あぽまに@らんだむ

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ジェイン・オースティン 秘められた恋(2007年)

2016年10月19日 | 映画関係



これはイギリスの女流作家ジェイン・オースティンの若かりし頃を描いた作品です。
物語の内容に深く触れていますし、腐発言もありますので、ご注意下さい。
大丈夫な方のみ、下へスクロールして御覧下さい。
時代が時代なので、ジェームズが貴族の恰好をしています。
格好いいと言うか、可愛い、麗しい、と言った印象です。




































<感想と考察>



お恥ずかしながら、オースティンという作家を私は知りませんでした。
イギリスの方なら皆ご存じな程、有名な作家さんらしく、主人公ジェインを演じるアンも熱心なファンらしかったです。
内のママが文学少女だったので、聴いてみたら「持ってるよ?」と世界文学全集から貸してくれました。
時間がある際にも読んでみたいと思います。
そんな「ジェイン・オースティン 秘められた恋」ですが、ぶっちゃけ当時は何も秘められてない・・・。
情熱的に信念の思うまま生きるジェインに憧れさえ抱きます。
ストーリーが余りネットにないので、簡単ですが思い出せる限り書きますね。



恋愛結婚したものの、田舎の貧乏牧師に嫁いだジェインの母は毎日の生活に不満たっぷり。
愛はあるものの、その日暮らしを娘達にはさせたくないし、自分もしたくない為、
末娘のジェインをいずれは城や財産を相続するだろう伯爵夫人の甥ウィスリーに結婚にどうかと匂わせて紹介します。
そんな中、ロンドンの判事の甥トムは、喧嘩や裁判への遅刻など放蕩三昧の生活のお仕置きにジェインの住む田舎へ行くよう命じられる。
最初は田舎を馬鹿にし、自分の自信作の小説の朗読で居眠りしていたトムに、ジェインは腹を立てて居ましたが、
クリケットの後の川の水遊びや伯爵夫人の城の舞踏会、図書室での出来事もあり、次第にトムに惹かれて行きます。
「男性作家と肩を並べる為には、恋愛経験が必要だ。これを読んでご覧」
と、自分の知らない本を渡して来ますが、その小説は恋愛小説。
放蕩三昧に女癖と悪い噂ばかりのトムは法律の勉強をしており、読書を嗜み、広い見解を持った知的な青年だったのです。
いけ好かない印象の青年はジェインの中で次第に気になる存在になっていきます。







そんな折、伯爵夫人の甥ウィスリーからプロポーズをされてしまい、戸惑うジェイン。
村の祭りに遊びに行った際、賭けの喧嘩に飛び込み拳闘するトムに、ジェインは彼の中に鬱屈した何かを感じたのかもしれません。
プロポーズに即答出来なかったジェインは伯爵夫人の開いた舞踏会でトムの姿を探してしまう。
見当たらずウィスリーと踊るジェインの元にトムは相変わらず遅刻して現れる。
何も語らず熱い視線を交わしながら踊る二人。
しかし、恋心が有っても何も出来ない自分にジェインは大広間を去ってしまう。
其処でトムは従姉妹からジェインがウィスリーにプロポーズをされ、断れない状況だと知ります。
水辺に佇むジェインにそっと寄り添うトム。
身分の違いから愛のない結婚を拒否出来ないと嘆くジェインに、断るよう説得するトム。
そして二人は愛を確かめ合います。
「僕には何から何まで伯父が頼りで、何も持っていない。でも、僕は君のものだ」
恋が実った事に歓喜するジェイン。二人は結婚をトムの伯父に許して貰う為、兄達に協力を依頼します。
判事であるトムの伯父は女性に偏見を持った頭の固い封建的な老人。自分の考えを明確に進言するのに眉を潜める。
しかし翌朝、結婚相手としてジェインを紹介しようとする直前、ジェインの田舎より手紙が届き、
ジェインの立場やトムの中傷が明記されていた為、伯父は激怒。そんな結婚は認めないと出て行ってしまうのです。
その手紙が伯爵夫人かウィスリーからではと訝しむ二人だったが、ジェインは諦めない。
しかし、トムは苦悩しながら、家族は裏切れないとジェインとの結婚を拒否するのです。
哀しみの中、姉のカッサンドラの元を尋ねるジェイン。失意のまま田舎に戻る事に。


