『マツコ&有吉 かりそめ天国』テレビ朝日 

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 テレビ番組に華を添える「アシスタント」という存在。進行に徹したサブ的役割を担い、番組でメインを務める芸能人を引き立て、必要以上に前へは出ない。このポジションには女性タレントが収まることが多く、それどころか局アナが起用されることも多々だ。

 それでいて、番組への影響度は“サブ”に収まらない。『モヤモヤさまぁ~ず2』(テレビ東京)の初代アシスタントである大江麻理子キャスターが番組を卒業したのは2013年だが、正直、同番組のピークはその頃までだった。彼女がいなくなって以降、当時の熱を取り戻すことは難しく、要するに“大江ロス”がいまだ続いているのだ。

 そして、やはり『マツコ&有吉の怒り新党』(テレビ朝日系)である。今年3月まで放送されていた同番組だが、初代アシスタント(総裁秘書)である夏目三久アナウンサーの存在は偉大すぎた。2代目アシスタント(庶務)には青山愛アナウンサーが就き、傍若無人な物言いで頑張ってはいたものの、視聴者が受けた“夏目ロス”のダメージは大きく、初期の勢いを取り戻すことはかなわなかった。


■テンションの低さを救ったダークホース・久保田直子アナの「カラコン」

 今年4月、『マツコ&有吉の怒り新党』は番組内容をリニューアルし、『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日系)として再スタートを切った。テコ入れし、リニューアルを経て心機一転する番組には、いつも嫌な予感がしてしまう。迷走しているように見えてしまうのだ。末期ではないのか? と。

 新番組ホームページには、こう書いてある。

「6年間怒りに怒った、マツコと有吉が天国に暮らす天使のように、おだやかな気持ちでトークをくりひろげる!?」
「マツコ&有吉に聞いてほしい(耳に入れたい)話をどんどんお寄せください!」

 ぶっちゃけ、不安な気持ちしかしない。確固たる方向性が、この文言からはうかがえないのだ。加えて、すでに芸能界で大成功を収めたマツコ&有吉からは『怒り新党』初期にあった根無し草な視点と放言を望むべくもない。

 この状況で意外な奮闘を見せ、番組の見どころとなっているのは、進行役を務めるテレビ朝日・久保田直子アナウンサーである。

 正直、知名度は低かった。しかし、第3回である4月19日放送分にて、不思議な形で知名度をアップさせてしまう。番組中、マツコ・デラックスがカラコンを装着している久保田アナに気づき、そこからマツコ&有吉は久保田アナをフルボッコ! 「ババアが盛ってどうすんのよ?」「誰もあなたに目のクリクリさは求めてない」と2人から嘲笑されまくった久保田アナ。Twitter上では小島慶子アナウンサーが「誰がカラコン入れようと勝手じゃない?」とかみ付く展開にまで発展し、しかも今、「久保田直子」で検索すると関連ワードに「カラコン」が出てくる現状にまでなっている。


■久保田アナと、マツコ&有吉との間に生まれるケミストリー

 久保田アナといえば、カラコン。これでしばらく引っ張るものだと思っていた。そのつもりで4月26日放送回を視聴するや、筆者は自分の考えの甘さに気づかされる。この日の番組中、実は「食事をしても、ひと口目しか味がしない」という特異な体質の持ち主だと久保田アナがカミングアウトしたのだ。かつて、『週刊おかずのクッキング』(テレビ朝日系)のアシスタントを務めていた彼女なのに……。

 端的に言うと、彼女が食事時に“おいしさ”を感じるピークはひと口目である。一方、普通の人が“おいしさ”を感じるピークはいつだろう。例えば、“飲み込む瞬間”はどうか? でも、そう考えると、ガムでおいしさを感じる瞬間は訪れないことになる。「ガムは飲み込まないしねぇ」と有吉がつぶやいた瞬間、「飲み込まないですか?」と久保田アナが口を挟んだ。彼女、なんとガムを飲み込むらしいのだ。

 これにはさすがのマツコ&有吉も驚愕するのだが、久保田アナは「ガムは飲み込んで、コンプリート」「飲むのがルーティンになってる」と、理解不能な発言をたたみ掛けていく。第一印象とは異なる彼女の素性に触れたメイン2人は、あからさまにしかめ面となり「バケモンだね(笑)」(有吉)、「想像と違う、あなた……」(マツコ)と露骨に引いてしまった。
しかし、久保田アナは引かない。「みんな、人のいないところでは飲んでるんじゃないかな?」「全国に飲む人は40%くらいいると思います!」と豪語するのだ。(番組が全国2,000人にアンケート調査を採ると“飲み込む派”は9.2%)

 この久保田アナの癖を知った有吉は「もう、報道には戻れないよ。だって、ガム飲んでんだもん」と一言。しかし、同時に「スゴい人が来たわね」(マツコ)、「面白いですよ」(有吉)と、百戦錬磨の2人から、ある意味“お褒めの言葉”を引き出すことにも久保田アナは成功している。

 これは、今週も見逃せない。久保田アナから、新たな一面が引き出されるかもしれない。こんな素材と遭遇した時のマツコ&有吉にも、期待大だ。

 夏目時代とは違った意味で、3人の新たなケミストリーが生まれようとしている。
(文=寺西ジャジューカ)