🌸さらすな日記🌸

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「新幹線大爆破」/佐藤純弥

2017年12月16日 | 映画


この映画は1970年代に高倉健さんがテロリストを演じた、カルト的な人気の「乗り物」サスペンスアクションです。
健さん演じる町工場の社長は、工場が潰れてしまったことから破れかぶれになり、食い詰めた従業員たちと共謀して、新幹線に爆弾を仕掛ける計画を企てます。

目的はお金です。
「新幹線を爆破させたくなければ、金を払え」と脅迫します。
とは言えこの犯行がただの金目当てと異なるのは、仲間の一人に、全共闘に敗北した過激派崩れの青年がいることです。
彼にとってはこの犯罪は、「全共闘員としての最後の大花火」であり、体制へのテロの、残滓のようなものなのです。
そんな彼は水商売女のヒモだったのですが、この計画を始めるにあたり、女と手を切ります。
その時の捨て台詞かすごいのです。
「世話になったな」「幸せになれよ」「恩返し出来なくてゴメン」ではないんです。
「おまえのせいでオレは堕落したんだよ!」という、恨みがましい文句なのです。
そこに彼の、根本的な思考回路を見た気がしました。
この映画は、「テロリストがテロリストになってしまう社会的背景、心情」を描いていると評判になったのですが、なんやかや言ってそれは、人生の不遇や苦難に対し、「世を呪い、人を呪う」タイプの人の心情であることがわかります。

そんな犯人たちを警察が追います。
いわゆる自爆テロとは違い、金の受け渡しがあるので、犯人逮捕の可能性も高いのです。
その中で、結局高倉健は仲間を失い、一人になってしまいます。

さらに国鉄は国鉄で、何とかして爆弾を除去しようと策を練り、必死の活動をしますが…。
ここで新幹線の運転手役の千葉真一さんが、「きっと何か、すごい体当たりアクションをするのだろう」という観客の期待を裏切り、特に何もアクション的なことはしないのがまたオツだったりして。笑



昭和の泥臭い社会派サスペンス大作は、ラストでやけにフレンチノワール的な終焉を迎えます。
それゆえなのか、フランスでヒットし、海外で評価の高いこの作品。
しかし海外編集版は、犯人たちの背景や心情のシーンはカットされ、テロ犯はただのテロ犯であり、テロを阻止する側が活躍するアクション映画になっているとのことです。




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