アートの周辺  around the art

美術館、展覧会、作品、アーティスト… 私のアンテナに
引っかかるアートにまつわるもろもろを記してまいります。

『百鬼夜行絵巻の謎』小松和彦(集英社新書ヴィジュアル版)

2016-10-29 | 

「大妖怪展」@あべのハルカス美術館を鑑賞してから、妖怪に思いを馳せていた私。そういえば本棚に、こんな本たちが積読になっておりました…。

  百鬼夜行絵巻の謎 (集英社新書ヴィジュアル版)

この本を買ってしまったのは、何といってもビジュアルの素晴らしさ!展覧会にも出品されていた作品始め、数々の絵巻物が、ほぼ全巻オールカラーで掲載されておるのです!もちろん、元々が新書版ですから図像は小さいのですが、そこはスマホの拡大鏡アプリが活躍!

江戸時代を中心に幾多に描かれてきた「百鬼夜行絵巻」。前の記事で紹介したように、室町時代に描かれた京都・大徳寺真珠庵が所蔵するいわゆる「真珠庵本」が代表的なもとのされ、その後に描かれた同様の絵巻物の多くが真珠庵本の図像を倣っていますが、一様ではありません。

著書の小松和彦さんは、自ら妖怪研究者と名乗り、複雑に混乱している数々の百鬼夜行絵巻伝本を整理・分類することに挑戦しました。そのきっかけとなったのが、小松さんの所属する国際日本文化研究センターが入手した「百鬼ノ図」。この絵巻物も、「大妖怪展」で展示されていました。

この絵巻物の祖本(オリジナル作品のこと。今残っているのは、模作ということですね)は真珠庵本と同じく室町時代とされ、真珠庵本とは異なる妖怪が多数登場します。この二つの祖本の妖怪を組み合わせたと思われる作品が東京国立博物館に所蔵されているとのこと。このように多数存在する「百鬼夜行絵巻」の系統立てて整理される様子を、作品のヴィジュアルとともに見ることができます。多少、学術的ではあるのですが、写されるうちに妖怪の図像が少しずつ変化していたり、やはり絵師の技術によって、うまいな~とか、逆にヘタウマで味あるな~とかあって、メチャクチャおもしろいです。

ところで、この本にも書かれているのですが、百鬼夜行絵巻に描かれているのは、動物・植物・魚介類や器物が擬人化されているもの、それから鬼などの異形のものたちです。水木しげるの世界のような、一つ目小僧やのっぺらぼう等は見かけません。烏帽子を被ったカエルがそっくりな「鳥獣人物戯画」がルーツではないか、しかしながら、戯画と妖怪画との違いは、擬人化された者らを眺める人間の存在があるかないかである、という指摘は興味深かったです。

展覧会では、「鬼」の系統として、仏教の地獄の様を描いた「六道絵」が数多く展示されていました。やっぱり恐れられる存在としてあったんでしょうね…。

妖怪の存在を、「妖怪学」として解き明かそうとするのが、同じ著者の次の本。こちらは、これから読みたいと思います。「妖怪学」…奥深そうですゾ! 

 妖怪学新考―妖怪からみる日本人の心 (小学館ライブラリー)

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