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何か変ですよ! 50: 米国大統領選の不思議

2016年10月25日 | 連載中 何か変ですよ

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私は常々、不思議に思うことがあります。
なぜ人々は未来の危機から目を逸らすのでしょうか?
その例を米国大統領選から見ます。



米国大統領選の不思議
トランプ氏を支持する人々は、今の窮状から抜け出すには、既存の政治家ではだめで、経営者トランプ氏の辣腕が必要と訴える。
彼らは、誰が今の状況悪化を招いたかを知って訴えているのでしょうか?

彼らは大統領選の度に、経済活性化と称して危い手段(減税、富裕層優遇、貨幣増発、規制撤廃)を使う政党を選んだ。
その結果、米国の経済は上昇したが、金融危機は繰り返され所得格差は拡大する一方でした。
以前から、一部の経済学者はこの危機に警鐘を鳴らしていた。



< 2.米国の経済成長と所得の推移 >

上のグラフ: 緑線が米国の経済成長。
1980-2010年の間で約2.3倍に経済は拡大した。

下のグラフ: 年収5分位の年収の推移。
1966-2010年の間で、最高所得層は約2倍、最低所得層は約1.1倍に過ぎなかった。



< 3.米国の所得格差と政党支持率の推移 >

上のグラフ: 紺色の線が米国のジニ係数の推移。
緑の枠が別の政党の政権時代。
ジニ係数の高い方が、所得格差が大きい。

下のグラフ: 黒線が無党派層の支持率。


別の政党は逆の手段を講じ格差を是正し、ジニ係数は低下したが、焼け石に水だった。
また政党への熱烈な支持が減り、無党派層が増えて、政治不信が進んでいた。

20年も前から、これら予兆は明らかだったのに、彼らはこれらを無視し目先の景気回復を求めた。
極論すれば、今、訴えている人々が、この窮状を招いたと言える。
さらに、ここで急場しのぎの危い政策に飛びつくのでしょうか?

私は、このことが不思議でならない。


なぜ人々は危機の予兆を無視するのでしょうか?
その理由は大きく三つあります。

1.危機の予兆がわからない。
これは人々の無関心と無理解が一番大きい。

2.どの危機を重視すべきかがわからない。
関心があったとしても、将来の危機はほぼ無数にあるため、何を優先すべきが分からない。
例えば危機には戦争、経済破綻、地球温暖化、資源の枯渇、難民などがあります。

さらに厄介なのが、巨大な既得権益層が政治力とプロパガンダを駆使していることです。
これにより国民は何が真の危機かが益々見え難くなります。
既得権益層とは経済格差や戦争、石油消費などの拡大で利益を得る人々です。

3.対策がわからない。
素人の国民は専門家の説を取捨選択するしかなく、これがまた難しい。

結局、将来の危機を予見し、事前に対策することは、かなり困難なのです。


最後に
それでも歴史を振り返ると、危機の芽を早めに摘んでよけば良かったと言うことは多い。

多数の危機の芽のいずれかが限界に近づき、何かを切っ掛けにして危機が突然表面化することになります。
そして人々は、冷静さを失い舵を大きく逆方向に切り過ぎることがあります。
これが往々にして最悪の事態を招いて来た。

帝国主義時代の後に起こった、ドイツや日本のファシズムなどがその典型です。

重要なことは、国民が社会問題や歴史について理解を深め、日頃から政治を監視し、冷静に対処し続けることです。







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