アートの周辺  around the art

美術館、展覧会、作品、アーティスト… 私のアンテナに
引っかかるアートにまつわるもろもろを記してまいります。

クラーナハ展 500年後の誘惑@国立国際美術館

2017-02-22 | 展覧会

16世紀、ドイツ・ルネッサンスを代表する画家である「ルカス・クラーナハ」の日本初となる大回顧展が、中之島の国立国際美術館で開催されています。長らく「ルーカス・クラナッハ」だと思っていました。見た目は似ているが、口に出してみるとずいぶん語感は違います。

それはさておき、待ちに待った展覧会、雑誌「芸術新潮」やテレビ「日曜美術館」などで予習も万全に臨みました。感想は…「ス、スゲェ!」でございました。展覧会では、初期の作品から油彩のみならず、木版画作品も数多く出品され、また、彼が主軸となって運営していた工房によって作品が制作されていた様もうかがい知れる内容ではありましたが、やはり何といっても、後半の女性を描いた作品の数々に魅せられました。

画像で取り上げられている目玉の「ヴィーナス」や「ルクレティア」は、想像を覆す小さな作品です。黒く塗りつぶされた背景に浮かぶ白い華奢な、しかしながら非常に妖しい魅力を湛えた裸体の女性。足元の地面の様子がまるで月面に立っているようにも見えて、すごく不思議な存在に思えてきます。まとっている極薄の透明なヴェールが、いっそうエロティシズムを掻き立てる…。そのあまりの小ささ(B4くらい?)が、この作品を慈しみ手元に置いてきた所蔵者の熱い思いをまとっているような気がしました。

クラーナハの作品は、同じドイツのデューラーの作品に比べると技量が足りないような、イタリア・ルネッサンスの画家たちに比べると華やかさや劇場性が足りないような、そんな印象を受けていましたが、一連の女性たちを描く作品の筆はめちゃめちゃ冴えわたり、誰にも真似のできない独特の美の世界を生み出していったのを目撃できます。

一番すごいと思ったのは、「ホロフェルネスの首を持つユディト」(上のチラシ)です。会場内の映像で紹介されていましたが、今回、修復され洗浄されたこの作品は、ユディトの顔がツルツルにきれいで輝いてまして、それだけに、生首を抱えて能面のような表情をしている不気味さというかゾッとする美しさというか、ものすごい迫力があります。加えて、革手袋?をして指輪が剥き出している手の描写にも目を奪われました。いやあ、すごいもん見たわ~!

この作品に触発された森村泰昌さんの写真作品もちょっと離れたところに展示してあって、彼が作品から受けた衝撃をどのように解釈したのかってのも興味深くておもしろかったです。展示には、この他にも、クラーナハ作品に触発された、ピカソやデュシャン、岸田劉生などなど、近現代の作家の作品が展示されていました。

クラーナハは、宮廷画家を務める一方、宗教改革を行ったマルティン・ルターとも親しく、ルターの肖像画も数多く残すなど、歴史上の出来事にも無縁ではない画家でしたが、そんなことを本当に吹き飛ばしてしまう描かれた女性の妖しい魅力に圧倒された展覧会でした。この本物の迫力に、ぜひ触れられることをおすすめします!

展覧会は、4月16日(日)まで。

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