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平成イソップ物語 15: 「津波とモグラ」の補足

2017年04月21日 | 連載中 平成イソップ物語

< 1.津波で残った一本松 >


前回投稿した「津波とモグラ」が何を意味しているのか解らないとの意見がありました。
ご指摘の通りだと思います。
ここに陳謝し、蛇足ながら説明したいと思います。


私が言いたかったこと


人々は今ある恐怖や不安に囚われて、往々にして理性的な判断が出来ず、目先の安心に飛びついてしまうことがある。

これは危機を先延ばするだけでなく、より深めることになる。

この手の愚を、社会は幾度も繰り返して来ました。

そして、この傾向は今の日本や欧米で顕著です。





*2

ミサイル防衛について
ここ数日、北朝鮮のミサイルに関して政府や与党からミサイル防衛や日米同盟の必要性が強調されています。
この意味を考えてみましょう。

例えば、迎撃ミサイルシステム(サード、パトリオット)を考えます。
日本が無数のイージス艦を日本海に配備し、陸上配備の迎撃ミサイルを全土に20km毎に配備しようが、北朝鮮のミサイルを完全に防ぐことは出来ません。
それはなぜでしょうか?

色々、想定できますが、一つは偽装船による近海からのミサイル発射です。
北朝鮮がこの技術を獲得するのは簡単です。
こうなれば、首都ぐらいは守れても本土全体を守ることは出来ないでしょう。

この手の落とし穴や矛盾はかつての米ソの核開発競争を振り返れば歴然としています。
核兵器の進歩はその都度、米ソの核ミサイル防衛構想を無に帰して来ました、例えば潜水艦発射ミサイルの普及のように。
結局は、互いに完全に破壊し尽くす体制をとることで、互いが馬鹿な攻撃を自制するだろうと言うことに落ち着いた。
米国の核戦略担当者から見ればこれも立派な抑止力でしょうが。
そして膨大な数の核兵器を作り、現在、大量の核ゴミに困っている。

ミサイル防衛は完璧ではなく、その後の多国間のミサイル開発競争を促進させるだけなのです。
例えば、イスラエルに核兵器を持たせたことによりイランが対抗して核開発を望んだように、またインドとパキスタンの関係も同じで、連鎖し拡大するのです。
一方、完全な迎撃ではなく抑止力を高める為に核兵器を保有する話もあります。
そこには相手が良識ある判断をするものと想定している落とし穴があるのです。
例えば、狂気のヒトラーにそれを期待出来たでしょうか?
特に核ミサイルについては、残念ながら物理的な迎撃手段は絶望的でしょう。

つまりミサイル防衛システム「モグラの堤」を作って、一時期のミサイルの脅威「津波」を防いだとしても、次の脅威の発生を招くことになるだけなのです。
むしろ抜本的な手を打つべきなのです。
そして新たな危機の前兆が「地中の水の流れ」であり、新たな危機が「洪水」でした。
一番の問題は、一時の安心の為に根本的な解決策を遠ざけてしまうことなのです。
この手の愚行は、かっての世界も現在の世界でもまかり通っているようです。

「モグラの母子が高台に逃れた」のは消極策のように見えるが、扇情に惑わされず、「津波と洪水」のどちらに対しても完璧な策を選んだことを示しています。


それであればどうすれば良いのでしょうか?
私は中国を動かすしかないと考えています。
中国は得体の知れない国ですが、例えば発展途上国への援助姿勢に良い変化が見られるように、私達は中国のすべてを拒否すべきではないでしょう。注釈1.

北朝鮮をいままで支えて来たのは、かつてはロシア、そして今は中国です。
中国にとっての北朝鮮は、かつての大日本帝国の防波堤であった朝鮮半島のような存在なので、中国はそう簡単には手放さないでしょうが。
しかし北朝鮮の暴挙を封じ込めるには中国しかないでしょう。

残念ながら、今の日本には中国を動かす力もなければ、相手も応じないでしょう。
なにせ現在、最も敵対しているのですから。




*3


少し全体像を俯瞰してみましょう

今、世界はイスラム国のテロに翻弄され、益々敵愾心むき出しの危険な状況に陥ろうとしています。

何がこの状況を作ったのでしょうか?
良く知らているように、この発端は9.11事件後の米国のイラク進攻にありました。

要点を言えば、米国がイラクの国家機能を完全に破壊したことにより、無法と無秩序の中からイスラム国が増殖して来ました。
私の連載「中東に平和を」でも解説しています。
この愚かな進攻は、大統領の人気、軍需産業と石油産業に恩恵をもたらしただけです。
これにより中東と世界が混迷しただけでなく、米国自身も莫大な国税(300兆円)を使い、この後、マスコミはホワイトハウスに従順になると言う大きな代償を払うことになりました。

リーダーの受け狙いの行動が、世界を困惑させた最も分かり易い例と言えるでしょう。
米国は世界の警察として重要な役割を果たしたこともあるが、一方でベトナム戦争のようにとてつもなく愚かな戦争もしている。

この点を鑑みれば、いつまでも米国に盲従して行くことは危険です。
きっとこのように言えば、誰が日本を守ってくれるのだとお叱りを受けることになるでしょう。

その答えは、米国が守ろうとしたベトナムの末路を見ればわかります。
米国は、南ベトナムの傀儡政権を守る為に、ベトナム全土を焦土にし、800万人が死にました。

なぜなら米国にとって最大の関心事は共産化を太平洋の果てで食い止める事にあったのですから。
もっとも北ベトナムと言う敵があってのことですが。
どちらにしてもこの愚かな戦争拡大の経緯は私の連載「戦争の誤謬:ベトナム戦争」で解説しています。

いざ有事の時に何が日本列島で起きるかは容易に予想がつくはずです。
もっとも小規模な衝突で紛争が止まるなら、日米同盟は役に立つかもしれませんが。

私が心配する大きな危機の一つがこれです。


最後に

上記に示したような危機への対応を寓話に例えることに無理がありました。
しかし、理詰めで説明するだけでは、今起きている危機を身近に感じることが難しいとも思っています。

これからも世界の歴史、社会、経済、文化について懲りることなく書いていきますが、よろしくご理解のほどをお願いします。
ご意見と批判を歓迎しますので、どしどし御寄せください。

ありがとうございました。




注釈1. 
JICAの研究員が指摘されていました。
この人は、世界各地の開発支援をつぶさに視察されたそうです。
以前は、中国が発展途上国に融資し建設し始めると、多くの中国人労働者が現地で工事をしていた。
その後、現地からの指摘があって中国は方針を変更し、現在は建設現場に中国人がほとんどいないそうです。
中国の融資額は増えているそうです。
私達の知らないところで、中国に変化が起きているのです。





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