はぐれた水

2013年08月05日 03時35分58秒 | マーロックの雑記

              ザァァァァァァァァ  ・・・・・・・・

                                 ・・・・・・ァァァァァァァァァ   ・・・・・・・・

ぼやけた影がのびる・・・

辺りを見ると、ポツポツにじんだ光が現れる。

屋上にあるライトが、灯り始めた様。

まだ太陽は出ているけど、空が雲に覆われて薄暗い。

後ろを見ると、木の柱にある古いランタンのような外観のLEDライトがぼんやり光っている。

それで、影が出た。

屋上の左舷後部には林があって、そこにバス停みたいなベンチがある。

上には木の屋根があって、雨でも平気。

側にはレトロな車がいる。

「・・・・」

私はベンチに座っていて、隣にはまるまったチワワ。

船の後部も、屋上は谷で分かれている。

ここから、右舷が見える。

向こう側にも木は生えていて、その向こうにはバスケットコートがある。

船の一番後ろで左右はつながっていて、私のいる林の裏あたりからそこまで、ミニゴルフのコース。

「ミャ~」

少し強くなった雨の下でウロウロしていた子ネコが、戻ってきた。

                      ブルルル ・・・・

私にかかるのはお構いなしに、ブルブルする。

背中に乗っていたリスも一緒で、ベンチに飛び移った。

                   パシ ――

                                    トトトト   ・・・

しばらくキョロキョロしたあと、チワワの頭にのっていたフードを外して、去った。

黒猫はレトロな車の屋根の上で、落ちてくる水を見てる。

葉が集めた雨は、枝を伝って幹を流れ落ちている。

だけど、少し集まった水が枝から直接落ちている。

それが車の金属の屋根にあたって、弾けるような音。

私の上は木の屋根で、それに落ちてくるのはもっとにぶい音。

          ザァァァァァァァァ  ・・・・・・・・

                            ・・・・・・・・・・ァァァァァァァァァ   ・・・・・・・・・・

ある化学反応の速度を速めるものを、触媒と呼ぶ。

私たち生物の中では膨大な化学反応が起きており、それらの連鎖でエントロピーを下げ続けている。

そうした生化学反応を進める触媒は、酵素と呼ばれる。

例外はあるけど、酵素は主にタンパク質で構成される。

酵素はそれだけを取り出すことができるので、医薬品や工業用の化学製品などの生産にも使われる――酵素を使わない場合、効率がとても悪いので。

好ましくないものが体内に入った場合も、その分解を酵素が触媒する。

酵素には、それ自体以外に補因子を必要とするものがある。

補因子は、大きく3つに分類される。

酵素タンパク質に強く結合したものは、補欠分子族と呼ばれる。

補酵素と呼ばれるものは、熱に強く、分子量が少なく、結合が弱いので透析などでとれる。

酵素から補欠分子族や補酵素を取り除いたものをアポ酵素とよび、補因子が結合したものはホロ酵素とよぶ――アポ酵素に補因子を加えると、活性が回復する場合が多い。

3つめは金属イオンで、これは強く結合する場合もそうでない場合もある。

生体でおきる様々な化学反応のほとんどは、酵素反応によって支えられている。

酵素が触媒する場合、そうでない場合に比べて100万~1兆倍の反応速度となり、これは一般的な触媒と比べても数桁速い――そしてその活性は、反応にかかわらない物質によって調整される。

またふつうの触媒が、高温、高圧、極端なpHという激しい条件が必要である場合が多いのに対して、酵素は100℃以下、常圧、ほぼ中性のpHという、穏やかな条件で進む――pHは104年前に、セレン・セーレンセンが導入した水素イオン…H+の濃度を常用対数であらわすもので、7以下なら酸性、7以上なら塩基性。

