diary-日々の覚書

日々感じたことの覚書です

若草物語

2007年02月15日 | 映画・ドラマ
「若草物語」1994年版ジリアン・アームストロング監督

自分の満足度★★★★★(90満足)
「若草物語」は何度もリメイクされ続けており、1994年に公開されたジリアン・アームストロング監督のものが最も新しく、ですので現在を生きる私達の感覚に近いものになっており、親しみやすく見やすい形に出来上がっています。少女に向けてだけではなく全世代の女性が楽しめるよう丁寧に作られており、昔少女だった人たちも安心して物語の世界に入っていけます。監督含め主要スタッフを女性が勤めており、原作者が女性であることを考えると、おそらく1994年版が最も原作に寄り添ったものとなっているのだと思います。スーザン・サランドン演じるお母様に比べて、お父様の扱いが冷遇されているのもジリアン版の特徴です。このお父様の扱いの薄さは、放映時間云々ではなく意識的に無視しているとしか思えない扱いで、この部分のみ1994年版に「え~何故?」と疑問が残りますが、作り手側は観客である女性のために女性達が輝く映画を撮りたかったのだろうと思います。

剛速球の直球ど真ん中を自信を持って投げ込みましたという感じのシンプルさが大変心地よく、4姉妹役の女優陣もはまっており安心して観られる良い作品となっています。メグもジョーもエイミーも大変よいのですが、とくにベス役のクレア・デーンズがはまりにはまっており、私は映画を観ながら「ベスがクレア・デーンズに降りてきているよぅ」とおののいてしまいました。男性陣もなかなか素敵でベア教授役のガブリエル・バーンも控え目にされど渋く光っていますし、ローリー役のクリスチャン・ベールも見目麗しい坊ちゃまにすっぽりとはまっています。役者達の熱演に引っ張られて観客である私達はこの懐かしい物語が発する幸福感に身を沈めながらも、スクリーンの中をシンプルに前を向いてそれぞれの道をシッカリ歩いて行こうとする彼女達の姿を観て、観終わった後その幸福感がいったい何なのかゆるやかに感じることになるのです。

「人とは本来善なるもの」

力強い人間肯定のドラマだと思います。

マレーナ

2007年02月12日 | 映画・ドラマ
これからきざみきざみに何回かは自分の中で満足度星5つを獲得している、自分にとって最も大切な映画を紹介していきます。気になったらレンタルででもご覧ください。あらすじがバレることになります。まっさらな気持ちで映画を観たい人は、感想を読まないで先にレンタル屋さんに走ってみてください。

初日は「ニューシネマパラダイス」のジュゼッペ・トルナトーレ監督の「マレーナ」です。

自分の満足度★★★★★(98満足)

少年のマレーナという女性に対する片思いの思い出のお話です。片思いほどどうにもならないものはない・・なのにジュゼッペ・トルナトーレはこのどうにもならないものまでも完全なるLOVEの映画として成立させました。映画の前半は美しい人妻マレーナに片思いをする主人公少年の、思春期の恥ずかしくて見ていられないようなお情けなくも可愛らしい姿に、自分の片思い時代を思い起こし肩をガックリ落としつつも、半ば笑いながら物語に寄り添うような形で映画を見ることになります。「ああ~もうやめてクレヨ(泣笑)」と懇願したくなるようなお恥ずかしい昔々の己の姿を追体験することに・・いえいえ、若しかしたら昔々から魅力的で憧れられる存在だった貴方は少年を見て、自分もこんな風に思われていたのかもしれないと苦笑いするかもしれません。

年上の人妻であるが故に、少年がマレーナの人生にかかわれることはありません。常にコッソリ見守り続けるしかなす術がなく所謂今いう所の害のないほうのストーカー状態です。しかしながら少年はマレーナの愛・苦境・日常をただただ心配し見守り続けます。それは献身的というよりも片思いの持つ滑稽さが露出した馬鹿馬鹿しいものではありますが、少年はマレーナを愛故に自分にただひとつ出来ることとして彼女を見守り続けます。物語で結局主人公の少年はマレーナの人生からは蚊帳の外です。

人からささやかな幸せを取り上げる惨い人生。人が興味のある異性を見る時に向ける無責任な好奇に満ちた目。人同士の醜い嫉妬。意外とたよりない毎日の生活。その中で人はひたすら流されたり、抵抗したりと色々とがんばります。ジュゼッペ・トルナトーレはこの作品を通じて、少年の遠い昔の片思いを大切な恋として思い起こす形をとりながら「とても孤独な状態でたった一人きりで人生と戦っている時があったとしても、若しかしたら貴方は一人きりではないかもしれませんよ。」と語っているように思いました。目に見えなくてもLOVEという名の暖かい感情は貴方の側にあるかもしれませんよと。

