ゆっくりと世界が沈む水辺で

きしの字間漫遊記。読んでも読んでも、まだ読みたい。

大河ドラマ『功名が辻』第47回。

2006-11-27 | 観るものにまつわる日々のあれこれ
思わず無口になってしまった第47回。
気が重いです。
撃たれたのは袖だけだったんですか?という大げさな前回の終わりに不満を言っている場合ではありませんでした。
袖だけだったのに、処罰は磔という苛烈さへの布石だったわけですね。
一豊くんも、六さんも、みんな、好んでやっているわけではないことがちゃんと描かれているだけに、非常につらい。
今回は千代ちゃんの正論が空虚に聞こえました。
家康、コワイですもん。

怖い顔なのにかわいかった新一郎が死んでしまいました。
六さんに行けとどんなに言われても、ほんとは騙し討ちなんて賛成できないけれども、逃げたいけれども、絶対に逃げるわけにはいかなかった新一郎の忠臣ぶりに加えて、間際に殿の声が聴きたいなんて、泣かせることを…。
六さんが言った「お前は死んではならなかった」という言葉が本当にせつない。
結局お嫁さんももらわずに、殿一途で死んでしまったのかと思うと哀れ。
それなのに、一豊くんが泣くシーンは入らず、で、ワタクシとしては不満。
ベタでもいいから、報われてほしかったです。
あんなに呼んでたのに。

その点においてだけは、六さんはちゃんと言って、千代ちゃんに聴いてもらえただけ良かったということでしょうか。
六さんの自害も予想されていたことではありますが、いざそうなってみると、やはりせつないものがあります。
目じりの皺と硬そうな肌に長年の苦労が忍ばれるアップ。
眉毛に白いものが混じっていたのが印象的でした。
この人がいなくなってしまうと、もうほんとに千代ちゃんは安泰、最終回まっしぐらの感じがします。

さて、怒りまくることができた千代ちゃんはまず良いとして、一豊くんはどうするのでしょう。
奉納相撲と同じ時、築城の場所で「子々孫々の…」と半ば自分に言い聞かせるようだった一豊くん。
どこへも怒りをぶつけることができず、忠臣を失い、美しい土佐の国に、必要だったとはいえ多くの血を流したことを一身に背負わなければならないわけですから。
やっぱり、浮かれて「土佐二十万石」なんて書いてたのがいけなかったのかもしれません。
土佐二十万石は、想像以上に重い家康からの二十万石の責苦。
家康なんか、ちょろっと褒めて終わりでしょ、きっと。

予告で出ていたあの若いお坊さんは、拾でしょうか。
あんなに大きくなるほどの時間が経っているんですねぇ。
最終回間近なもの道理。
残りあと2回。次回はもう12月です。

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3 コメント

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あと2回 (むぎこ)
2006-11-27 07:57:01
>思わず無口になってしまった第47回。
>気が重いです。
同様でした。
>今回は千代ちゃんの正論が空虚に聞こえました。
同じです。

>一豊くんも、六さんも、みんな、好んでやっているわけではない
それが分からないほど 千代はお馬鹿ではないと思うのですが。
六さんの遺体にだきついて泣く千代を見て一豊くんどう思ったでしょう。
「嫁なら旦那の苦しいとこ分かってやってくれ~~~~。」とおもいました。
千代の後ろに立つ一豊君の表情がなんとも苦しかった。
「お暇をいただきとうございます。」というのは結局「別居しましょう」ですよね。
でも、あの調子だと、たんに旦那の行動に愛想尽かして感情に任せてで、一豊君立場ない・・・。
原作だと現実にあぜんとして、いつの間にか一心同体だとおもってた夫と自分の距離にあぜんとして、自分たちのいいと思って歩いてきた道が生み出した悲劇にむかっての気持ちで、別居したようなきがします。だからなんかイメージが随分違います。
でも、ドラマの方が千代に諦観がないぶん夫婦は修復可能かもしれません。


>新一郎の忠臣・・・
ここも辛くて・・・いいから 逃げてくれと画面のこっちでつぶやいてました。
実は、そのあとの父の嘆きのほうが哀しかったです。「よくやった。わしも後で行く」といった言葉も哀しかったです。
こんな言葉を言える日本人・・・現代は皆無だと。それがいいか悪いかは別として。

>六さん、目じりの皺と硬そうな肌に長年の苦労が忍ばれるアップ。眉毛に白いものが混じっていたのが印象的でした。
それと過去の映像が重なって・・・なんとも言えない気持ちでしたが・・・しかし、あそこで何故 六さんは自決しなければならなかったのか・・実は今一つわかっていないむぎこです。
責任を取るといっても、彼の立場では取りようがないような・・・。「殿はしらないことだ」といっても彼より上位の新一郎がいたのではどうにもならないような。
新一郎が殺されたので六さんが命じて一領具足を殺しましたというすじだろうか?
う~~~ん。なんてことを考えてしまいました。

それにしても、この流れを見るとますます家康は人気がなくなりますよね。
きっと隆慶一郎的にはこれを命じたのは秀忠ってことになるだろうな・・・と考えたりしました。
それにしても最後になってがぜん本気でみだした『功名が辻」目が離せないあと2回というきもちです




新一郎くん (koharu)
2006-11-27 23:33:29
新一郎さんって、小さいときに殿に逆らって家出した子供だったよなあ・・・と、『殿の声が聞きたい』と手を一生懸命手を伸ばしていた新一郎さんを見ていて、ふと思い出してしまいました。殿のこと、あれから、すごく好きだったんだろうな・・・生きていてほしかったです。

関ケ原の戦いのあと、先に土佐の様子を見に行った六さんは、山内家の家臣になるときに、自分の死も含め、ここまでのシナリオを作っていたような気がします。

絵空事をいっているのは千代ちゃんひとり、仕方がないといえば仕方がないのでしょうが、今回は、自分のことで精一杯といった感じ・・・
殿のことばっかり責めていないで、新一郎さんが死んじゃっても泣けない一豊君の精神状態に気が付いてあげてもいいのではないかと思いました。
重い回でしたね。 (きし)
2006-11-28 00:28:42
最終回も近いのに、こんなに重くてどうしましょう。

むぎこさま
>実は、そのあとの父の嘆きのほうが哀しかったです。
奥さんにも、吉兵衛さんにも、新一郎にも先立たれてもなお、ですからねぇ。

>きっと隆慶一郎的にはこれを命じたのは秀忠ってことになるだろうな
あ。それはありかも…。そういえば秀忠って、出てましたっけ?

koharuさま
>新一郎さんが死んじゃっても泣けない一豊君
泣かせてあげたかったです。

六さんと新一郎に気をとられてしまっていましたが、一豊くんが一番つらかった回だったんでしょうか、実は。
卑怯な作戦も実行しなければならず、家臣は亡くす、挙句、嫁は出て行くというし。

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