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アートネタなど日々のあれこれ

天下を治めた絵師

2017-09-23 14:14:33 | 美術
サントリー美術館で「狩野元信」展を見てきました。

狩野元信・・・偉大なる二代目。その割にはこれまで作品をまとめてみた記憶がない・・・と思ったら、初の単独回顧展なのだそうです。というわけで、メインビジュアルの作品が出るまで待ち切れず、早々と行ってまいりました。

会場に入ると大仙院壁画の「四季花鳥図」、そして「禅宗祖師図」が。子どものような感想ですが、やっぱりこの人、めちゃめちゃ巧かったんだなぁ・・・と。で、何となく思い出したのが円山応挙。巧すぎるがゆえに却って印象に残りにくい、という現象が時として起こるような気がしますが、この場合もそれなのかも、と。多くのお弟子さんを抱え、一派を成したというところも似ています。そりゃ、お師匠さんが圧倒的に巧くないと、弟子、ついてきませんもんね・・・。

今回、元信が参考にしたという中国絵画の名品も展示されていました。夏珪の山水図やら牧谿のお猿さんなどが出ていましたね。元信は馬遠と夏珪を真体、牧谿を行体、玉澗を草体とする三体の「画体」を創り出し、マニュアル化したそうな。驚くべき発想というか、ビジネスセンスです・・・。作品には、キャプションに真・行・草などのマークがつけてあるものもあり、なるほど、この作品が行なのか〜、とかまじまじと見入ってしまいました。

しかし、元信の驚くべきところはそれだけではありませんでした。今度はなんとやまと絵の領域にも進出しています。「釈迦堂縁起絵巻」「酒伝童子絵巻」など見事なものです。やはり元が巧いから、違うジャンルに進出してもあっという間なんでしょうね・・・。「和漢を兼ねる」は、その後も狩野派の強力な売りになりました。さらには、主に絵仏師の専門領域とされていた仏画も手がけています。「白衣観音図」も綺麗でしたね。顔の表現が世俗的になっていることがそれまでの仏画とは違うとか・・・。

というわけで、二代目の仕事ぶりを堪能してまいりました。彼が圧倒的な画力の上に、画体の確立とやまと絵の進出という二大事業を行ったのが、その後400年にわたる狩野派の礎となったのですね。そういう意味で、アートとビジネスのお勉強(?)を兼ねられる展覧会でした。

観賞後、甘いものがほしくなったので、併設の不室屋のカフェに寄ってきました。頼んだのは「不室屋パフェ」。和の素材でつくられたパフェなのですが、これが美味しかった。記憶に残りそうなパフェです。今夏最後のパフェかなぁ・・・。
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