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アートネタなど日々のあれこれ

神の値段

2017-06-17 11:22:53 | 
一色さゆり「神の値段」を読みました。

第14回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作です。一色さんのことは何も知らなかったのですが、実家のミステリー好きの母にお薦めされ、読んでみました。現代アートとギャラリーが絡むミステリーということで、アート好きにも楽しめる作品でした。

主人公は、現代アートのギャラリーでアシスタントを務める田中佐和子。このギャラリーで扱っているのが、墨を使ったインクアートで世界に知られる現代芸術家、川田無名の作品です。彼はマスコミはもちろん、関係者にも姿をあらわさず、生死すらおぼつかない状況なのですが、その作品には高値がついています。そして彼と長年、二人三脚で仕事をしてきて、その正体を知る唯一の人物だったのが、ギャラリーのオーナーで、佐和子の上司である永井唯子。彼女がある日、作品を収めている倉庫で何者かに殺されてしまいます。

現代アートがネタになっているという珍しさに加え、ギャラリーの仕事の裏側も描かれていることもあって、とても興味深く読みました。美術ミステリーで現代アート&ギャラリーの組み合わせってなかなかないですよね・・・少なくとも個人的には初めて。文体も読みやすくて、さくさく読めました。謎解きそのものはわりとあっさりしていましたが、作品の梱包の結び目が事件解決のヒントになるなんていかにもではないですか・・・。

ところで、姿を現さない川田無名がどうやって作品を制作しているのか。月に一度、パソコンのメールで彼からの指示書(数字の羅列!)が送られてきて、それをもとに工房のスタッフが作品をつくりあげるというシステムになっています。彼にはモデルと思わしきアーティストが。その名は河原温。また、この作品はアートとビジネス、アートのお値段という領域にも踏み込んでいます。アートとビジネスのスタンスという点でも川田無名のモデルと思わしき人物が・・・その名は、村上隆・・・。

そんなわけで、このミステリーにはプライマリー・ギャラリーの仕事とか、アートビジネスの実態とか、一般人にはなかなか窺いしれないネタがたくさんでした。で、作者の一色さゆりさんってどんな方なんだろうと調べてみたら・・・東京芸大を出て、香港中文大学の美術研究科を修了、東京のギャラリーに3年ほど勤務されていたそうです。写真で見てもなかなかの美人さん♪現在は東京の美術館に勤務しつつ、京都の陶芸をテーマにした第二作を執筆中とか。こちらも楽しみですね・・・。



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