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時の香り

ジンジャーの朝 さよなら、わたしが愛した世界

2017-07-17 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★ジンジャーの朝 さよなら、わたしが愛した世界
原題:Ginger & Rosa
監督:サリー・ポッター
出演:エル・ファニング、アリス・イングラート、クリスティーナ・ヘンドリックス、アネット・ベニング、アレッサンドロ・ニボラ、他
2012/イギリス・デンマーク・カナダ・クロアチア合作

原題は、《Ginger & Rosa》となっているので、二人の少女の物語ではあるが、映画は、ジンジャーの心の移ろい、成長、そして辿りついた《赦し》を見せる作品であるエル・ファニングの恐ろしいまでの演技力、素晴らしい表情に、思わず溜息がでる。この映画を撮った時が13歳というのに、ラストの《赦し》のポエムを綴るところは大女優の風格さへ漂わせている。
えらいこっちゃ!

90分という短い作品だが(
僕はこの長さが一番好きである)
ストーリィはしっかり出来ており、
興味深いモノが一杯詰まっていた。

オープニングは《広島への原爆投下シーン》。
あの不気味なきのこ雲がもくもくと出てきて、
そのシーンと時を同じくして、
ジンジャーとローザが生まれる。

時間は動き、1962年。
東西冷戦のもっともシンボリックな事件の《キューバ危機》の頃。
二人の少女は、高校時代の青春を謳歌していた。
と同時に、ラジオから流れる核戦争の危機に、
《何とかしなきゃー》
と少しづつ社会に眼を向けながら自ら成長のスピードを早める。
この時代の危機感みたいなものを上手く作品に取り入れ、
家庭の問題、親子の問題も織り交ぜ、
少女から大人へと成長する姿を
内面的に、社会的に描こうとしていている。
女性監督ならではの繊細感がよく出ている。
短い時間の中に一人の人間の葛藤をギュッと詰め込んでいるので、
泡立たしく描かれている感はするが、
ポイントを押さえているような気がした。

ラスト、友人の裏切り、父親のだらしなさに
《不安のどん底に落ちてゆく表情》が凄い。
精神の崩壊的表情をかなりアップして魅せてくれた。
この子の女優としての将来も凄いと思わせた。

ラストの《赦し》のシーン。
神の力を頼らず、自ら《赦し》へと向かう姿に、
この作品のテーマを思った。
《ジンジャーの朝》は、次への一歩への朝である。

折しも、ケネディ暗殺から50年ということで、
キューバ危機の頃に思いを馳せる。
核戦争の不安から明日への希望も確かでない頃のこと。
ジンジャーの青春の頃。

今も核の恐怖は有る。
核兵器の拡散、原発事故の事後処理、核廃棄物の処理など、課題は複雑化している。
潜在的恐怖は拡大しているのではないかとさへ思うのに、
《核未来へのポジティブ思考》が優先しているような気がするんだが。

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