綺麗な青色の表紙が気に入っている。
けれど、ちょっと不思議だ。
サフランといえば、スパイスの状態なら赤、サフラン・ライスなら黄色なのに。
なぜ、表紙は青…。

サフラン・キッチン
著者:ヤスミン・クラウザー
発行:新潮社
Amazonで書評を読む
父親に拒絶され、国を追われるようにしてイギリスに渡った女性が、長い年月の後、ずっと心を残し続けていた故郷への旅に出るという物語。
サラは、イラン人の母とイギリス人の父を持つ女性。
サラの母親、マリアム。
彼女は少女期の終わりに故郷を離れ、イギリスへやってきた。
サラの父親、エドワードは、イギリスでのマリアムと出会い、愛して、長い月日を過ごしてきた。
物語の冒頭、サラは胎内に宿って間もない子供を失う。
遠因はマリアム。
マリアムはこの出来事をきっかけに故郷へと向かう。
愛憎半ばする故郷。
どこよりも懐かしく、どこよりも厭わしい国。
エドワードは、マリアムを静かに見送る。
マリアムの過去に向き合う旅が始まり、サラもイギリスで、母の過去を知ろうとしはじめる。
イランでの時間、イギリスでの時間。
マリアムの人生の2つの時間と世界が、マリアムとサラの両方で語られる。
マリアムが国を出ることになった理由、彼女が忘れることなく思い続けていた人、そして彼女を思い続けていた人の存在が次第に明らかになっていく。
ここで、サラが感じる怒りは娘としてとても真っ当なものだと思う。
イギリスでの幸せな生活と家族があるのに、何故。
マリアムを見守り、愛し続けている夫であるエドワード、娘である自分を残して何故、と。
庭の植物や、台所のスパイス。たくさんの写真や思い出の品。
手触りや匂いやぬくもりや音。人々の記憶。
細かなものが丁寧に描写されていくのは、彼女たちが、それぞれの国と、日々の生活を愛しんでいたことの表れのように思えるのに何故、と私も思う。
同じ血、同じ肌の色。同じ空気の匂いと、同じ土の色を知っている人たちの中にあることは、そうまでして望むものなのだろうかと。
長い時間を共に生き、心のすべてを開くことがなかった彼女を愛し続けたエドワードの想いはどうなるのだろう。
いくらマリアムがそれをわかっていたとしても、あまりにも気の毒に思えてしまうのは、私が娘(ずうずうしい?)の立場で読んでしまっているからだろうか。
物語はとても美しく収束する。
女性であるために掟に縛られた少女時代の辛すぎる出来事を乗り越えたマリアムの選択。
サラの選択。
エドワードの選択。
誰かに強制されるのではなく自分で選ぶ、自分自身のこれから。
それを理解し、尊重しあう、人々の優しい関係が生まれる。
物分りが良すぎやしないか?という若干のわだかまりは、描かれる穏やかなクリスマス・イブの家の雰囲気に溶かされてしまった。
ふと、両親に読ませて感想を聞いてみたいと思う作品だった。
無理だとは思うけれど。
※こちらの本は「本が好き!」さまよりいただきました。
ありがとうございました。
けれど、ちょっと不思議だ。
サフランといえば、スパイスの状態なら赤、サフラン・ライスなら黄色なのに。
なぜ、表紙は青…。

サフラン・キッチン
著者:ヤスミン・クラウザー
発行:新潮社
Amazonで書評を読む
父親に拒絶され、国を追われるようにしてイギリスに渡った女性が、長い年月の後、ずっと心を残し続けていた故郷への旅に出るという物語。
サラは、イラン人の母とイギリス人の父を持つ女性。
サラの母親、マリアム。
彼女は少女期の終わりに故郷を離れ、イギリスへやってきた。
サラの父親、エドワードは、イギリスでのマリアムと出会い、愛して、長い月日を過ごしてきた。
物語の冒頭、サラは胎内に宿って間もない子供を失う。
遠因はマリアム。
マリアムはこの出来事をきっかけに故郷へと向かう。
愛憎半ばする故郷。
どこよりも懐かしく、どこよりも厭わしい国。
エドワードは、マリアムを静かに見送る。
マリアムの過去に向き合う旅が始まり、サラもイギリスで、母の過去を知ろうとしはじめる。
イランでの時間、イギリスでの時間。
マリアムの人生の2つの時間と世界が、マリアムとサラの両方で語られる。
マリアムが国を出ることになった理由、彼女が忘れることなく思い続けていた人、そして彼女を思い続けていた人の存在が次第に明らかになっていく。
ここで、サラが感じる怒りは娘としてとても真っ当なものだと思う。
イギリスでの幸せな生活と家族があるのに、何故。
マリアムを見守り、愛し続けている夫であるエドワード、娘である自分を残して何故、と。
庭の植物や、台所のスパイス。たくさんの写真や思い出の品。
手触りや匂いやぬくもりや音。人々の記憶。
細かなものが丁寧に描写されていくのは、彼女たちが、それぞれの国と、日々の生活を愛しんでいたことの表れのように思えるのに何故、と私も思う。
同じ血、同じ肌の色。同じ空気の匂いと、同じ土の色を知っている人たちの中にあることは、そうまでして望むものなのだろうかと。
長い時間を共に生き、心のすべてを開くことがなかった彼女を愛し続けたエドワードの想いはどうなるのだろう。
いくらマリアムがそれをわかっていたとしても、あまりにも気の毒に思えてしまうのは、私が娘(ずうずうしい?)の立場で読んでしまっているからだろうか。
物語はとても美しく収束する。
女性であるために掟に縛られた少女時代の辛すぎる出来事を乗り越えたマリアムの選択。
サラの選択。
エドワードの選択。
誰かに強制されるのではなく自分で選ぶ、自分自身のこれから。
それを理解し、尊重しあう、人々の優しい関係が生まれる。
物分りが良すぎやしないか?という若干のわだかまりは、描かれる穏やかなクリスマス・イブの家の雰囲気に溶かされてしまった。
ふと、両親に読ませて感想を聞いてみたいと思う作品だった。
無理だとは思うけれど。
※こちらの本は「本が好き!」さまよりいただきました。
ありがとうございました。









