林檎の唄 ~ アップルビデオ高津店オフィシャルブログ

アコースティック・バンド「アップルビデオ高津店」
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進角の話。その1

2017年04月25日 08時07分33秒 | バイク

こんばんわ。
アップルビデオ高津店 無免許整備士ブルームです。


久々にスポーツスターのカスタマイズ
今回は点火系チューンのお話です。


以前乗っていた現行スポーツスターは
フューエルインジェクション(FI)だったので、
ガゾリン噴射量とか点火タイミングとか
すべてコンピュータ制御になっており、
気温やアクセル開度、エンジン回転数などに応じて
適切なガソリン噴射・点火を行ってくれてました。
と、云っても排ガス規制等のため、
基本的にデチューンされた状態ですが…

まぁ、データの書き換えによって
わりと簡単にチューニング出来るって利点はあります。


現在乗っている旧エボには、そんなハイテク機構なんぞありません
アクセルを捻るとキャブレター(ガソリンを霧化させエンジンに送る装置)の
バルブの開きが大きくなってガソリン吸上げ量が増え、
エンジンの回転速度が上がるっていうシンプルな仕組み。
調整するにはキャブの各種穴のサイズを変更するしかなく、
調整しては走り、また調整しては走りの繰り返しで、非常に大変です。

点火タイミングは、一応電子制御なのですが調整はできません。
ただ、センサーの角度を少しだけ動かせるので、
全体的なタイミングをずらすことが出来ます。
センサー角度をずらすことでコンピュータを欺くのです。
調整できてるような出来て無いような、そんな調整。


今回はその点火タイミングの話。
…と、いきたいのですが、かなり小難しい話になるので
その前にエンジンそのものの仕組みについて説明します。


男子諸兄は中学校で習ったと思いますが
4サイクルガソリンエンジンの仕組みから軽く説明しますと、

① 吸気バルブが開き、ピストンが下ることでガソリン混合気を吸い込む。
② 吸気バルブが閉じ、ピストンが上がることでガソリン混合気を圧縮。
(ここで点火)
③ ガソリン混合気が爆発することでピストンを押し下げる。
④ 排気バルブが開き、ピストンが上がることで排気ガスを押し出す。
以下、1~4のくりかえし。これが4サイクルだ!

③で発生する膨張こそが動力源でして
クランク(イラストの一番下にいる黒い奴)を回転させて
以降の④、①、②と、ピストンの上下の動きに繋げ、
③でまた動力を得て、クランクは廻り続けるのです。

アクセルの捻りを大きくすると、①で吸い込むガソリンが増え、
③の爆発力が大きくなり、ピストンを押し下げる力が強くなる。
その結果、クランクの回転速度が早くなり
バイクやクルマはスピードを上げていくのです。

すげー大雑把な説明ですが、意外と原理は簡単なのです。


じゃあ待て、最初の①と②はどうやって動いてる?


これはモーターとかキックペダルで最初の何回転かを回す必要があるのです。
大昔のクルマやプロペラ機なんかは手回しで始動してましたし、
チェーンソーとかだと紐を引っ張ってますよね?
カブ系エンジンとか今でも普通にキックペダルで始動しますし。


で、今回のお話は②と③の間の、点火のタイミング

②のピストンが一番上まで上がったところ(上死点って言います)で点火して
③の状態になってるイメージだと思うんです。
実はコレ、大きな間違い。

実際は②と③の間くらいのところ、
上死点よりも結構手前で点火しています。

クランクの角度でいうと、②の図は上死点の90度手前、
③では上死点から40度くらい過ぎた位置になっています。
回転速度にもよりますが、上死点の20~40度くらい手前で点火します。

何故なら、ピストンはものすごい速度で動いているから。
ピストンが一番上まで上がった時点で点火しては遅すぎるのです。

この上死点から点火する位置までの角度を進角といいます。

この進角ってのも、エンジンの回転速度によって
適切な点火位置ってのがありまして、
基本的に低回転時は遅め(上死点近く)の点火、
高回転時には早め(上死点よりも手前)の点火が効率的。
低回転時に早すぎると、ピストンの動きと逆方向に力が加わるので
エンジンの回転は止まりますし、高回転時に遅すぎると
ピストンを押し下げるパワーとしてロスが大きくなります。


そんなわけで、低回転時ていうか低速走行時なんですが
スポーツスターのノーマル点火タイミングは
どうやら進角20度でほぼ固定らしくて、
俺的には低回転時の点火タイミングが早すぎると思うんです。
実際、徐行レベルの極低速走行時はガクガクして乗りづらい。

4気筒とか小排気量のバイクだと
アクセルオフでクラッチも触らない状態で
惰性でゆるゆると徐行出来るもんですが
大排気量2気筒ってのはどうにも荒々しすぎる。
半クラッチ多用は控えたいけど、街乗りメインだし…
この辺もう少し乗りやすく調整できないだろうか?

クランクの回転位置を読み取るセンサーの
取付角度が20度くらいの範囲で調整ができるので、
少し遅めれば低速時の乗り心地が良くなるのでは? 
と思いつき、調整してみることにしたのです。

常に点火タイミングが遅くなるということで
当然ながら高回転時のパワーやレスポンスは落ちます。
はたしてそれが許容範囲かどうか…


つづく。



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