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中東、戦争と平和 53: 宗教が誕生する時 1: はじめに

2016年12月19日 | 連載完 中東に平和を

< 1. ガンジーの塩の行進 >

中東問題を考えた時、宗教に関して、根深い宗教対立とイスラム教の世俗化(政教分離)が気になりました。
これから宗教の誕生期を概観することにより世俗化(宗教と法と政治の関係)を考察します。




< 2. ユダヤのディアスポラ >

はじめに
ユダヤ教、キリスト教、仏教、儒教、イスラム教の誕生期を振り返り、比較することにより問題点が明瞭になります。
既に、この連載で宗教対立や迫害を見てきました。
ここでは個々の宗教が法と政治にどのように関わるように運命づけられたかを考察します。

はじめに宗教がもたらす恩恵を見ておきます。
宗教は人々に希望をもたらし、善い行いを奨励し、共に助け合う社会を生みだしました。
また人々の不満を減らし、順法精神を高め、社会から紛争を減らす効用もあった。

一方、信者は異教徒に対して蔑視や敵対の感情を強く持つようになった。
また聖典の法(戒律)が社会の変化に合わなくなったり、強力な教団が災いを生むこともあった。

宗教は誕生期の教義(法)や役割(システム)をそのまま継承し続けます。
宗祖が語ったとされる聖典がある場合はそうです。
このことが現代社会と宗教との間に齟齬をきたす理由の一つです。
しかし、その齟齬の度合いは宗教誕生の古さだけで決まるわけではありません。
それは、個々の宗教が政治や法とどのように関わって来たかで影響を受けます。

この差異を宗教誕生の過程を見ながら探って行きます。



< 3.孔子が生きた春秋戦国時代 >

宗教の誕生期に共通する時代背景
宗教の差異を語る前に共通点を見ておきます。

宗教が誕生した社会はすべて変革期にあり、さらに先進の情報がその社会にもたらされていた。
この変革期とは、戦争や天災続きで荒廃している場合と、都市や経済が発展し新しい階層や思想の誕生があった場合などです。
また先進の情報とは、進んだ教義を持つ新興宗教や、新しい思想や技術をもたらす文明などです。

例えば以下のようなことです。
ユダヤ教は争乱の世にあって、亡国から国家再建への途上で生まれた。
イエスの時代は争乱の世にあって、ヘレニズム文化が浸透していた。
釈迦の時代は争乱の世にあって、批判的な自由思想家が誕生していた。
孔子の時代は争乱の世にあって、多様な思想家集団が誕生していた。
ムハンマドの争乱の世にあって、一神教が浸透していた。



< 4. 聖書 >

宗教の差異は当時の社会の影響を受けている
その誕生期に、政治に近い宗教と、政治から遠ざかっている宗教がありました。
それはその宗教が何を変革することを目的にしていたかに関わりました。

ユダヤ教は、古い宗教を捨て、一丸となって国家を再建することでした。
キリスト教は王家と結びついたユダヤ教を批判したが、ローマ帝国と結びつくことで活路を開いた。
仏教は王家と結びついたバラモン教を批判し、政治から遠ざかった。
儒教は、いにしえの宗教の再興を願い、それを王家に託した。
イスラム教は、古い宗教を捨て、一丸となって統一国家をつくることでした。



< 5. ローマ皇帝の洗礼 >


次回に続きます。





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