美術館にアートを贈る会

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市民と美術館の新しい関係の構築をめざしています。

サントリーミュージアム訪問(5/10) の記録

2009-06-06 18:32:00 | Weblog
★事務局の松本さんが記録をまとめてくださいましたので掲載いたします。


2009年5月10日 サントリーミュージアム[天保山]訪問

展覧会のお話:学芸員 大島 賛都 氏
美術館への一問一答:学芸部長 冨田 章 氏


1.サントリーミュージアムについて

――サントリーミュージアムの概要についてお聞かせください。
当館はギャラリー・シアター・カフェ・ショップの4つの側面をもつ複合施設で、ギャラリーとしては年5~6回の展覧会を行なっています。ロートレックやミュシャをはじめとするポスターのコレクションは約1万5千点あり、印象派以降の近代西洋美術も収蔵しています。年間の入場者数は20万から30万人ほどで、数年前から展覧会をデザイン中心からファインアートの分野を増やす方向へ少しずつシフトしています。

――サントリーミュージアムの強みは?
まずホワイトキューブであるということ。あとは海が見えるロケーションです。当館は展示場の途中にガラス張りで海が望めるスペースがあります。展示作品の多い展覧会を一気に見るというのはたいへんなものですが、途中で休憩することができるというのは大きな長所でしょう。

――私立の美術館としての強みはありますか?
自由でフットワークが軽いことです。「アトリエインカーブ」展の例があります。アトリエインカーブという知的障がいをもつ方の芸術活動をサポートする施設から、どうすれば展覧会が開けるかという相談を直々に受けました。もともと作品のクォリティを評価してそこのグッズを扱っていたということもあり、それなら展覧会を当館でやってもいいのではないかということになりました。当初予算には組まれていなかったので、予算はゼロからのスタートで一緒にお金を集めることを条件に、周囲の人間や上層部と相談して、半年後に実現することができました。こういった例は公立の美術館ではあまり考えられないことではないでしょうか。

――逆に弱みとなる点は?
ひとつは2フロアに分かれているので展示や鑑賞の際に若干の不便が生じることがあるという点。
またもう少し広さが欲しいですね。現在の天井高は約4メートルですが、現代美術を展示する場合には5メートルは欲しいところです。開館時にはポスターやデザインなどの展示を主として想定していたので、逆に5メートルでは高すぎたでしょうから、この辺は致し方ないところです。また作り付けの可動壁がないため、展覧会のたびに壁をつくらなければならず、その分コストがかかります。これは反面、レイアウトを自由に作ることができるという利点でもありますが。

――協賛金や助成金をもらうことはありますか?また寄贈は受け入れたことはありますか?
寄贈は原則的に受け入れはしていません。寄贈を受け入れるということには、きちんと活用し、永続的に保存していくという責任が伴いますので、簡単に受け入れることはできないと考えています。
協賛金や助成金は、展覧会によっては申請することがあります。

――六本木にあるサントリー美術館とサントリーミュージアム[天保山]との間で棲み分けはありますか?
サントリー美術館は近世以前の日本美術を中心に扱い、サントリーミュージアムは近代以降の西洋と日本の美術を扱っていますので、そもそも専門とする領域が全く違います。ですが、ガレ展や日本のやきもの展のようにサントリー美術館からサントリーミュージアムへ、またロートレック展のようにその逆など、巡回というかたちで連携はしているし、学芸員同士の交流もあります。紀要も共通で発行しています。


2.今回の展覧会「インシデンタル・アフェアーズ」展について

――今回の図録が四月末で売り切れたそうですが、それは予想を上回る入場者があったということですか?
予想を上回る入場者があり、図録価格を安く(800円)設定したこともあって4月末で売り切れました。

――逆に、思ったより人が入らなかった展覧会は?
たくさんあります。展覧会は本当にふたを開けてみるまでは、集客の予想がつきません。

――今回の展覧会のポスターなどのビジュアルは誰が担当しているのですか?
東京のデザイナーの方で、他にも大きな展覧会のビジュアルを手がけてこられました。今回の展覧会は「インシデンタル・アフェアーズ」展ですが、出展作家の名前からアルファベットを1文字ずつとって並べると、展覧会名になります。このデザイナーが発見したもので、すごいなと思いました。
ビジュアルは常に決まったデザイナーに任せているわけではなく、展覧会ごとに違います。


3.今後の活動について、その他

――若い作家と組んで、美術館の外で何かするというような企画は考えていますか?
今のところ展覧会に力をいれることを第一に考えておりますが、2006年からアートキャンプの会場を提供していて、若い作家たちの作品を館内のギャラリー以外のスペースに作品を展示しています。

――子供が美術館に訪れることについてどう考えていらっしゃいますか?
将来のお客様を育てるという意味で歓迎すべきことです。かつての学芸員は、分かる人にだけ来てもらえればいいという考えを持った人が少なくありませんでしたが、そういった考えも変わってきているように思います。
サントリーミュージアムでは、作家を呼んでのワークショップを開いたり、キッズ用のワークシートやキャプションをつくったりなど展示の工夫もしています。
サントリーは全社をあげてより多くの子供たちに芸術やスポーツに親しんでもらうための取り組みをしています。たとえばサントリーホールではキッズシートというのを設置しています。

――サントリーミュージアムの学芸員になられたきっかけは何ですか?
大学で美術史を勉強したのち、横浜そごう美術館に11年いて、その後、縁があってサントリーミュージアムに来ました。
学芸員というとおもに研究をやっているイメージがありますが、多くの時間を打ち合わせに費やしている点でプロデューサーやディレクターのような調整役のような側面が強く、そこがこの仕事の面白さでもあると思います。

――ありがとうございました。

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