りんご別室

新しい読書感想文置き場になりました。

チェーン・ポイズン

2014-01-24 22:59:34 | は行
すごく面白かった。
服毒自殺を追いかける雑誌記者と、自殺を考えている女性の二人の視点で物語が進んでいくのですが、憎いですねぇこれは……
記者さんが事件を追いかけてる中で違和感は覚えてるのに、初めに思い込んでしまったためにそこから中々動けない。頭が固いなぁと思うけれど、これはこれで楽しく読めるからいいのでしょうね。

死んでしまおうかと人生を諦めていた女性が、あと一年生きられたらご褒美として『眠るように楽に死ねる薬』を差し上げますという約束を心の支えに、何とか生き抜く一年間。
自分なりの死ぬ意味を見つけた彼女が、生きたいっていう気持ちに揺れながらも死に向かってひた走る姿に、誰か止めてくれる人が現れてくれたらいいのにと祈る気持ちさえ生まれました。

これは、いいなぁ。読み終わって、すごくほこっとするお話でした。

ふったらどしゃぶり

2013-09-25 09:05:04 | あ行
この本を読んではっと思ったのですが、一穂さんの本って結構女の人が出てきますよね。
奥さんだった人、彼女だった人、現彼女、あとは絶賛片思い中女子とか。
当たり前なんだけど、ああ二人の世界では完結しないんだよなぁって。だから世間様の目を気にしなければならないし、ずっと二人だけでいるわけにもいかないんだ。
それにしても、結婚するつもりでいた彼女へ別れを切り出すっていうのは、中々に中々なことですよね。(何その日本語)

二人が幸せになるのは嬉しいのだけれども、和章さんがな、かわいそうでなぁ……
絶対好きじゃん、何で拒むんだろうなって思ってたら、罪悪感か……辛かったんだろうなぁ。本当に好きで、大切にしたくて、でも気持ちには応えられなくて。
ところで、すごく些細っていうか、細かい話なのだけれども。
焼肉屋さんから出てきた整さんが、「ちょっとこれ、しゅーってして」って消臭スプレーを一顕さんに渡すとこが妙につぼったんですよね。
しゅーってしてって……なんかすごい、かわいいこの人って思った。

一穂さんがブログで「手もつながないままのふたりでだらだら二年ぐらい書きたかったような気がしますが、たぶん私しか読まない。」と書いていらっしゃって、いえ私は読みたいですと思う。
だらだらもどかしいそんな二年、ちょう読みたい。

島はぼくらと

2013-08-15 23:47:25 | た行
感想・・・何て言ったらいいんだろう。あ、青春だ。
すごくわくわくした。どきどきもした。微笑ましくもなった。
ぽつりぽつりと、「島にとって」の大事件が起こる。その度に、島の人たちが繋がったり距離が出来たりする。
そんな島に暮らす子どもたちの物語。青春を過ごす、子どもたちの物語。

島に残ったのは女のせいだよってすごい台詞ですよね。朱里ちゃんの回想のとこで、そうじゃないかなって思ったけど、それにしても源樹君女のせいって言っちゃったよ(笑)と思った。
かわいいなあ。本当に好きなんだなあ。朱里ちゃんが東京に行くって言い出したときのとことか、若干の決まらなさを含めていいと思う。高校生の懐事情だよね。

あと、本木さんの素性がばれるとこの、みなちゃんがいい。子供ってそうだよね。やめどころって、限界が来るまでないんだよね。
すげえよ・・・吐くまで止めないんだもんな。
本木さんがちゃんとかっこよく見えるエピソードでした。印象深い。多分、想像しちゃったから印象深いんだろう。

それにしても、私やっぱり環ちゃん好きだなぁ。
でも、辻村さんの本で一番好きなのは、子どもたちは夜と遊ぶなんだと思う。
スローハイツは何度か読んでるし、メジャースプーンも読んでる。だけど、子どもたちの方は、一度も読み返してない。
好きなのに。この差はどこから来るのかな。今度、久し振りに読んでみようかな。

はるひのの、はる

2013-08-12 23:27:07 | か行
ささらシリーズの3作目にして、完結巻。
私、これが一番好きです。
シリーズの中で一番好き。

そこは、不思議なことが当たり前みたいに起こる町。幽霊が見える子がいれば、幽霊になった猫が人間になったりもする。過去に飛ぶお嬢さんだっている。
春夏秋冬春春とあって、どれも好きではあるけれど、夏が別格で好きです。
幽霊になっても残る気持ちって、おどろおどろしいものばかりが見られがちだけれど(まあ大体ホラーだよね)、どうせ残すのなら、やっぱり大切なものを想う気持ちのほうを残したいよね。心配だから、もう少しだけ傍にいたい。もう少しだけ支えたい。そういう未練。
秋のミヤさんについても、そうだけれど。
殺したいって言いながら、愛された記憶ばっかりうれしそうに話すんだよね。

