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住吉神祭祀と王権成立のストーリー。

 

大阪の住吉区に鎮座する摂津国一宮、住吉大社は全国に2千社あるとされる住吉神社の総本社。航海神、住吉大神を祭祀します。住吉大神とは底筒男命、中筒男命、表筒男命の三柱の神で、神話では伊弉諾(いざなぎ)尊が禊(みそぎ)をしたときに生まれた神とされます。また、「筒」とは星のこと。底筒男命、中筒男命、表筒男命の三柱の神とは三つ星の神格化ともされます。

大陸の上海の南、浙江省に天台山があります。古く、後漢の頃から霊地とされ、神仙の道士が多く住んで神仙思想の大元ともされます。三つの峰をもつ天台山は天帝の星、紫微星(北極星)を支える三つの星、三台星の真下に在るとされ、三つ星を宗紋とするのちの天台宗もこの山で生まれています。紫微星(北極星)に寄添って並ぶ三台星は、古代中国では紫微星を支えるとされる上台、中台、下台の三つ星で「三筒」とも呼ばれます。

三台星は江南の海人にとって大切な星。夜、渡海する船は北極星を目印にして、三台星がそれを指し示します。そして、北を導く三台星は航海神ともなります。三台星(三筒)を神とする江南の海民は、蛮とされて北方の漢人に追われ、東シナ海で黒潮に乗って北上、列島へと渡ったのでしょうか。

福岡市博多区住吉に鎮座する筑前国一宮、住吉神社は古記では「住吉本社」とされ、住吉大社の元宮といわれます。かつての那ノ津(冷泉津)の海辺に鎮座して、社地は弥生中後期の遺跡ともされます。遺跡からは銅矛、銅戈が出土して、墳墓以外に埋納された最古の例とされ、この社の祭祀は弥生期にまで遡るといわれます。

古く、博多の住吉神社の社家、佐伯(さえき)氏は大伴氏族とされ、隼人を率いて宮門守護を務めます。その名は外敵を遮(さへ)ぎるの意。天帝の星、紫微星(北極星)を守護する三台星とは海人氏族の武威の象徴ともされます。大伴氏族は邇邇藝(ににぎ)命の降臨を先導したとされる天忍日命の後裔。神武東征神話では大伴祖人、道臣命が海人、久米を率いて天皇軍の主力となります。

のちの時代、大伴氏族は摂津や河内あたりを本拠として、大伴金村の「住吉の宅」の存在があり、住吉には大和王権の港、住吉津が所在。住吉大社の社家、津守氏が住吉津の「津守」であったとされます。大阪、住吉大社の住吉神祭祀には、隼人に拘わる海人氏族が中央に進出した痕跡や東征神話との繋がりがみえ、そこには大和王権成立のストーリーさえ秘められているようです。

 

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