何でもかんでも「かわいい」で済ませるのはいかがなものかと思うわたくしですが、それでも「かわいいから」が理由になることはあります。
この本がそう。命を持つ置物の龍たちの物語です。
龍のすむ家 小さな龍たちの大冒険
著者:クリス・ダレーシー
挿画:浅沼 テイジ
翻訳:三辺律子
発行:竹書房
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シリーズ1作目は『龍のすむ家』。
かわいいし、好きなタイプの作品でしたが、先を追いかけるほどではなく放置しておりました。
その間にもシリーズは今も続行中で、コンスタントに新刊も出ていたようです。
たまたま見つけたシリーズ番外編をうっかり手にしてしまいました。
陶芸家のリズがつくる愛らしい龍は置物として人気ですが、その中の何体かは特別製の非売品。
特別な龍たちである彼らは、役割と名前を持って生まれてきます。
そんな龍たちの物語が本編というわけですが、この番外編では1作目で登場する本を携えた龍グラッフェンの誕生の時と最初の事件が描かれまます。
火を前にして、火とはなんぞやと携えた本をおもむろに開くグラッフェン。
想像しただけでかわいいです。
そんな悠長な龍を前にして、火事になっちゃう!とやきもきするリズの娘ルーシーのせっかちさもまたかわいかったりします。
ほかの龍たちもそれぞれ特徴をもっていて、愛らしく、やっぱり追いかけて読んでいけばよかったかしらという気にさせられてしまいます。
子供の時に読んでいたら、はまりにはまったはず。
でも、ルーシーが好きになれたかどうかはちょっとわからないところ。
大人びたふうには描かれないルーシーがかわいらしく思え、締めるところは締めて子育てをしているリズに好感を持てるのは今読むからこそだと思うのです。
読み聞かせをする本ではありませんけれど、親子で読むにはよい作品なのではと考えたりします。
本編のほうでは、龍たちの秘密が次第に明らかにされている様子。
完結したら一気に読もうかなと思います。