また、酵素反応は不完全反応や副反応はほとんどなく、長いポリペプチドもほぼ間違いなく合成される。

                    バチバチ  ・・・

                                          ミャ~

私たちは生きていくのに、炭水化物と脂質とタンパク質が必要。

だけど生化学の発展で、それ以外にも、少量だけど必要な栄養素の存在が分かっている――それらが欠乏すると病気になる。

有機物ならビタミン、無機物ならミネラルという。

それらを必要な量だけ合成できない生物は、摂取しないといけない。

ビタミンは水溶性か脂溶性かで、大きく分類される。

水溶性ビタミンの多くは補酵素の一部で、食べた後、化学反応で補酵素になる。

植物もこうした補酵素を必要とするけど、二酸化炭素、アンモニア、硫化水素などから、自分で作る。

それで、私たち動物は植物をビタミン源とする――肉食でも、もとは草食動物が植物から得ている。

ビタミンは101年前、東洋で多く見られた脚気に関連して発見される。

117年前に、クリスティアーン・エイクマンが東南アジアで、米ぬかに脚気の予防と治療の効果があることを突き止める――翌年にそれを発表し、米ぬかの研究が盛んになる。

そして15年後、カシミール・フンクがその有効成分を抽出する――これはチアミンで、ビタミンB1

フンクは、それをバイタル・アミンと呼んだ――生命に必要なアミンという意味で、これがビタミンと呼ばれるようになる。

その3年後、エルマー・マッカラムがバターと卵黄から、ネズミの成長に不可欠な栄養素を抽出する。

脂溶性のものと水溶性のものがあったので、それぞれAとBと呼んだ――Bはフンクが発見したもので、このためビタミンBと呼ばれる。

さらにその6年後、ジャック・ドラモンドが柑橘類から、壊血病の予防成分としてアスコルビン酸…ビタミンCを抽出する――ビタミンはアミンだけではないという事で、ドラモンドはビタミン…Vitamineからeを取って、ビタミン…vitaminと変えた。

ビタミンBの発見の後、水溶性で似た性質のビタミンが発見されたので、チアミンをB1、他のものをB2、B6と言う様に区別するようになった――抜けている数字があるのは、ビタミンでなかったり、他のビタミンの一種であることが後に知られたもの。

                  チャプ  ・・・

水溶性のものはビタミンB群と呼ばれ、8種が知られている――チアミン、リボフラビン、ナイアシン、ピリドキシン、ビオチン、葉酸、コバラミン、パントテン酸。

それに、ビタミンCが水溶性。

最初に発見されたビタミンB1…チアミンは不足すると脚気になって、やがて死んでしまう。

脚気は、精白米を主食とする国で難病として昔から知られていた。

古い精米法ではチアミンに富むお米の外層が残るけど、機械精米になってから外層がきれいに取り除かれるため、それが普及した前世紀の初頭に脚気が蔓延する――精米前に湯通しする習慣がある場所では、チアミンが米粒に浸透するので脚気が少ない。

反芻動物は胃内細菌によってこれを得れるけど、他の動物には必須の栄養素。

乾性脚気では、神経炎を起こして中枢神経がやられ、力が入らなくなり、体重が減少する。

湿性…浮腫性脚気では、浮腫、心臓障害を起こし、動物実験では脳機能が損なわれる。

動物組織や酵母には、補酵素のチアミン二リン酸…コカルボキシラーゼとして存在する――酵母にはアポ酵素であるピルベートデカルボキシラーゼがあるけど、動物細胞にはアポ酵素はない。

植物の種子に多く、特に穀類の皮に多い。

チアミンは水溶性で多く蓄えることができないので、毎日摂取する必要がある。

チアミン不足は、食糧不足の地域でなければ、現在は深刻な問題ではない――慢性アルコール中毒で、食べずに飲んでばかりの場合は不足することがある。

リボフラビン…ビタミンB2は、2種のフラビン補酵素の構成要素――フラビンモノヌクレオチド…FMNとフラビン-アデニンジヌクレオチド…FAD。

カビや細菌、植物はリボフラビンを合成するけど、動物はしないので、食べて摂取しないといけない。

これの欠乏症は人の場合ほとんどないけど、皮膚炎や口角炎、舌の黒ずみなど――ネズミの実験では、欠乏すると成長が止まり、白内障、神経への影響、そして生殖が止まることが知られている。

FMNとFADがフラボタンパクと呼ばれる諸酵素の補因子であることは分かっているけど、その詳しいメカニズムはまだ分かっていないことが多い。

ナイアシンは、ニコチン酸ともいう――ニコチンアミドとともに、ビタミンB群の一種。

このビタミンの補酵素型は、ニコチンアミド-アデニンジヌクレオチド…NAD+とニコチンアミド-アデニンジヌクレオチドリン酸…NADP+――ニコチンアミドヌクレオチド、ピリジンヌクレオチドといった場合、NAD+とNADP+の両方の意味。

