美術館にアートを贈る会

アートが大好きな私たちは、
市民と美術館の新しい関係の構築をめざしています。

全国美術館会議 第43回教育普及研究部会でのレクチャー(ご報告)

2014-05-06 12:45:58 | Weblog
全国美術館会議 第43回教育普及研究部会 レクチャー(要旨)

日時:2014年3月13日(木)15:00-16:00 レクチャー
              美術館にアートを贈る会 副理事長 田中恒子
              17:00-18:00 質疑応答

場所:兵庫県立美術館 レクチャールーム
参加者:31名

全国美術館会議・教育普及部会は、全国美術館会議に加盟している全国の美術館の教育普及に携わる学芸員・研究員・専門スタッフにより構成された研究部会です。 年に2回の会合では美術館の教育普及活動に関するテーマを設け、そのテーマに即した専門家のお話を聞いておられます。
今回は、市民とミュージアムの新たな関係をテーマに、ミュージアムの大切な機能のひとつである「収蔵」をサポートする活動として当会の活動を紹介する機会をいただきました。
http://www.zenbi.jp/data_list.php?g=80&d=68



1) 美しい事がわかる大人へ
私は小学生のとき絵画教室へ通っていた。学校の授業と違って、そこでは絵を描くのがとても楽しかった。その先生曰く「ぼくは絵描きになってほしくて絵を教えているのではない。君たちが美しいとはどういうことか、わかる大人になってほしくて絵を教えている」。感動した。小学校5年生のときに聞いたその言葉が73歳のいまも忘れられない。いまだに、美しいとはどういうことなのかを追い求めている。教育のチカラはすごい。

2) 見方はいろいろあっていい
小学生たちが自宅のコレクションを見に来てくれたことがある。鑑賞の仕方が面白い。大人は立って360度ぐるりと見て回って終わり。ところが小学生たちは作品の廻りに寝転がって見る。名和晃平の「羊」の横に寝転がって「綺麗!ものすごく綺麗!」と叫んだ。見え方が違ったと思う。

高校生が鑑賞に来たときは、入り口で「今日見る作品の中でどれかひとつ買うとしたらどれを買うか?どれをもらうか?書いてください」という宿題を出した。鑑賞作文が後で送られてきてびっくりしたのは、全員が違う作品を書いていた。たとえば、「お腹がすいていたので、串カツがトラックに載っている作品を見て、お腹すいたと思った。私ならそれを買います」素直で面白い感想。
この方法は高校生以上の大人にも使えるのではないかと思う。

中学校の校長時代には美術の授業を特別に設けてもらったことがある。美術教室にずらりと作品を並べて、中学生たちに見てもらった。まず10分間見る。その中でお話をしてみたい作品をひとつ選ぶ。その作品をじっと見てお話をする。残り30分で文章にする。これもとても面白い内容だった。会話調もあれば独白調もある。作品との対話も楽しい。

3) 和歌山県立近代美術館での展覧会のとき
会期中はほとんど張りついていたら、出口で「面白かったね」とみなワイワイ言いながら出てこられた。私は「美術は楽しい」ということを表現していたつもり。間違ってなかったと嬉しくなった。美術の楽しさは、厳かさとは別の次元にある。


4) 美術館にアートを贈る会誕生について
アートコートギャラリーの八木光惠さんがご主人の仕事の関係でアメリカに住んでいるとき、アメリカの美術館がいかにたくさんの寄贈で成り立っているかを知り、日本でもできないかと呼びかけられた。欧米では自分のステイタスとして作品を贈ることはよくあること。大富豪だけでなく友の会や個人でも。そして「現代美術を贈るという運動をしよう」。あまりにも日本の美術館には現代美術が入っていない。現代美術とは、現在進行形の文化財。私自身コレクターとして、コレクションとともに暮らしてきた。作品は家族である。1000人の家族をもち私を励ましてくれた。現代美術作品を買い、若い作家を応援してきた。
この私の思いと、篠さんという慧眼のキュレーター、世界の美術事情を知っている八木さん、美術を愛している佐野さん、4人が発起人となって会はスタートした。

5) 会の仕組み
ステップ1、何を贈るか、考える。
ステップ2、寄付を集める。
ステップ3、実際に買い上げて寄贈する。
第2弾の寄贈プロジェクトでは、作家の人がこう言った。「これはwinwin の会ですね」作品が美術館に入る事で作家はwin。美術館としてはいい作品が入ってwin。贈る会の人たちは、自分たちの活動が社会的に認められてwin。

6) 第1弾から第4弾の作品を紹介
現在は第4弾の今村源さんの「シダとなる・イタミ2013」が進行中。

【質疑応答】


レクチャー1で当会活動の紹介のあと、レクチャー2では、なにわホネホネ団の団長の西澤真樹子氏の講演が行われ、その後質疑応答時間が設けられた。

質問(Tさん):四つの作品は総じて地味な気がする。市民から美術館に贈るときに難解なものではなく、誰にでもわかりやすいものを選ぶという主旨があるのか。あるいはもっと尖った、わかりにくい作品も贈る可能性のあるのか。

回答(田中):言われてみればとんがってない。ある意味、長持ちのする作品、これなら間違いなく美術的価値が高まっていく確信が持てる作品を選んでいる。これも副理事長の独断ではなく、つねに討論を重ねている。

質問(Jさん):暮らしや日常がキーワードに思えた。一方で、美術館は非日常のように思われていて、自分の生活とのリンクがないと思われている、その壁をどう取り払うとよいか。

回答(田中):1年に1回ぐらいはいまの暮らしにフィットするような展覧会をしてもよいのではないか。生活は様変わりしていて、暮らしがおしゃれになってきている。そういう人たちを近づけるためにも、年に1回ぐらいはいまの暮らしを反映したような展覧会をしたらよいのではないか。

【感想】
教育普及に熱心な学芸員さんの熱気に圧倒されました。全国から集まってこられて情報交換や刺激をもらう場として活用されているのがよくわかりました。
幹事の清家三智さんから、陸前高田へ文化財レスキューに行かれたときのお話を聞き、自分たちが関わった美術館や作品であれば大事にしようという気持ちが働くということを聞き、美術館への寄贈に市民が関わる意義を再確認できました。
貴重な場に声をかけていただき、ありがとうございました。


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