片思いのしょっぱさを懐かしみつつも、人生捨てたもんじゃありません。
そんな気持ちにさせてくれる映画です。

君が素晴らしいと信じるものなら、きっとそれは素晴らしいものなんだ。

2007年02月11日 | 独り言
1・2年前にNHK総合で、「人間の進化」みたいなことを扱った番組をゴールデンタイムに放送していたことがありました。何回かに分けてSP番組として放送されたものなのでご覧になった方も多いかと思います。番組タイトルはスッポリ抜け落ちていて正確に伝えることが出来ないのですが、その番組で北海道のお若い偉い学者さんがおっしゃったおられたことが今でも心に残っています。

とても難しそうな事柄を番組のために出来るだけ解かりやすく平易な言葉で語っておられました。たぶんこんなことだったと思います。

「人間と他の動物達とのハッキリした違いは、他の動物達と違い人間は死というものをはじめて認識した生き物ですよということです。また、死を認識することで人間は恐怖という感覚を認識しました。生き物が必ず死を迎えるとハッキリ認識した時に人間の歴史がはじまったのだといっていいと思います。他の動物達は死というものを自分がいなくなる時まで認識していません。猫や象が自分の死を認識していなくなってしまうというのは本当はないんですよ。彼らは単に今感じている痛みを何とか和らげようと暗い静かで安全な場所に避難しているだけなんです。

人間はですね、死を認識することでその死を回避し克服するためにあらゆるものを生んでいくことになるんです。科学もそうですし、社会もそうですし、神という概念もそうです。私は人間が生んだそれらのものを否定することが出来ません。それを否定することは人間が生きていくということを否定することになるからです。」

このようなニュアンスのことをおっしゃったと思います。

ゴールデンタイムに放送する番組でしたから、きっと若い視聴者も観ることだろうと「どのように伝えればよいのか」ということをよ~く考えて語ってくださったのでしょう。そのお陰で私のようなものも少しだけ科学やら医学の世界と対峙する人々が見ている世界を覗き見させていただけたような気分になりました。

そしてそういう世界とは遠く離れた場所で生活している私は、この番組から得た情報を自分の生活のためにこう翻訳しました。

「君が素晴らしいと信じるものなら、きっとそれは君にとって素晴らしいものなんだ。」

「それは違う」と否定したことで途絶えてしまった事柄を思ってこのような言葉を大事にしようと考えましたとさ。

gallery3にイラストUP

2007年02月09日 | 本・音楽・絵・サブカルチャー
こんばんは!

蟹の季節もあと1ヶ月と半月ほどです。
温泉で蟹三昧は体験できず頭の中で食べた気になって春を迎えそうな
今日この頃です。城崎やら香住やら天橋立やらが「おいでまし~」と
私をニコニコ手招きしています。

しくしく。

gallery3に新しいイラスト「お祭りの日」UPいたしまた。
よろしければご覧くださいまし。

芋が好きでたこが好きでなんきんが好きでげす。

2007年02月04日 | 映画・ドラマ
久しぶりにNHKの朝ドラを観ています。浪速の昭和を舞台にしたホームドラマ「芋たこなんきん」です。もう民放じゃぁ作ってくれそうもない、特殊な演出も漫画のような派手な設定もない、落ち着いてお茶の間でお茶をチビチビ飲み飲み見られる~そんなドラマでなんだか幸せです。

回顧ブームなんだそうです。昭和をキーワードに持ってくるとお客が集まるそうです。丁度私のような世代がターゲットなんだそうです。そう言えばそうなんです。アレヤコレヤと昭和のブームにちょこんと座っておりますよ。これがまた居心地がよくてネ。そんなにたいした時代でもなかったクセに、なんだかとっても凄く凄くよい時期だったような気がしてネ。なんででしょうネ。道具が時を重ねるといい肌合いに育ってきてアンティークとか呼ばれるようになるように、記憶も色々な粒子がピトピトとくっついてきて素晴らしい形に出来上がって来るのでしょうか。

「今がそんなに大変なのかい?」と問いかけられたような。甘ジョッパイ気分になる、懐かしい昭和の町の中をセッセと歩くような家族ドラマ。今週は肝っ玉の据わった吉本と松竹の大姉様のマドンナ達の歯切れのよいかけあいに、背中とポポンと叩いてもらいました。

将来、現在が未来になっていって少しずつ沢山の粒子がついて、「なかなかいい形だ」の思い出になるよう、今を出来るだけ大切にしなさいねと言われているようです。