歳と言ってたじゃない結婚届には、三十歳と書いてたじゃないの」
「一歳くらい良いじゃン」
「でも君が二十三歳だとは、驚きました随分と若いんでサ 七つ歳下ですか…」
晴美さんは、妹さんに報告をして部屋を出るけど、どこか別な場所に引っ越しをしたいと言ってきました
「残りの原稿が有るからその仕事が終わったら一緒に探そうか?」
「大丈夫私が探しておくから貴方は、落ち着いて仕事をしていいわよ」
二日ほどして晴美さんから連絡が入り次のアパートの場所は保谷市下保谷と言うでは、有りませんか、
既に晴美さんの荷物は、部屋に入れたとの事
「やることが手早いなァ」
変更したくてもできやしない
保谷と言えば大泉の手前の駅、西武池袋線池袋方面からまたひとつ遠くなりました。
彼女が探して決めた物件、仕方ありません、
大泉の大家さんにこの事を報告すると大変残念がられました。
私も仕事が落ち着いたので荷物をまとめ保谷のアパートに荷物を運びました
部屋には、晴美さんの荷物が有ると思いきや何もありません
「あれ?まだ荷物が入ってない」
と思い襖を開け次の部屋を見てみると小さなお仏壇がいっこポツンと置かれていました
「へぇ~若いのに結構信心深いんだ」
私は、素晴らしい人と結婚できたことを、心から嬉しく思いましたネ
部屋も片付き、二人で大泉で食事をしようと言う事になりブラリ。
食事を終えそれから喫茶店に入り席に着くと
彼女の後ろの席に座っているサングラスを掛けた男性が私の顔をみて
サングラスを外しながら席を立ちそばまで来て頭を下げ
「ご無沙汰です、この辺にお住みなんですか?」
私には、全く見覚えがありません
「ぁ覚えてないかもしれませんが俺練馬のセブンで……」
そこまで聞いたら思い出しました
挨拶もそこそこ晴美さんが手を引くので店を出ました、
電車の中で
「二度とあんな連中と付き合わないで下さい」
叱られました、
「部屋に戻ってもう少し片付けするから」
「それじゃ俺 本屋さんによって帰るよ」
私は、本屋さんの帰りに喫茶店に入りコーヒーを頼み 丁度お手洗いの脇の席を見ると
「あれ?もしかして武さん《鈴木良武》虫プロダクションはもう退社ですか?」
「奇遇だね保谷に住んでるの?」
武さんに今までのいきさつを話すと
「あそうですか、それは、おめでとう御座います」
鈴木良武さんとのお付き合いも三十数年今だに続いています……
部屋に戻るとおおかた片付いていました、晴美さんが慌てた様子で
「さっきから出版社から電話が鳴りっぱなしですよ」
「また読み切りの依頼かなァ そろそろ連載を取らなくては、結婚生活できないよ」
電話を入れると、どうやらビンゴ”連載の話らしい、〈芳文社の週刊漫画〉 結婚早々ツイテマスね、
そこえ、また電話今度は、何だ?
電話の内容は、私が一番気にしていた練馬のツケ、〈冷汗がタラタラ〉 ママから支払い催促である、
私が十数年近く溜めている借金の事、晴美さんには、話せませんどうしよう、恐る恐る
「どれだけ残ってました…?」
「ママさんがちょっと待っててネ」
紙をめくる音がしていますその間私の心の臓がバクバク倒れそう
だって一千万円近く溜まってるンじゃないかと思うと心臓が口から飛び出しそう
「それじゃ言うわね ええとォ 二千五百円残ってるンだけど」
私は、耳を疑いました
「この前飲みに来た時のツケが残ってるのヨ」
私は、何度も聞き直しました。
「たった二千五百円直ぐに払って来なさいよ」
何も知らない晴美さんが言います
「それじゃ出版社に行ったついでに払ってくるよ」
ママには今晩持って行く約束をして 電話を切りました。
晴美さんが突飛な声を出して
「それより私の話を聞いてェ」
「さっき外で私の事、保谷のマリリンモンローみたいだって言われたのょ」
     
      ついているときは、続くもので仕事も順調……結婚万歳

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