2017年06月14日 13時42分08秒 | マーロックの日記

                            チチチ

      

「この辺りで待ちましょう」

「・・・うん」

足をとめる・・・

ヘテロがそう言ったから。

                                        ゥゥゥゥ  ・・・・・

                                                           ピィィィ

橋の向こう、小屋の連中がつくった壁から出て来た3人がこっちに向かってくる。

もう午後の1時で、約束の時間。

武器は何も持っていない様で、それも約束通り。

私たちも持ってきてはいない。

私たちに警戒させないためなのか、ジャケットやコートは来ていない。

隠し持ってないことを示しているのではないかと思う。

私とヘテロはコートを着てこなかったけど、ハットさんはチェスターコートを着ている。

向こうを無駄に刺激しないために、ドローンは飛ばしていない。

「見覚えがあるね・・・」

「はい」

真ん中にいる奴は、フェルトさんの様。

私たちがここに向かう途中で休憩していた時、連邦捜査局の捜査員だと言って話を聞きに来た。

「まんまと騙されたね」

「はい」

ハットさんは、結構しっかり身分証を確認していた様だったけど。

レプリカだったらしい。

「横の2人は、電話を盗みに来たやつですね」

「・・・そう?」

フェルトの左右にいるのは、私たちの衛星電話を盗みに来た2人だと思う。

こっちから見て左側にいるのは、ローガと呼ばれたフードを被っていたやつ。

あいつは動きが速い。

今日は、フードはない。

右にいるのはバイクを運転していたやつだと思うけど、見覚えがある。

「・・・彼はツイードジャケットの男じゃないかね」

「・・・・」

そういわれると、写真で見たツイードの男かもしれない。

土壁に戻れば、タブレットにある写真で確認できるのだけど。

カールさんがレースドローンで撮影した映像には、フェルトたちは映っていなかった。

連中が壁をつくっている間も、狩猟小屋に残っていたんだろう。

あの中の誰かが、連中のボスなんだろうか。

私たちは、橋の真ん中あたりにいる。

車の進行を邪魔する石が、3つある近く。

向こうの壁までよりも、私たちの土壁までの方がずっと近い。

何かあったら、すぐ逃げれるように。

こっちにはハットさんがいる。

元気だけど高齢だし、走るのが速いわけではない。

・・・その時の打ち合わせはしてある。

向こうの要求次第だけど、一応、リフの描いた財宝地図を撮ったデータは持ってきた。

ハットさんが持っている。

                                        ジャリ

足音。

フェルトたちがもう来る。

「・・・・」

その向こうをみる。

何人か、壁から頭を出してこっちを見ている。

怪しい動きはない。

よく晴れていて、影もくっきり。

         

・・・ヘテロが少し進んだ。

「そこでとまれ」

                  ジャリ

ヘテロがそう言ったから、フェルトたち3人が歩くのを止めた。

いきなりあいつらが跳びかかって来ても、後退すれば避けれる距離がある。

       

