1972年、「和田アキ子がレコード大賞をとれるような曲を」との注文を受けて、作られた曲。
作詞・阿久悠、作曲・森田公一というこれも黄金コンビで、和田アキ子は見事、この年のレコード大賞最優秀歌唱賞に輝いた。
ゆったりとしたメロディで、紅白では壮大に歌わせているが、私のデジタルウォークマンに入っているものは、メロディはそのとおりだが、リズムは8ビートを効かせたノリのいい編曲になっている。ゴーゴーって感じ。
そのリズムを担当しているのが、ドラムとベース。
特にいつもは縁の下の力持ちのベースが、ウォーキング奏法というのか、忙しそうに動いていて、それが超カッコいい。
終わった後いつも、「ご苦労さん!」と心の中で、ベースに労いの言葉をかける。
歌はシンプルに見えて、結構難しい。
音の運びも言葉も、難解なものはないのだが、後ろに300人くらいの合唱団を引き連れて、自分が主役で「歌い上げる」というくらいの気概が必要なのだ。照れてちゃ歌えない。
も一つ難しいのが、手話表現。
普通の人は、歌を聴いたり歌ったりするときに、手話表現など考えないと思うが、手話を知ってしまうと、どうしても詞を手話に訳してしまいたくなる。
だからカラオケに行くと、他人が歌っているときも、その歌詞を手話で表して遊べるので、2倍楽しめる。ついでに手話通訳の技術も磨けるので、3倍お得なのだ。
阿久悠の曲は、映画のワンシーンのように場面が思い浮かぶので、訳しやすいものも多いのだが、こういう何かを象徴する詞は、上級編。
とくに、一番メインの詞「あの鐘を、鳴らすのはあなた」の表現が難しい。
ここをどうするかで、手話通訳の技量がわかると言っても過言ではない。
ある人は、大急ぎで梯子段をよじ登り、鐘を叩く表現をした。
……八百屋お七?
時代に警鐘を鳴らすという意味では、半鐘は外れではない。
けど…笑える。ここで笑わしてどうする!
ある人は、悠々と鐘を突いていた。
……ゆく年くる年?
これも意味的には大きく外れてはいないけど、もうちょっと俗世寄りの方がいいような…。
悩んでいたところに朗報が。
阿久悠の故郷・淡路島は洲本市五色町にあるウェルネスパーク五色というところに、「阿久悠顕彰モニュメント・愛と希望の鐘」というのが設置されたというのだ。
おぉ!これで悩み、一挙解決!
どれどれ?とさっそくネットで覗いてみた。
http://www.aqqq.co.jp/top_news/monument2.html
結婚式場用に作られた教会の外に設置するような鐘だった。…ちょっと違うんよなー私のイメージと。
ここは、翻訳的に考えると「鐘を鳴らす」という行為はどういうことかを考え、物体の「鐘」にとらわれずに表すほうがいいのだろうと思う。
イメージとしては、ドラクロワの絵画「民衆を導く自由の女神」なのだが、ウーン、うまく身体表現できないよー。
今度、演劇やってるろう者に相談しよう。