小シート

2017年07月10日 13時42分35秒 | マーロックの日記

                        ―――

                                               ァァァァァ  ・・・・・・

               ポチャ

暗い・・・

雨が降って来た。

ラジオの予報通り。

「予報通りだったね」

「はい」

ゼリーのフタとかリンゴの芯を入れた木箱を荷台に置いて、崖のたき火に戻って来た。

「クゥン」

レトリバーがプルームさんに撫でられている。

タープの下にあるから、たき火は燃えてる。

強く燃やしてはいなくて、ぼゃっとしてる。

「zzz」

子クマは寝てる。

置いてあったクラゲ傘をとる。

                      ――

                                          ヮヮヮヮヮ  ・・・・・

強い雨ではなくて、小屋の連中は動かない。

        ――

黒猫がついてくる。

「ニャ~」

傘を持っていない方の手で、黒猫を持ち上げる。

今はしとしと雨でも、強くなるかもしれない。

別の場所が強く降っていれば、大量の水が流れて来てまた荒野が湖になるかもしれない。

それが分かっていないわけではないだろうけど、小屋のやつらは帰らない。

「・・・・」

財宝はそんなにすごいのかな。

           ポチャ

・・・少し歩くと、土から石が出てる。

表面の水が、ライトの光を反射する。

「・・・」

黒猫は4つの足を動かしながら、地面をみてる。

土壁の内側には、マッチョさんが運んできたシートが屋根のかわりに張ってある。

それほど大きなものではないから、雨宿りができるのは一部だけ。

私が座っている木箱の所にも、シート屋根はある。

土壁利用した。

反対側は石にペグを打ちこんで、張ってある。

だから屋根は斜め。

「・・・」

私が持って歩いているけど、黒猫は自分で歩いてるつもりなのかな。

                ポチャ

                                              ゥゥゥゥ  ・・・・・

合衆国などがある大陸などは、ヨーロッパの人が再発見したことで新世界と呼ばれる――それ以前から知られていた陸地は、旧世界と呼ぶ。

広鼻猿類は南側の大陸に住んでいて、新世界ザルと呼ばれることもある。

私たちの祖先は、4000万年ほど前に広鼻猿類と分岐する。

およそ300万代前の祖先になる。

―――ある人は、親から正確に半分の遺伝子を受け継ぐ。

父親と母親からそれぞれ半分ずつ。

そしてその人が生んだ子は、平均して親、その子からみて祖父母からそれぞれ1/4ずつ遺伝子を受け継ぐ。

ただ、これは確率であってまったく受け継がない可能性もある――祖父母のどちらか片方の遺伝子だけが孫に渡った場合だけど、そんな可能性は非常に小さい。

20世代後の子孫は、確率的に約1/1000000の遺伝子を受け継いでいる。

30世代後の子孫では、約1/1000000000となる――31世代目は約1/2000000000。

40世代後なら、約1/1100000000000。

共通する遺伝子は多いだろうし、子孫同士が結婚することもある。

それでも次々と世代を重ねれば、ある人の子孫であるにも関わらずその人由来の遺伝子を受け継いでいない場合は容易に増える―――

広鼻猿類は、鼻孔が横に広がっている。

現生種は、みな南の大陸に住んでいる。

ただ私たちの祖先と分岐した時はおそらくアフリカにいたと思われ、その後南の大陸に漂着したらしい。

どうやって移動たのかは分からない。

今ほど遠く離れてはいなかったから、小さな島から島へ、移動したかもしれない。

あるいは海を漂う木に乗って移動したのかもしれない――海流の向きはちょうどよかったと思われる。

他の種でもみられるこうした漂着は、極まれにしか起こらない出来事だったろう。

広鼻猿類の祖先は、アフリカでは子孫を残すことができなかった。

南の大陸でサルの化石が見つかるのは2500万年前で、それ以前で4000万年よりは後に漂着したことになる――1000万年という時間は、私たちの日常の間隔では長すぎるもので、それほどの時間があれば稀にしか起こらないような漂着もあっただろう。

彼らとほぼ同じ時期に、やはりアフリカからヤマアラシ亜目の齧歯類も漂着した。

小型の動物は漂流物にのっている事がよくあるけど、この時のヤマアラシ亜目の漂着は1度だけだったように思われる――アフリカにいる近縁種との比較によるもので、それほど強い証拠ではない。

広鼻猿類の祖先も漂着は1度だけだったと思われるけど、これも正確には分からない――これもアフリカのどの霊長類よりも彼ら同士が互いに近縁であるというだけの理由で、何度か移動があった可能性はある。

ちなみに22年前のエレン・J・チェンスキーらの報告では、木と根っこが絡まったかたまりにイグアナが15匹のって海を渡った――彼らの体長はおよそ1~2mで、それまでその島にはいなかった種。

この木の絡まったかたまりには、大きなもので10m以上の木もあった様――地元の漁師たちは2日かけて海岸に移動させ、その際木の上と浜の両方でイグアナを見たらしい。

チェンスキーらは直接それを確認し、さらに1kmほど離れた小島でも確認した――数年後でも確認されており、少なくともこの漂着の際、繁殖可能なメスが1匹はいた事になる。