ナイアシンは、当初ビタミンだとは考えられていなかった。

これが欠乏すると、ペラグラにかかる――皮膚、特に露出している部分に炎症を起こし、舌が黒くなり、消化吸収障害と腸内出血を起こす。

ナイアシンは、人の場合アミノ酸のトリプトファンから合成できる。

だけど合成量は少なく、摂取する必要がある。

ビタミンB6には、ピリドキサル、ピリドキシン、ピリドキサミンの3つがある。

これが欠乏すると中枢神経障害が起きて、てんかんに似たけいれんを起こすけど、人の場合ほぼない。

ビオチンは、ある種の細菌の発育因子として発見された――補酵素型はビオシチン。

動物は腸内細菌が合成するので、ふつうは欠乏することはない。

だけど、卵白を大量に食べると卵白障害という栄養障害になる――白髪や脱毛、神経障害など。

卵白にはアビジンというタンパクがあり、これがビオチンやその誘導体と強く結合するため、ビオチンを要求する反応を阻害する。

葉酸は成長に必要な因子で、腸内細菌が合成する。

これの誘導体は正常な赤血球をつくるのに必要で、欠乏すると巨赤芽球性貧血を起こす――赤血球のかわりに大赤芽球ができる。

コバラミン…ビタミンB12が欠乏することでも悪性貧血を起こし、症状が似ている。

メチオニンシンターゼというB12依存の酵素が、B12不足で不活性化すると、哺乳類ではこの酵素が唯一触媒する5-メチルTHFに葉酸が結合してしまう――THFは、テトラヒドロ葉酸。

このため、悪性貧血の症状は、葉酸投与で軽減される――神経症状は軽減されない。

87年前に、悪性貧血には生の肝臓を食べると効くことが発見される――このとき、ビタミンB12が発見される。

悪性貧血は、赤血球の減少、ヘモグロビン量低下、神経細胞膜に奇数炭素脂肪酸が蓄積することによる進行性神経劣化の症状があり、高齢者には致命的である。

生の肝臓を毎日食べるのはつらい治療だったけど、65年前にコバラミンの単離に成功する。

コバラミンの合成は植物も動物もできなくて、可能なのはある種の細菌だけ――草食動物は消化管にいる細菌から得れ、人は肉などからすべて得ている。

これは、胃が分泌する内因子という糖タンパクと小腸で結合し、粘膜で吸収されたのち内因子と解離されて血液で運ばれる。

悪性貧血は、コバラミンの不足よりも内因子の分泌不足によることが多く、これは分泌する細胞が自己免疫で破壊されるため。

人は肝臓に3~5年分のコバラミンを貯蔵するので、悪性貧血は知らないうちに進行するけど、肉をまったく食べない人でも、これが不足することは珍しい。

パントテン酸も成長因子で、動物では腸内細菌が合成するので欠乏症はほぼない――CoAに結合することで、代謝に重要な補酵素になる。

                        ヒュゥゥゥゥ ・・・・

                                            ・・・ ゥゥゥ  ・・・・

植物とほとんどの動物は、D-グルコースからアスコルビン酸…ビタミンCを合成する――これも水溶性のビタミン。

私たち霊長類やモルモットは、この過程の途中で必要なL-グロノラクトンオキシターゼという酵素がないので、合成できない。

このため食べないといけない――私たちの祖先が森にすんでいたころ、果物などビタミンCが豊富な食べ物がよく手に入ったなどの理由で、合成できないことが不利ではなくなったのかもしれない。

アスコルビン酸が慢性的に不足すると、壊血病になる――浮腫、皮下出血、貧血、歯や歯肉の変化を起こす病気。

昔、長い航海をする船乗りたちの命を脅かす病気だったけど、新鮮な野菜や果物を食べるとかからない。

これは、アスコルビン酸の不足で結合組織の細胞外マトリックスに含まれるムコ多糖の性質が劣化するため――上皮、筋、神経でない組織を結合組織と呼び、アミノ酸を含むヘテロ多糖…2種以上の単糖でできた多糖のことをムコ多糖という。