家族で食事をしている際に姉カッサンドラの婚約者が戦地で病死してしまったとの知らせが届く。
泣き暮らす姉に付き添いながら、ジェインは哀しみに暮れ、ウィスリーからのプロポーズを受けてしまう。
そんな中、トムがまたジェインの住む田舎の叔父の元を訪れていると知ります。
そして兄からトムが同郷の娘と婚約させられた事を知るのです。
田舎道で聴覚障害者の兄と歩いている際、ジェインはトムと出逢う。
苦し気に愛を囁き、自分の気持ちに嘘を吐けないと訴えるトムにジェインは激しく心を揺さぶられる。
やはり愛のない結婚は出来ないと自覚した二人は、密かに駆け落ちする事にする。
兄は見て見ぬ振りをし、姉は自分の装飾品を持たせ送り出してくれます。
馬車に乗る為、落ち合う二人。
しかし、悪路で車輪を取られた馬車が立往生している際、ジェインはトムの家族からの手紙を見てしまう。
女癖が悪く、放蕩三昧なんて噂は全て出任せで、トムは故郷の大家族に、伯父からの小遣いを送金していたのです。
トムの家族は困窮を極め、トムの送金なしでは生きていけない状況と知るジェイン。
恐らく伯父は愛のある結婚をしたトムの父と折り合いが悪く、金の工面は直接出来ないのでしょう。
其処で法律の勉強と称してトムを預かり、面倒を見ているのだと推測されます。
トムが伯父の反対を押し切ってまでジェインと結婚できなかったのは、彼が大勢の家族の面倒を見ていたからなのです。


そんな立場の彼を束の間の恋で盲目にさせ、家族を捨てさせようとしていると苦悩するジェイン。
そう、どんなに愛し合って結婚しても、貧乏だと生活に追われ、いずれ後悔と罪悪感で苦しむ。
正に自分の両親と同じ事をさせようとしているのだと気付くのです。
「あなたの家族は何人いるの?」
少しずつ諭していくジェイン。ジェインの言葉に傷付き、自分を愛しているなら黙って付いて来てくれと懇願するトム。
しかし、彼の家族の為、彼の判事としての将来の為、トムと駆け落ち出来ないと去るジェイン。
トムは一人残され、月日は流れます。


少し白髪が混じるジェインは歌のリサイタルに来ており、既に著名な作家になっている事が知れます。
其処へ遅刻してきた二人をジェインと兄夫婦が見付けます。
走り出て行く兄が連れて来たのは、同じく白髪混じりの年齢になったトムと若い女性でした。
「小説の朗読はされないんですか?」
物怖じしない若い女性はトムの娘で、朗読はしていないと断るジェインの兄に食い下がる娘にトムはつい名を呼んで窘めます。
「ジェイン!」
そう、トムは愛する長女に嘗ての恋人の名を付けていたのです。
驚く一同にトムは気まずい表情になるが、ジェインはにっこり笑って朗読しましょうともう一人のジェインを伴う。
サロンで男性顔負けの素晴らしい小説を朗読するジェインにトムは懐かしい微笑みを送り物語は終わります。



