・・・ ザヮヮヮヮ ・・・・・・
グツ グツ ・・・
湯気が風で流れていく・・・
その先に、風でゆれる葉っぱ。
暗いけど、音のするしゆれているのが分かる。
ハウスボートは、もう止まっている。
1階の外はテラスになっていて、そこでごはん。
屋内からテーブルを出して、鍋が3つ置かれている。
カセットコンロで煮てる。
ドアは開けてあって、中のテーブルも使える。
グツ グツ
トマト鍋と水炊きと、すき焼き。
私は、まずすき焼きを食べる。
グツ グツ
お椀に卵を入れて、かき混ぜてある。
白いご飯のお茶碗も、置いてある。
シャワーを浴びてまだ完全には乾いていないから、冷たい風があたると寒い。
「もういいんじゃないかね?」
向かいに座っているハットさんが、ノロマさんに聞いた。
私も同意見である。
前にキャンピングトレーラーの中で食べたのがおいしかったらしく、ハットさんもすき焼きたべる様。
「もういいですよ」
「いただきます」
―― ス
お箸でお肉をつかむ。
私のお箸は黒いステンレスで作られていて、滑り止めの溝も入ってない。
お箸の先は、すぐ熱くなる。
パク
卵につけて、食べる。
パク
続けて、ご飯も食べる。
モグ モグ
おいしい。
とうふやシイタケも卵に入れておく。
「お肉たくさんあるからね」
「うまいな」
コックさんは、水炊きを食べてる。
今日はエレガントさんとノロマさんとフワリさんとウェーブさんが、ごはんを作ってくれた。
コックさんはいつも食べるのが遅くなるので、今日は最初から食事する。
「ニャー」
黒猫も、テーブルの下で食事。
テーブルにはランタンが置いてあるけど、いくつかはカボチャランタン。
中身を出したカボチャの皮に、目と口の形の穴をあけて、中にランタンをいれたもの。
床にもいくつか置いてある。
パク
お肉とシイタケを一緒に食べる。
船の先を見ると、トマト鍋を食べていたノッポさんが、お皿を持ったまま夜空を見ている。
空はよく晴れていて、星がたくさん見える。
流星でも探してるのかな。
・・・ ―― ♪ ♪
グツ グツ
エレガントさんは、キッチンにいる。
4つ目の鍋で、何か煮ている様。
人数も多いし、マッチョさんや斧さんはすごい食べるから食材も多い。
最初にうちは、減った分を足して煮ていては時間がかかるから、もうひとつ作っている様。
「・・・・」
水炊きを食べていたカールさんが、すき焼き見てる。
「ピィ」
テーブルの端っこにあるカボチャランタンの横で、メジロが鳴いた。
黒猫たちと一緒に歌いたいのかな。
すぐ近くにいたリスも、カボチャのそばに来た。
ツン ツン
すると、メジロがリスの毛づくろいを始めた。
「・・・」
リスは気持ちよさそうに、ふせた。
私の卵の中には、白菜とお肉。
ニンジンもいれる。
パク
お肉と一緒に、ぜんぶ食べる。
体がポカポカする。
ボートは川のほとり。
ゆっくり揺れる。
空を見ると、だから星もゆれる。
お鍋の中に、減った分のお肉が入ってる。
分かりやすいように、白菜の向こう。
風は冷たいけど、もう寒くない・・・
♪ ♪ グツ グツ
♪♪ ・・・・ ヮヮヮヮ ・・・・・