アスコルビン酸が生理作用で酸化すると、デヒドロアスコルビン酸になる――これは可逆的な変化で、グルタチオンなどの作用でアスコルビン酸に戻る。

デヒドロアスコルビン酸が加水分解されると、ビタミン活性のないジケトグロン酸になる――これは不可逆的な変化…一方向にしか進まない反応。

コラーゲンはすべての多細胞生物に存在し、脊椎動物では最も多いタンパク――全タンパク重量の30%ほど。

これは細胞外にあって、不溶性で張力に対して強い繊維で、骨、歯、軟骨、腱、靭帯、皮膚、血管の繊維など、結合組織をひずみに強くしている――コラーゲンは、あらゆる組織にある。

哺乳類では、少なくとも46種の遺伝的に異なるコラーゲンペプチド鎖があって、28種のコラーゲンをつくる。

放射性同位体によるラベル実験で、コラーゲンは合成されたのちにヒドロキシ化されることが分かっている。

このための酵素はプロリル4-ヒドロキシラーゼで、これが働けない条件で合成されたコラーゲンは24℃で変性するけど、天然のコラーゲンは39℃で変性する――変性したコラーゲンは、ゼラチンという。

このプロリル4-ヒドロキシラーゼの活性に、アスコルビン酸が必要になる。

つまりアスコルビン酸が不足した状態では、合成されたコラーゲンが正常な繊維をつくれず、皮膚や血管が脆弱になり、傷が治りにくくなって、最後には死んでしまう。

―――コラーゲンとともに、結合組織にはエラスチンも含まれる――関節や皮膚が異常にのびるエーラース・ダンロス症候群は、ゴムのような性質を与えるエラスチンが多くなり、コラーゲンが欠陥するために起きる。

これらの繊維はゲル状の構造の中に埋まっていて、これを構成するのがムコ多糖…グリコサミノグリカン…GAGで、この溶液は粘性、弾性が大きい。

ヒアルロン酸…ヒアルロナンは、マトリックス、滑液…関節の潤滑液、目の硝子液…硝子体などの、重要なGAG成分――細菌の莢膜にも存在する。

これは、D-グルクロン酸とN-アセチル-D-グルコサミンが結合した二糖単位が250~25000くらい結合した多糖分子。

ヒアルロン酸は分子量が大きく互いに反発する陰イオン基が多いので、溶液中ではのびて乾燥状態の1000倍の体積を占めるようになる。

ヒアルロン酸の粘度はせん断応力によって変化する――せん断応力は面に平行に働く力。

せん断応力が小さいときは分子はもつれ、溶液は粘性が高まり流れにくくなる。

応力が増すと、硬いヒアルロン酸の分子が流れて並び、抵抗が減る。

この性質が、ヒアルロン酸の衝撃吸収と潤滑に優れた性質をあたえる。

ヒアルロン酸はヒアルロニダーゼという酵素で分解され、これは、多くの組織、細菌、ヘビや昆虫の毒に含まれている――細菌が組織に入り込むのに、役に立っている―――

           バチバチ  ・・・

                                  サヮヮヮヮヮヮヮ  ・・・・・・・・

ビタミンA、D、E、Kなどは脂溶性のビタミン。

これらはすべて、イソプレンの誘導体であるイソプレノイド――ある化合物が、酸化、還元、原子や基の置き換えなど変化したものを誘導体という。

脂溶性のビタミンは体内に貯まる――特に肝臓。

このため、過剰に摂取すると毒性を示す。

ビタミンA類のレチナールは、β-カロテンが2つに切れてできる――体内でビタミンに変わるものをプロビタミンという。

レチナールがアルコールデヒドロゲナーゼでレチノール…ビタミンA1に還元される――カロテンのトランス構造はそのまま残るので、レチナール、レチノールともにトランス型。

植物は、α、β、γ-カロテンやクリプトキサンチンを合成するけど、動物はしない――これらはカロテノイドで、体内でレチノールになる。

レチノールのプロビタミン源としては、緑黄色野菜がすぐれている――カロテンは疎水性で、脂肪を含む部分にも多い。

淡水魚の肝油には、3-デヒドロレチノール…ビタミンA2がある。

私たちので光を吸収するのはロドプシンで、オプシンにレチナールが結合してできる――この状態ではシス-レチナールで、光を吸収してトランス-レチナールに変化することで、脳に電気信号が送られる。

レチノールが欠乏すると、上皮細胞がケラチン化し、目でこれが起こると眼球乾燥症…ドライアイになる――ケラチンは機械的耐久性の大きい化学反応しにくいタンパクで、外皮や角質では、細胞タンパクの85%を占める。

