アートの周辺  around the art

美術館、展覧会、作品、アーティスト… 私のアンテナに
引っかかるアートにまつわるもろもろを記してまいります。

「海北友松」@京都国立博物館

2017-05-16 | 展覧会

来春、開館120周年を迎える京都国立博物館が、記念展覧会として開催するのは、狩野永徳や長谷川等伯と同じ時代に活躍し、桃山最後の巨匠といわれる「海北友松」の回顧展。GWに訪ねました。

お名前の読み方もわからなかったこの絵師のことを知ったのは、2012年辰年のお正月に建仁寺を訪ねたとき。方丈の襖絵の雲龍図が大迫力で(これは複製だったのだが)、辰年だもんだから喜んで拝見しました。近寄っては見れなかったのだけど、雲のグルグル渦巻とおおらかな龍の様子が印象に残りました。でも、これまで展覧会で友松の作品を見たことはなかったように思います。

そして、ついにこの絵師の全貌が明らかに…?!と期待しましたが、やはり謎多き人物のよう。もともと武家の出身であり、絵師になったのも決して望んでいたわけではなく、いつかは没落した海北家を再興させたいと願っていたとのこと。今回、50才代に描かれたとみられる初期作が出品されていますが、それ以前の制作についてはわかっていません。

最初は狩野派に学び、その初期の作品には狩野派の画風が色濃くあらわれていましたが、やがて狩野派から離れ、彼独自の自由な境地で描くようになります。60才を過ぎて、彼を一躍有名にしたのが建仁寺の仕事でした。障壁画、屏風絵、掛幅など、友松の作品で装飾された建仁寺は、当時「友松寺」と言われるほどだったそうです。

展覧会に出品されている作品は、屏風なども大きな作品が多く、迫力があり見応えがあります。以前複製を拝見した「雲竜図」は、いまは掛軸に仕立てられていて、繋がっていないのが残念でしたが、墨の濃淡を駆使して、龍と龍を取り巻く雲や空気の動的エネルギーが描かれているのを間近で見ることができて、大変よかったです。

友松の龍の絵は評判が高く、海を渡った朝鮮にまで名声が届いていたとか。ひとつの展示コーナーに雲龍図が集められていました。北野天満宮が所蔵する屏風の龍は、顔が人間みたいで、えらく邪悪な表情!きっと請われて龍を描く機会が多かっただろうけど、さまざまな表情で描かれていて興味深い。さらに、ここの展示がよかったのは、全体に照明を暗くしていて、龍が本当に暗闇から迫り来るような迫力があったこと!

ちょうどKindleで、谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」を読んでいたので、昔の日本の家屋の障子を通した淡い光のもとで、または、夜の暗闇の中で灯される蝋燭の火のもとで、いったいこの龍の見え方がどんなにか恐ろしいものだっただろう…!と、想像できてヒエ~と思いました。

最後に展示されていた、友松最晩年の作品といわれる、アメリカの美術館から里帰りした「月下渓流図屏風」は、とっても神秘的な作品でした。墨の濃淡で、線さえも没しているようなシンプルに描き方なのに、実際の情景が目に浮かぶよう。ところどころ植物がリアルに描かれ彩色されているのが、幽玄になりすぎて、この世の情景じゃなくなるのを押しとどめているような気がしました。自由に描いてきた友松が到達した境地に感動しました~。

この展覧会、他館への巡回はございません。貴重な機会をぜひ!会期は、来週21日(日)まで!!

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