私も1歩前に出る。

ハットさんとフェルトとの距離はとっておく。

「マロックさん・・・こんにちは」

フェルトが言った。

「・・・・」

「・・・あまり驚いていないようですね」

私をチラッと見た後、フェルトはハットさんの方に視線を移した。

「うん・・・予想していたからね」

「・・・そうですか」

フェルトの表情は変わらない。

「暗号は解けたよ」

「!」

フェルトとの話は、ハットさんに任せる。

「・・・それを教えてください」

「君らはまだ分からないのか」

「はい」

「財宝が目的なのかね?」

「そうです」

「教えれば、私たちはここから帰れるのかい」

「はい・・・1週間後には」

「長いね・・・私たちが先に財宝を見つけてしまわない様に?」

「それもありますが、本当のことを教えているか確認が必要ですから」

・・・予想通りの要求だった。

やはり財宝が欲しいらしい。

「あと1週間も待つんなら、君らに暗号を教える必要はないだろうね」

「・・・・」

「直に、誰か様子を見に来るだろう」

「ここで待っていても、助けは来ませんよ」

「・・・?」

「私が警察や保安官に連絡をしてありますから」

「・・・・」

「わざわざ私がここに来たのは、助けが来ないことを分かってもらうためです」

「・・・そう」

「・・・私は疑われていた様なので、その必要もなかったですね」

ツイードっぽい男は、足元みて話を聞いている。

ローガはこっちをみている。

フェルト以外は、黙ってる。

あいつがボスなのか。

「君がボスなのかい?」

ハットさんが聞いた。

「・・・違います」

・・・違うらしい。

「彼らとは協力しているだけです」

「・・・それ以上はいいんじゃないか」

ツイードっぽいのが言った。

フェルトがそっちをチラッと見て、少し頷いた。

「あなた達と争うのが目的ではないので、暗号を教えてくれればこれ以上攻撃することはありません」

「そう・・・」

・・・いきなり撃ってくるような連中だから、わざわざ交渉に来たのは実際にはそれが無理だからだろう。

私たちがつくった土壁を破壊できるような武器は、持っていないと思う。

「・・・・」

たぶん。

「正直に話しますが、急いでるんです」

「・・・お金が必要なのかね?」

「はい・・・」

                                 チチチ

小鳥の声。

近くにいるみたい。

「戻って相談したいから・・・明日、またここで話をしよう」

少し間を置いて、ハットさんがそう言った。

・・・午前中に、このパターンは相談してある。

財宝が目的だと言う、一番あり得そうな理由だった。

実際に話をして、判断はハットさんに任せると言う事で決まっている。

「・・・・」

時間を稼ぐためだろう。

「ここで決めてください」

「そんなに急いでいるの?」

「・・・あなたを指名したのは、断られたときに逃がさないためです」

「・・・・」

フェルトが脅してきた。

・・・それも予想通り。

高齢のハットさんを指名すれば、私たちが逃げにくい。

「そう・・・じゃぁ、君には暗号を渡せないね」

「・・・・」

フェルトの表情が曇った。

急ぐ理由はなんだろう――

                           ―― タァン

伸びたフェルトの手を、腕で打ち返す――

ハットさんを掴もうとした・・・

「逃げて――」

「うん」

                                カシャ  ――

ハットさんが隠し持っていたレンズカメラで撮った。

                      ダァン

        

フェルトが蹴った――

                             ダン

                                            ダダン

「――」

                 

――後ろに跳ねる。

フェルトの勢いが強い。

すべて打ち返したけど。

                 ――  ダァン

ローガが走ろうとしたから蹴る。

「マロックさん――」

              タッ

                           タ

ヘテロの声を合図に、跳ねて後退する。

ハットさんは追わせないけど、こっちからは攻撃しない。

                                            ―――

ハットさんの声。

                       ダァン

                                    ダン

                           ――

足音――

チラッとヘテロと目を合わせて、フェルトたちに背中を見せて走る――

                                           ダッ

いた。

壁から走って来たシャープさんが、もう近い。

                                        ヒュ ――

「!」

             パン

シャープさんがほぼ直線に投げて来た杖を受け取る――

                           ダッ

体を反転させながら、車よけの石を蹴る――

                  

                         ダッ

                                    ヒュン

「――」

フェルトの足を打とうと思ったら、よけられた。

・・・思った以上に離れてた。

                   

バトンを持ったシャープさんも横に来た。

「・・・・」

「戻ろう――」

          ダッ

「・・・・」

フェルトが逃げて、ローガとツイードっぽいのも追う。

「・・・・」

追わない。

                                   ジジ

                                             戻れ ――

シャープさんの腰にあるトランシーバーから、マッチョさんの声。

「行こう」

「はい」

私たちも土壁に逃げる。

フェルトたちが離れた。

向こうの壁から、ライフルで狙われる可能性がある。

                                                  タァン

「!」

銃声――

いきなり撃って来た。

              ダッ

                            ダッ

先に走っていたハットさんは、もう壁の前。

                   ダッ

入れ替わるように、シールドを持ったノッポさんとグリがこっちに向かってくる。

「・・・・」

こうなった場合の打ち合わせもしていたから、約束通りに動いてる。

                                                 タタァン

                キュィン

「!」

少し後ろに弾があたった。

                         ダッ

                                     タン

                                                         タタタァン

土壁からも銃声。

マッチョさんかガードさんが、撃った様。

                                                   タァン

                                            タタァン

銃声は次々聞こえるけど、狙いはあまり定まっていない。

向こうから700mは離れている。

                            急げ ――

防弾シールドを持ったノッポさんが来た。

             

内側に入って、後ろを見る。

「・・・・」

向こうの壁からも、シールドを持ったのが出てきてる。

グリの持っているのは、透明なシールド。

「早く」

            ダッ

グリに促されて、走る。

「加減しなかっただろ」

シャープさんに杖を見せて言う。

勢いよく投げすぎだと思う。

受け取れたけど。

「・・・・」

返事しない。

              チチチ

「・・・・」

小鳥。

銃声に驚いて、逃げて来た様。

跳んだり飛んだりして、移動してる。

                                                  タタタァン

壁に弾があたってる。

崩されることはないと思う。

           

「ケガはない?」

「はい」

向こうは激しく撃ってくる。

弾を無駄に使わせれる。

私たちが暗号を解いていなかった場合も、ハットさんを人質にするつもりだったんだろう。

上手く逃げれたけど。

               

連中を見て、左の壁に入る。

クラゲ傘を置いてる・・・・

                                  ボン

                                                        タタァン

                        ボボン

        写真撮れました?

    うん

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