それにしても、あの小さな赤ん坊だったユウ坊が、随分と立派になってね。感慨深いものです。
そうか、あのユウ坊も結婚か・・・と何だか気分は親戚のおばさんです。
みどりちゃんと翼くん夫婦は素直に微笑ましいばかりなのに。ユウ坊はユウ坊だからなんでしょうね。色々あったものね。
さやさんは、がんばったんだねぇ。

ロミオとロミオは永遠に

2013-06-26 22:28:58 | あ行
どっきどきしながら読んだお話でした。わあぁこれすごくドキドキする……
アキラとシゲルの二人が、お互いを信頼し合って、支え合って、日々の生活を過ごしていく上巻もすごく良かったのですけれど。
下巻のどきどきはらはらはもう……
終盤なんてもう大変ですよね。
新宿クラスのみんなが、思い思いの最後に向かっていくところがさぁ……
ハママツとトワダも良かったし、オワセとイワキも好きだったな。

それにしても、楽しかったです。
二十世紀のパロディがあちこちに落ちてるから、分かるものだけ拾い上げても結構な量ですもん。
上下巻共に最後に収録されてる20世紀サブカルチャー用語大辞典もとても面白かったです。わかるわかるーってなるのは、年を取った証拠か……


恋物語

2013-06-11 21:18:31 | な行
この物語から得るべき教訓は、自分に一度ついたイメージは容易くひっくり返してはならないということですね。
嫌なやつだなと思われた人間が、良いやつになるとあっさり死亡フラグが立つものね。
まぁ例えそんなフラグが立ったところで、花物語では普通に駆け回っていたけれど。
何の後遺症もなかったように思えたけれど。
・・・ちょっとだけ悲しくなった、私の気持ちを返して欲しい。

ところで、本当に忍野さんはどこに行ったんだろう。
これからどこかに絡んでくるんだろうなぁと想像するばかりです。だがしかし、もう真宵ちゃんはどこにも絡んでこないんだよなぁと思うと、悲しい・・・
私は本当に悲しい・・・


魔法使いのハーブティー

2013-04-24 21:43:53 | あ行
大人になった勇希ちゃんがカフェをやっているところも、見てみたいなぁと思いました。
人の痛みが分かる、きっと良い魔法使いの店長になるでしょうね。ふにゃっと笑うマスターも、まだまだ健在でいて欲しいですが……

それにしても、遺産が絡むと人って途端に醜くなるものですね。ただでさえ良さそうとは言えない人は、もう手の施しようもないほど最低な人間に思える。
大体、そういう下世話(と言っては申し訳ないのだけれど)な話を当事者とはいえ子供の前で繰り広げるってのは一体どういう了見なのかと。
衣食は足りても礼節は知らないものなんですよね……

ところで、表紙がかわいいですよね。何度見ても。
つい、つられて買うぐらい。(…


青春攻略本

2013-04-16 12:59:33 | あ行
青春だ……私はこんな愉快な青春は過ごしてない。
羨ましいとは思わないのだけれど、微笑ましいよね。他人事だから、もっとやれーっとも思う。
でも当事者からしてみれば、本当に『今』をがんばってるだけなんだよねぇ。
ちなみに、倉田くんと野上くんが好きです。とても好きです。一番はじめの弓道のとことか、惚れる……

なんだかふと読みたくなったタイミングでむまさんからお預かりしたので再読でした。


傾物語

2013-04-13 11:50:49 | な行
繰り返すようですが、はじめに断っておきますと、私物語シリーズで一番好きなのまよいさんなんですよね。
次点で忍さん。
前の巻で羽川さんがすごく活躍?して、八九寺が私の活躍は次で!って言うから、まぁ有り体に言ってしまえばとても期待していた!私はすごく、期待していたんだ!!
その期待は見事に裏切られたわけですが、もういい。そんなこと言わない。良かった。

こういう道もあったんだ、八九寺が迷わずに、ちゃんと生きていける道もあったんだね。あららぎくんには及ばないにしろ、泣きそうになるぐらいでした。
八九寺さんがいる世界は幸せであって欲しい。
幸せな世界であって欲しい。
傾いた世界なんかじゃ、ダメだよね。
あららぎくんと忍ちゃんの会話で、あぁだから傾物語!ととても納得しました。傾城の美女かぁ。

物語シリーズ至上最強のツーマンセルは、史上最強でした。
さらっと、世界を滅ぼしてしまうぐらい、愛されてた。


ダイアログ・イン・ザ・ダーク

2013-03-21 22:15:16 | あ行
痛い……いたいいたい……

ライムさんは、『ライムさん』を演じるうちに、情が移ったんだろうなぁ。目が無くても、指が一本なくなってしまっても、一緒に過ごしていくうちに、優しくしているうちに。
それが本物なのか、偽物なのか、自分でも分からなくなっていったんじゃないかなぁ。
初めはお芝居でも、銀河鉄道の夜を読んで涙を零したライムさんは、きっと本物だった。

ところで栗山さん、たまに朗読怪しい(笑)