多少前後したり細かい処は省略しました。気になる方はレンタル出来るので、是非ご覧下さい。
ジェインとトムの恋の話ですが、面白かったです。
衣装や台詞、時代背景など、しっかり描かれていて、日本の時代劇って感じでした。
田舎牧師で貧乏暮らしなのに、ジェインの舞踏会の衣装は何処から捻り出してるんだろうと首を傾げる事もありますが、
心の思うまま、情熱のまま生きたジェインは生涯独身を通し、若くして亡くなったそうです。
一方トムも後に大成し、立派にアイルランドの最高判事にまでなったそうです。
二人の恋は成就しませんでしたが、ジェインは見事小説家となり、トムも出世し家族を得たとの事です。
ジェインの目線で物語は進むので、一緒に退屈な毎日を憂い、一緒にトムに憤り、一緒にトムに恋をします。
今回のジェームズ演じるトムも難しい役で、一見チャラい我が儘な都会の青年っぽいのですが、
田舎の大家族を養う為、伯父に従順になるしかない自分の人生などない苦悩する青年という事が後から分かります。
後半になって彼の素性を知ると、賭けの喧嘩をしたり、女の子とじゃれ合ったりの行為も彼なりの足掻きなんだと理解出来ます。
その為、貧乏な所為で伯爵の甥に結婚を強いられているジェインに自分の姿を重ねていたのかもしれません。
やがてトムもジェインと同様に伯父と相手側の父親が勝手に婚約を決められてしまいます。
当時、恋愛結婚はあったようですが、大抵はお金や爵位目当ての政略結婚が主流だったようです。
トムの事を考えると、愛するジェインを拒否するしか無かった彼の苦しみが理解出来ます。
ジェインの手を取るという事は田舎の大家族を餓死させるのと同じ事なのです。
「家族を捨てる事は出来ない」
ジェインは家族とは判事という肩書と財産を持った伯父だと思い、傷付きます。真実は田舎の大家族の事だったんです。
トムは法律の勉強をしながら、田舎の大家族を養っている身でもあったのです。若い身に重過ぎる責任です。
その憂さ晴らしが賭けの喧嘩だったんでしょう。殴られぶっ倒れても笑っているトムに納得しました。



冒頭でも言いましたが、お貴族様の恰好のジェームズは鬼可愛いです。
まだ27~28歳だったろうジェームズは若くて川遊びの際はすっぽんぽんになってるので、可愛いお尻が丸見えです。
序盤は奔放で田舎を馬鹿にする知的な青年、
中盤はジェインと許されぬ恋に落ちる青年、
終盤はジェインを諦められず全てを投げ出そうと苦悩する青年を見事に演じ分けています。
ジェインに拒否され、兄に阻まれ、涙ぐみながら「…頼む(please)」の際の表情がエロいです。
結局、キスのみで結婚を承諾されなかった二人は清らかなまま別れる羽目になるのですが、
今時なら「既成事実しちゃえば良かったのにね…」と思います。
まぁ、あのいかつい顔の判事の伯父は自分の兄弟同様追い出し兼ねないかな。
少し年を取って30代後半になったジェームズ(トム)は、もみあげまで出来ておじ様になってました。
…やっぱり可愛いですけど。



主人公でヒロインであるアン・ハサウェイは本当に可愛いし、可憐です。
アンは有名な処で、「レ・ミゼラブル」と新しい処で「アリス・イン・ワンダーランド」の白の女王などでしょうか。
顔が細く華奢ですが、身長は173㎝あり、ぶっちゃけジェームズより高い…。
クリケットでホームラン並にぶっ飛ばしたり、ジェイン・オースティンの本を片っ端から全部読むなど熱心な女優さんです。
その成果か、アンはジェインを見事に演じています。
脇も名優が揃っており、名演技でアンとジェームズを引き立てます。
先ず、グレシャム伯爵夫人を「ハリー・ポッター」シリーズのミネルバ・マクゴナガル先生で有名なマギー・スミス。
田舎の牧師であり、ジェインの愛情溢れるお父さんを「ベイブ」の農場主ホゲットさんを演じたジェームズ・クロムウェル。
貧乏暮らしに嫌気が差し、ジェインを玉の輿に乗せようとするお母さんを同じく「ハリー・ポッター」シリーズでロンのママを演じたジュリー・ウォルターズと豪華。



普通に面白かったし、アンもジェームズも可愛かったので、ジェームズ度は★★★★☆で大丈夫です。
主人公=ヒロインの相手役で然も難しい役どころ。
演技力が試されたでしょうが、見事時代に翻弄され愛に生きられなかった哀しい青年を演じ切ってました。
萌えとしては、伯父に関係を迫られてなかったのかなと鼻息荒くしましたが、
相手があの伯父なので、ちょっと萌え切れなかったというか。
ジェインとの関係で苦悩しているトコだけで充分、ジェームズ補充出来たので満足です。



結局5本借りて来て、体調不良(…というか秋花粉ね!)で1本観れませんでした。残念。
またジェームズの作品を借りて来ますが、無理ない本数にしようと思います。
うたわれ3もそろそろ続きしたいし、もう一回ED観たいですからね。レビューはもうちょっと後だと思います。
此処まで読んで下さって有難うございます。
ジェームズとこの作品の良さが少しでも伝われば嬉しいです。




































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