駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

「近代天皇論」を読む

2017年02月12日 | 

         

 本屋に行かなければ恐らく買うことはなかった本がある。片山杜秀と島薗進の「近代天皇論」はまさにそうした本で、ネットでは邂逅できなかっただろう、抜群に面白く優れた本であった。

 昭和史の知識が抜け落ちている世代の自分には、実は明治大正も昭和から遡って見ないと読み解けない歴史を持っていることがよく理解できた。歴史、殊に現在につながる歴史の解釈には都合というか立場が係わる傾向が強いので、お二人の対論にはアレルギー反応を起こす人達も居るだろう。しかし、私には特異現象のように捉えらられがちな昭和初期から太平洋戦争に突き進んだ日本が抱えていた病理がくっきりと浮かび上がるように見える気がした。戦後七十年を期に太平洋戦争に突き進んだ病根を拭い去ろうとする動きに対峙して、かき消すことの出来ない歩んできた道を振り返り刻銘に記録しようとする人達も居る。おそらく平成というのはそうした記録を留めるのに相応しい時代であり、漸くそれを踏まえて後ろではなく前へ踏み出す時なのだと意識した。

 これほど自由で建設的な日本近代政治思想史の解析は希だと思うが、一部を除いてさほど評価が高くないようだ。どことなく不都合なところがあるからだろうか。

 陛下のお言葉を聞いた人全てに、この本を読んでみることをお勧めしたい。霧が晴れるように理解できるだろう。

 

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