静かに

2016年11月20日 01時54分34秒 | 黒猫のひとりごと

                                                    ――――

                                 ポォ

    

薄暗い・・・

キッチンにも動くと点くライトがある。

でもぼんやりした灯りで、天井の白い光はスイッチをカチッとすると点く。

僕はジャンプしてスイッチを押すこともできるけど、点けない。

          ゴト  ・・・

木箱のフタが動いた。

人間たちは玄関に集まっていて、夜のごはんはまだ先になりそうである。

ネコレースの練習で走り回った僕は、リンゴがたべたいのである。

「♪」

木箱のフタを開けるには、レトリバーの協力が欠かせないのだ。

ニャッティラでも開けれるかな。

すこし持ち上げる必要があって、重たいのである。

フタが少しずれてしまえば、僕でも押せる。

たくさんあるリンゴのどれを持ち去るかは、僕が決める。

           パク

真っ赤なリンゴをひとつ、フタの外に出す。

「ニャ~」

先に食べてていいよ。

リンゴをひとつすべて食べるのは大変で、レトリバーに半部以上あげる。

「♪」

リンゴを銜えたレトリバーが向きを変えたから、フサフサのシッポが箱にあたる。

                  ズズ  ・・・

僕は後ろ足で、フタを動かして閉める。

                                  ガタ

閉まった。

ふふん。

リンゴはたくさんあり、人間たちは僕とレトリバーが一日1個つまみ食いしている事には気付いていない。

                  シャリ シャリ  ♪

食べてる。

       ト   ト

僕も接近する。

              シャリ

一口かじる。

                      モグ  モグ

「♪」

みずみずしくておいしい。

       シャリリ ♪

「・・・」

レトリバーはたべるのに夢中だけど、僕は音に注意している。

足音と声。

誰か来るのだ。

             ――   ト

ステンレスのテーブルに乗って、耳を澄ます。

                              ――――

こっちに来る。

                  タン  ――

                            トッ

                                             スル

大きな冷蔵庫の上に移動する。

「・・・」

すこしほこりがあるけど、男の本棚の上よりもずっと少ない。

ちゃんと掃除しているみたい。

                            カチ   ――――

「!」

まぶしい――

「あっ」

フワリさんがライトを点けたのだ。

「!」

ノロマさんもいる。

「勝手にたべてるの?」

「ク・・・クゥ」

モグモグしながら、レトリバーが少し後退した。

「・・・私、もう少し調べるから食事の準備お願いね――」

「あ、お姉ちゃん――」

ニャ

エレガントさんが来た。

「・・・・!」

エレガントさんがレトリバーを見た。

「――クゥン!」

レトリバーの悲痛な叫び。

           ト     ト

エレガントさんがレトリバーに近寄る。

「お姉ちゃん・・・今日はごはんが遅れてたから」

「昨日もリンゴひとつなかったのよね」

「え・・・うん」

            ガシ

すでにお腹を天井に向けたレトリバーの顔を、エレガントさんが両手で挟んだ。

「どうして勝手にたべるの?」

「キャン」

レトリバーは目を合わせない。

「ちゃんと私を見なさい」

「キャン」

「おねえちゃん・・・」

                ―――

僕は冷蔵庫の上を移動して、通路に向かう。

大きな冷蔵庫でよかった。

「・・・・」

ノロマさんが僕に気付いた。

「・・・・」

通路の影に、男がいる。

僕に気付いてる。

「・・・」

足元にはチワワもいる。

リスも。

足音を消して、僕は去る・・・・

         ――

                                           ポォ

                 !!

                          クゥン!

                                                    ヮヮヮヮ  ・・・・

 

ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 玄関から | トップ | 4分の1 »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

黒猫のひとりごと」カテゴリの最新記事

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL