サイン

2017年01月04日 13時26分12秒 | マーロックの日記

                             ザヮヮヮヮ   ・・・・

                                           ピ  ピ

          ギシ ――

「・・・行こう」

「うん」

                                              ゥゥゥウウウ   ――――

つよい風・・・

この時期にすると暖かくて、湿ってる。

「雲が速いね・・・」

「はい」

雨が降りそうな感じ。

                 ジャリ

       スリ スリ

「ミャ~」

「ちょっと待ってね」

写真を持っているバレッタさんの手に、しまネコがスリスリしてる。

プルームさんが持って来てくれた大型ドローンが置いてある。

これから飛ばす。

固定翼のドローンで、崖下の森に車を発見した。

バレッタさんがキラッと光ったのを見逃さなかった。

みつけたのは朝の10時頃で、太陽の角度が変わって光が森の中に届いたらしい。

私たちがいた場所よりも西だったので、すぐ移動した。

GPSが示した場所よりも、やや東。

崖がやや出っ張っていて、そこからなら森までドローンを下せるかもしれない。

急な斜面には木がたくさん生えていて、足場が崩れる心配は少ないと思う。

ただ、うっかり足を踏み外すと大変だから、ドローンを操縦するカールさんとサポートするマッチョさんはロープを付けている。

体に巻いて、反対の端っこをトラックに繋いである。

もう長さは測ってあるから、崖のギリギリまで行ける。

ディスプレイの付いたコントローラーも、ストラップを付けてカールさんが首から提げてる。

       ペタ

「これで取れないですか?」

「・・・まぁ、取れたらしょうがないね」

バレッタさんが、写真をドローンに貼り付けた。

両面テープで貼ってあるだけなので、風で剥がれるかもしれない。

どういう状況で下に車がいるのか分からない。

ドローンで確認した限りでは、車の天井はちゃんと上を向いていた。

転げ落ちたのかどうか分からないし、もし落ちたんなら乗っていた4人は怪我をしているかもしれない。

300mはある高さだから、最悪の状況も考えられる。

「これでいいか・・・」

「・・・うん」

ノッポさんが、無線機を発泡スチロールで包んで保護してる。

もし下に4人が無事でいるなら、これを届ける。

マッチョさんたちの行く場所なら、直接話せるかもしれない。

もし無理でも、バッテリー駆動の中継器がある。

ドローンで飛ばせば、会話できるだろう。

最初はドローンだけで行く。

                  ジジ  ――

                                 人がいる  ――

「え?」

トランシーバーで、マッチョさんから連絡が来た。

崖を見ると、マッチョさんたちは予定のポイントにいる。

単眼鏡で下をみてる。

    ジジ

「お兄ちゃん?」

                      ジジジ   分からない  ・・・・

                                      最初から箱をもっていこう   ジジ  ・・・

「わかった」

            ジ  ジジ

    ゴト

プラスチックケースに、ノッポさんが無線機を入れた。

「お水は?」

「・・・それは後にしよう」

「うん」

              ペリ

ドローンから写真を剥がす。

「これも中にいれよう」

「そうだね」

白トナカイの写真。

最近撮ったものらしく、去年の冬のようにもう立派なツノが生えてる。

雪壁で戦った時、私の乗るソリを引いてくれた大きなトナカイ。

ヘテロたちなら、この写真を見れば私たちが来たと理解するだろう。

最初にドローンで上空から撮った映像には、人はいなかった。

警戒している可能性もあった。

だから、バレッタさんのアイデアでこの写真をプリントして張ることにした。

          パタ

フタを閉じる。

「そっちを持ってくれるかい」

「・・・はい」

                       ――――

シャープさんとハットさんが、大型ドローンを持ち上げた。

お腹の部分に、箱を掴ませるツメがある。

30kgぐらいまで抱えて離陸できる、パワフルなドローン。

大型の専用バッテリーを2つ積んでいて、何も持たせなければ30分は飛べるらしい。

30kg持たせると、10分以下になる。

悪天候でも、飛べる。

       ジジ

「掴んで」

         ウィン

ツメがうごいて、箱を掴んだ。

カールさんは、ヘッドセット型の無線機を付けている。

「いいよ」

             ジジ    はい   ――  ジジ

「・・・こっちおいで」

「ミャ~」

バレッタさんが、しまネコを抱えた。

                        ウィィィィン

飛んだ・・・

周囲の土が舞い上がる。

                                             ィィィィ   ン

この辺りは土が残っていて、草も結構ある。

               ギィ

ハシゴをのぼる。

荷台の上の方が、よく見える。

               ギィ

                             ニャ~

すでに黒猫は上にいて、私たちの様子を見てる。

                  ――   ・・・・

ノロマさんやフワリさんは、外に広げたテーブルの周りでタブレットを見てる。

大型ドローンには、コントローラからの指示で自由に動かせるカメラが付いてる。

マルチコプタ―なので、同じ場所をジッと撮影することもできる。

GPSと気圧計を搭載しているから、もしコントローラーからの通信が切れても自分で戻ってくる。

            

