【バンコク西脇真一】タイ王室は、プミポン・アドゥンヤデート国王(ラマ9世)が13日午後3時52分(日本時間同5時52分)、バンコク市内の病院で死去したと発表した。88歳。死因は明らかにされていない。兄のアナンタ・マヒドン前国王の突然の死により1946年に18歳で即位。今年6月、現役君主としては世界最長の在位70年を迎えた。開明君主として地方農民の生活改善運動などに取り組み、タイを東南アジアでも有数の近代国家へと導いた。

 王室典範などの規定によると、長男のワチラロンコン皇太子(64)が後継国王に即位する見通しとなっている。

 プミポン国王は27年、米マサチューセッツ州生まれ。第二次世界大戦後の混乱期に即位。積極的に地方を視察し国民の絶大な人気を得た。農業や漁業、小規模工業など多数の王室プロジェクトを実施する一方で、持続可能な農業生産をめざす「足るを知る経済」哲学を打ち出し、天然資源の浪費を戒めたことでも知られる。

 軍事政権が民主化運動を弾圧し多数の死者が出た92年の騒乱の際は、首相と民主化運動指導者の双方を呼んで調停するなど、国の危機には政治的指導力も発揮した。

 2007年、脳血管障害で入院。その後、衰えが目立つようになり、今年6月には心臓の手術を受けるなど、体調の悪い状態が続いていた。

 タクシン元首相が失脚した06年のクーデター以降、国内ではタクシン派と反タクシン派の対立が激化。タクシン派の一部が王制を批判するなど、王室自体が政治対立に巻き込まれるようになった。

 10年4月に始まったタクシン派によるバンコク都心部占拠や、14年5月のクーデターにつながった反タクシン派による反政府デモでは、国民の間に国王の政治調停を求める声が強まった。だが、再び乗り出すことはなかった。

 日本の皇室と関係が深く、60年代には王室プロジェクトの淡水魚養殖事業に皇太子さま(現在の天皇陛下)がティラピア50匹を寄贈。この魚は国王によって「プラー・ニン」(黒い魚の意)と名付けられ、いまもタイ各地で食用に養殖されている。