広鼻猿類の祖先は、およそ2500万年前から2000万年前ごろにかけてサキ亜目、クモザル亜目、オマキザル亜目、ヨザル亜目、マーモセット亜目に分岐する。

ヨザルは真猿類では唯一の夜行性で、大きな目をもっている。

ピグミーマーモセットはネズミに近いサイズで、真猿類ではもっとも小さい。

クモザルたちはシッポでものを掴むことができ、腕と足と尾の好きな組み合わせで木にぶら下がれる――この大陸では、別の動物群でもものを掴むシッポが見られるけど、別の地域にもそれがいないわけではない。

ホエザルはテナガザルの様に、手でぶら下がってゆらゆら揺れる――そして騒ぐ。

哺乳類は長い間夜行性の生活をしていたため、現在でも2色の色覚しか持たないものが多い――それ以前の祖先は3色だったと思われ、有袋類は一度も3色を失うことがなかった様。

人は一般には3色だけど、2色の人も4色の人もいる。

2色の人は男性に多く、彼らが実際にどういう感じで見ているのかは分からない――1人ひとりが違っているかもしれない。

赤緑色覚障害と呼ばれる人たちの場合、草のような色と血の様な色がほとんど同じような色に見える様ではある。

4色の人は女性に多く、3色の人が同じ様に見えている色を別のものと感じているだろう――鳥類は4色が多く、5色のもいる様である。

霊長類では、2色から3色への変化は2度起きた。

広鼻猿類と分岐した狭鼻猿類と、ホエザルで――狭鼻猿類…類人猿と旧世界ザルは鼻孔が下を向き幅が狭く、広鼻猿類と違って完全な月経をもつ。

ホエザルは類人猿に似た色覚の様だけど、その変化は独立して起きた。

こうした色覚の再発見は、果物を探すのに役に立ったのかもしれない。

緑っぽい色が多い森では、果物の色は目立つ。

果物にとっては、種子を分散させてついでに肥料も与えてくれるので果実食者に発見された方がいいだろう――なので、果物が目立つ色であるのはそう進化したからだろう。

ただ3色色覚は、元気な葉っぱを見分けるのにも役に立ち、こっちは植物には不利益だっただろう。

ホエザル以外の広鼻猿類は変わった色覚の仕組みを持っている――すべての広鼻猿類がそうではなく、ヨザルは単色で、一部のキツネザルも同様の色覚を持つ。

彼らは、雌雄ともに青の色覚は持っている――常染色体にある。

X染色体に赤と緑があるのだけど、どちらか片方しか持つことがない。

したがってX染色体を1つしか持たないオスは、2色にしかならない――青と、赤か緑。

ただ、青と緑のオスと、青と赤のオスとがいる。

メスは2つのX染色体を持つので、X染色体がそれぞれ赤と緑だったなら3色になる――2つとも赤だったり緑だったら、2色になる。

人では、3色の人が騙されやすいカムフラージュが、2色の人には容易に見分けられたリする事が分かっている。

同じ集団に異なる色覚を持つ個体がいる場合、より多くの果物を見つけられるのかもしれない――赤と緑が同じくらい上手くやっていけるという可能性は低いと思われ、そうでなければどちらか片方により偏っていると予想される。

また、緑と赤のどちらか劣っている方が減ると、数が少ないという事が有利になって勢いを取り戻すタイプの選択も考えられる――ある病気に弱い遺伝子が別の病気に強いとして、もともと苦手な病気がそれに強い遺伝子が広まることで病原体が減った場合、そのせいで有利になったりするのと同じ考え。

そして、ある確率であらわれる3色のメスが受けるメリットだけでも、こうした多型を維持するのに十分なのかもしれない。

ホエザルは転座によって3色になった。

これは染色体の一部が、ミスによって別の、あるいは同じ染色体にはまり込む事で、ホエザルでは同じX染色体に緑と赤が隣接して並んだ。

私たちの祖先は、別の方法だった。

広鼻猿類には3色の遺伝子が最初から混ざっていたけど、私たちの祖先ではもともと2色で、多型がなかった。

それで最初の突然変異を起こした個体には、例えばX染色体上に緑が2つ並んでいた様な状態だった――その時点では、まだ2色。

この2つある遺伝子の片方はそのまま残り、もう片方がゆっくり赤に向かって進化した。

この重複領域にはアルー…Aluという遺伝子があり、これは転移因子として知られている――ウイルスの様なもので、どうやら偶然近くにあったオプシン遺伝子を複製した様である。

ヒト遺伝子では、100万年あたり0.1~1%くらいの遺伝子重複が起きている様である。

                                        ポタタ  ・・・

              チャプ

木箱イスに座る。

「ニャ~」

黒猫をテーブル木箱にのせる。

シート屋根の下だから、上からは雨があたらない。

横からはすこし来る。

             ――

黒猫が前足を動かして、それを狙っている様。

木箱を守っているのかな。

私が座りやすいように、テーブルは斜めのシートの近い方に置いてる。

        カタ

クラゲ傘を畳んで、手すり倒木にかける。

「ニャ~」

それを見て、黒猫が鳴いた。

開いたままの方がいいのかもしれない。

     コト

タブレットをみる。

空が雨雲で覆われて、監視カメラの映像は真っ暗で何も分からない。

ライトの灯りが、少しわかる程度。

       ゴロ

横に転がった。

眠そうなら、フタを開けてあげよう。

中に入れる・・・・

                         ポチャ

                                             ァァァァァ   ・・・・・

         ポタ

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