荷台から南の方を見ると、プルームさんとガードさんがみえる。

石の柱がある場所で、あそこにも銃の跡が見つかった。

4、5発あった。

他にないか探してる。

    ギィ

「私も上で見ます」

「うん」

バレッタさんとハットさんと、リフも来た。

「下りていくよ・・・」

「うん」

タブレットを見ると、森がどんどん近づいてる。

斜面には、思った以上に木や草。

「シカだね」

「はい」

シカがいた。

                                        ヮヮヮヮヮ  ・・・・・

「・・・いた」

人がこっち見てる。

2・・・4人いる。

「・・・お兄ちゃんたちだ!」

「そうだね」

まだ距離があるけど、黒と灰とヘテロだとわかる。

もう一人は、知らない男性。

依頼主だろう。

灰が双眼鏡を持ってる。

・・・マッチョさんとカールさんがみえているんだろう。

もう私たちだと気づいてるかもしれない。

                  ジジ  ・・・

「いたよ」

                             ――  戻ります  ジジ  ・・・

プルームさんから、返事があった。

「・・・よかったね」

「うん・・・」

バレッタさんの目に涙。

「お水やっぱりのせた方が良かったかな」

「・・・用意しておくよ」

「うん・・・」

        ギィ

リフがハシゴを下りる。

「パンもね」

「・・・うん」

              ジジジ  ・・・

「下りれそう?」

                      ・・・・  はい  ・・・

マッチョさんから返事。

                                    ジジ    間違いないね  ――

「うん」

       ジジ  ・・・

紅葉で色の変わった木の葉よりも下。

木と木の間から、直接地面まで箱を運べそう。

「・・・元気そうだね」

「はい・・・」

久しぶりに見たけど、ヘテロは左右の目の色が違うからすぐわかる。

バレッタさんの兄の黒と、孤児院で一緒だった黒よりも年下の灰もいる。

・・・黒たち3人は、もう警察から逃げているブローカではない。

目の色で呼ぶことにしよう。

灰は灰色の目なので、グリ。

ダークブルーの黒は、ブラウ。

ヘテロはヘテロクロミアなので、そのまま。

視点が高くなる。

箱を地面に置いて、高度を上げたらしい。

やや後退して、グリが箱を開けてるのが映った。

「・・・・」

どうして森にいるのか分からないけど、無事らしい。

もう一人の男性と4人とも、自分で歩ける様。

大きなケガは無いようで、よかった。

トランシーバーを出した。

地面まで運べたから、発泡スチロールで包む必要はなかった。

場合によっては、ある程度の高さから箱を落とすかもしれなかったから包んだ。

                                      ウィィィ    ン

レース用ドローンが飛んだ。

マリオットさんが飛ばしている。

あらかじめ用意しておいたもので、中継器を吊ってある。

崖の方に飛ばす必要はない。

ある程度の高さまであれを上げれば、私たちの無線機と中継してれる。

「写真見てる」

「うん」

             ジジ ジ

                          聞こえる  ?    ――

グリの声だ。

         ジジ

「ケガしてない?」

ハットさんからトランシーバーを完全に奪ったバレッタさんが、返事した。

                   ジジ ジ     だいじょうぶ  ・・・

「すぐ水とパン送るからね――」

             ジジ  ・・・

「私用意してきます」

「うん」

           ギィ

                          

バレッタさんが下りる。

カメラに向けて、グリが何か手を動かしてる。

白トナカイの写真を持っていて、どうやら理解したというサインの様。

                        ピ  ピ  ピ  ピ

「・・・・」

「・・・アラーム?」

リフに渡していた時計のアラームが鳴った。

気圧の急な低下を知らせるもの。

「・・・気圧が下がってます」

空を見る。

「・・・・」

北に大きな雲。

「・・・雨が降るね」

                      バタタ  ―――

                                                   ゥゥゥ  ―――

                    ――   ・・・・  

風。

強い。

「はい」

谷の対岸の方、もう雨が降っているのがここからわかる。

たぶんこっちに来る。

周囲を見る。

この辺りは、たぶん水の通り道になる。

高台は見た限りない。

     ギィ

私も下りる。

すぐ移動した方がいい・・・・

               ミャ~

                                  ヮヮヮワワワ  ―――

                                                      ゴォォォ  ・・・・

              ――  ・・・・

ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« あんこ | トップ | モクモク »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

マーロックの日記」カテゴリの最新記事