人と動物実験では、まず夜盲症がおこる――幼い動物では骨に異常が起き、成長が遅れる。

レチノールを過剰に摂取した場合、動物は余分な分を排泄できず、脂肪組織にたまる。

過剰な状態が長期間続くと、骨がもろくなり、嘔吐、衰弱、皮膚炎などが起きる。

約4億人がビタミンAの欠乏に苦しんでおり、年間150万人の死者を出し、主に子供40万例の失明をもたらしていると推定される。

遺伝子導入で、β-カロテンに富んだゴールデンライスには、これらの人の症状を軽減させれる可能性がある――β-カロテンはオレンジの色素なので、コメが黄色い。

ただ、遺伝子操作作物への過剰な不安があおられているため、ビタミンA欠乏に苦しむ貧困国の農家が、ゴールデンライスを利用できていない。

             ザァァァァァァ  ・・・・・・・

                              ・・・・・・ ァァァァァァァァ   ・・・・・・・・

ビタミンD類は、くる病の予防に有効な化合物である。

くる病は、子供の骨の石灰化不全による、成長障害と骨変形――成人では骨軟化症と呼ばれ、これは脱石灰により骨が弱くなる。

くる病の最初の記録は368年前だけど、動物脂肪で予防が可能だと分かったのは、1世紀ほど前――特に魚肝油の予防効果が高い。

また、日光浴か230~313nmの波長の紫外線…UVの照射でも、予防できる。

ただ、紫外線の浴びすぎは皮膚がんのリスクを高めたり、黒目の後退、皮膚の老化の影響があるため、WHOは子供の頃からの対策が必要だとしている――年間6万人ほどが、紫外線の影響で死んでいると推定している。

ビタミンD類は酵素の補因子ではなく、ホルモン。

ビタミンD3…コレカルシフェロールは、動物の皮膚にUVを照射することで7-デヒドロコレステロールから非酵素的に合成される。

植物にUV照射すると、エルゴステロールからビタミンD2…エルゴカルシフェロールができる――市販されている。

D3とD2は、鎖に二重結合があることとメチル基…CH3-の数が違うだけで、生物活性は同じ――なので、添加物として用いる場合は普通D2が使われる。

ただビタミンD3とD2は、このままではホルモン活性はなく、肝臓と腎臓の酵素反応で活性型になる――D3は肝臓で25-ヒドロキシコレカルシフェロールになり、それが腎臓で1α,25-ジヒドロキシコレカルシフェロール…1,25(OH)2Dになり活性を得る。

1,25(OH)2Dは小腸の粘膜の性質を変え、カルシウムイオン…Ca2+の透過性がよくなる――Ca2+は、骨の主な無機成分であるヒドロキシアパタイト…Ca5(PO4)3OHを形成する。

このホルモンは、小腸上皮細胞の核でCa2+結合タンパクの転写因子として働くので、Ca2+結合タンパクの合成を増やして吸収を促進する――このタンパクが、Ca2+の小腸粘膜輸送に使われる。

電気的中性を保つため、主にリン酸イオン…Piの吸収も促進する。

そして1,25(OH)2Dは、骨からのCa2+とPiの放出を促して血清のCa2+とPiの濃度を高める。

これは、1,25(OH)2Dによって骨の石灰化が進むことと矛盾するようだけど、小腸でのCa2+とPiの吸収が高まって血清濃度が高まっているので、溶出量以上に骨が取り込めるのだろうと考えられる。

ビタミンDは免疫応答も調整し、ある種のがん予防、心疾患の予防と回復に効果がある様である。

脂溶性なので長期間とりすぎると、血清のCa2+濃度が高くなりすぎ、様々な軟組織で異常な石灰化がおこる――腎臓ではそれが顕著で、腎結石になり、やがて腎機能不全になる。

