小学生の頃の僕は、ひ弱なモヤシっ子だった。(今もか)
そのコンプレックスを克服しようとして始めたのが少年野球。
どんどん夢中になってのめり込んでいったけど、ひ弱はひ弱。
他の子供達には全然かなわなかった。
ある日、キャッチボールをしていると監督が一言。
「お前、もっと肘を上げて投げてみろ。」
その通りに投げてみると・・ビシュッ!!
見たこともない豪速球が。
その瞬間のミラクルで、
僕はいきなりチームの速球派として台頭した。
何故かナチュラルにシュート回転する癖球だったけど。
あれから時間は流れて、今の僕は野球なんてしていない。
唐突に少年時代を思い出したのは、
淀川の河川敷で少年野球の練習を眺めていたからだ。
週末はここに来て、太陽の下で本を読む。
それが最近見つけた小さくて大きな幸せ。
赤トンボと鈴虫と推理小説。
余った夏と記憶のページ。
あぁ、野球がしたい。
もう昔の癖球は消えてるだろう。
今投げるとしたら、
人生の味が染み付いた、ゆるいナックルボールを投げてみたい。