主に低緯度に住む人の肌の色が濃いのは、このビタミンD中毒を防ぐ効果があるためだと思われる――皮膚がんのリスク低減や、葉酸が破壊されるのを防ぐ効果もある。

                         ボタタタ  ・・・

                                            ボツボツ  ・・・

細胞の中でATPを合成するミトコンドリアには、外膜と内膜がある――内膜の内側はマトリックスと呼ばれ、細胞外マトリックスとは違う。

内膜では複合体I~IVが電子を伝達し、ATP合成に必要なエネルギーを得る。

複合体IおよびIIから、CoQに電子が渡され、それがⅢに届けられる。

CoQ…ユビキノンは呼吸生物に広く分布し、疎水側鎖を持つため、内膜の脂質二分子膜に溶けることができる――内膜は、親水部が疎水部を挟んだ構造。

この側鎖はイソプレン単位でできており、哺乳類はそれが10個なのでQ10と呼ぶ――Coは補酵素…コエンザイムの意味で、他の生物のCoQはQ6またはQ8

複合体IV…シトクロムcオキシターゼでは電子の還元が行われ、これはふつう迅速で正確だけど、たまに部分還元で活性酸素種…ROSが遊離してしまう。

ROSのスーパーオキシドラジカルは、複合体IとIIIからまれに漏れ出る電子とO2の反応でも生じる――低酸素時には、生成が増える。

スーパーオキシドラジカルは他の活性分子種の前駆体でもあり、これがプロトン化…H+が付加されると、より強い酸化剤になる――生体で最も反応性の高いROSは、比較的無害な過酸化水素からできるヒドロキシラジカル。

ROSは、他の分子から電子を奪ってラジカルに変え、連鎖反応を引き起こす――ラジカルによる攻撃はランダムで、反応生成物の特定は難しい。

ほとんどの生体分子は、ラジカルの攻撃でダメージを受ける――細胞内の多不飽和脂質が酸化されると、生体膜が壊れてDNAが攻撃される。

アミノ酸の側鎖が酸化されれば、酵素機能が低下するかもしれない。

パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病などの神経変性疾患は、ミトコンドリアの酸化的損傷を伴っている。

このことから、通常の代謝で起こるラジカル反応が、程度は少ないかもしれないけど、部分的には老化の原因になるのでは、という説がある――これを支持するものとしては、ミトコンドリアDNAに先天性欠陥があると、運動神経の障害や難聴などの老化症状が現れる。

抗酸化剤は、ROSを壊す。

スーパーオキシドジスムターゼ…SODは、スーパーオキシドラジカルを過酸化水素にする触媒。

そしてトコフェロール…ビタミンEとアスコルビン酸…ビタミンCも、強力な抗酸化剤である。

これらを過剰に摂取すると寿命を縮める可能性がある――ただ、過剰に摂取した場合は下痢や尿として排出するので通常は体は守られる。

トコフェロール類は、植物油に少し含まれる――もっとも多く存在し、作用も強いのはα-トコフェロールで、他にもβ-、γ-、δ-、などがある。

ビタミンEの欠乏症は、動物で異なる。

成長したメスネズミは子供ができなくなるけど、妊娠しないからではなくて、胎児が死んで子宮から吸収されるため――オスネズミでは、生殖組織が変性する。

ウサギとモルモットでは、急性の筋無力症に、ニワトリでは血管の異常がおこる。

人の場合、ビタミンEの欠乏症ははっきりしない。

過剰摂取では、骨粗しょう症などのリスクが高まる様。

                   ポチャ  ――

                                      ポタタタ   ・・・・

ビタミンK類が不足すると、血液が凝固しにくくなる。

ビタミンK1…フィロキノンは植物、K2…メナキノンは、細菌や魚肉などから得られる。

ビタミン源としては植物を食べればいいけど、K2は細菌、特に腸内細菌が作るので、健康な動物では欠乏することはあまりない――抗生物質を長期間服用して腸内細菌を殺したり、何かの異常で小腸からの吸収が妨げられれば、欠乏を起こし、血液凝固時間が伸びることがある。

過剰摂取による症状は、今のところない。

                    チャプ ――

                                ・・・・  ァァァァァァァァ   ・・・・・・・

チワワが動いたので見ると、あくび。

「・・・」

少し歩いて手すりから下を見れば、ボードウォークと森が見える。

でも雨なので、座っている。

子ネコが、お腹を私の腕にあてる。

お腹すいたんだろうか。

見るけど、子ネコは前を向いたまま。

黒猫を見ると、さっきと同じ状態。

雨の音で、リスの気配がわからない・・・

                 ・・・・・・・   ザァァァァァァァ  ・・・・・・・・・

                               ・・・・・・・ ァァァァァァァァァ  ・・・・・・・・・


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