アゴタ・クリストフの短篇集です。
1冊も読まないうちに亡くなられてしまいました。
デビュー作にして代表作の『悪童日記』の三部作を先送りし続けていながら、この短編集にはするりと手が伸びてしまいました。
…薄かったから…?
どちらでもいい
著者:アゴタ・クリストフ
訳者:堀 茂樹
発行:早川書房
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収められているのは26篇。
『斧』、『北部行きの列車』、『我が家』、『運河』、『ある労働者の死』。
『もう食べたいと思わない』、『先生方』、『作家』、『子供』、『家』。
『わが妹リーヌ、わが兄ラノエ』、『どちらでもいい』、『郵便受け』、『間違い電話』。
『田園』、『街路』、『運命の輪』、『夜盗』、『母親』、『ホームディナー』。
『復讐』、『ある町のこと』、『製品の売れ行き』、『私は思う』、『わたしの父』。
『マティアス、きみは何処にいるのか?』。
短編の中でも短めで、長い時間の中の一場面、何かの断片のような長さの作品がほとんど。
『悪童日記』など一連の作品の後に書かれたものかと想像して手にした本でしたが、訳者の方のあとがきによると、それ以前の作品をまとめたものだそうです。デビュー前の作品というわけですね。
作品紹介の文章はこんな感じです。
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もはや来ることのない列車を待ち続ける老人の狂気と悲しみを描く「北部行きの列車」。まだ見ぬ家族から初めて手紙をもらった孤児の落胆を綴る「郵便受け」。まるで著者自身の無関心を象徴するかのような表題作「どちらでもいい」ほかに加えて、『悪童日記』へのつながりを思わせる単行本未収録の初期短篇「マティアス、きみは何処にいるのか?」を収録。筆を折り続ける著者の絶望と喪失感が色濃く刻まれた、異色の掌篇集。
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抒情的な孤独や甘い寂しさはさまざまな作家のさまざまな作品で読むことができますが、この本にあるのは、もっとごつごつとした、とても硬い塊のような寂寥感や出来事の先にある絶望も希望も見切ったかのような諦念。
およそ楽しいという作品ではなく、読みながら眉間に縦じわが寄ってしまいます。
でも、不思議とじめじめした気分にならなかったのは、打ちひしがれたまま伏すようなひ弱さを感じないからかもしれません。
これらの作品の先にある『悪童日記』の三部作。
遅ればせながら読まねばという気持ちをあらたにしました。
…長いものばっかり、これから読むリストに入ってしまいます。
読み終わるのかしら。
ちなみに、昨今話題の『カラマーゾフの兄弟』も手元にあるのですよね。何かと話題の新訳で。
どうするんだ、私。
いや、読み始めてはいるのですけれど。
『悪童日記』になかなか手が出なかったならば,『文盲』がお薦めかも。
薄くてすぐ読めますが,中身は濃く作家の抱えていたものが見えてくる気がします。
ところでカラマーゾフ!光文社ですか?
実は私もこれから読みはじめる予定なんですよ!おそろいですね♪
はい。遅ればせながらのカラマーゾフ。光文社です。なんだかね、古典を読んでいる気があんまりしないみたい。古典感アップのために岩波にすれば良かったかも。ちゃんと中身を読みなさいって言われそうですが w
先日新潮文庫で再読したところ,嘘のようにすらすら読めて面白かったので,これは訳文のせい?それとも成長の証か?と首を傾げたぐらいです。
で,今度は光文社新訳を覗いてちょっと素人翻訳比較みたいなものをやってみようかと調子に乗っているのですが~さてどうなることやら。
ま,趣味ですからね。のんびり挑戦しますw
日本語自体が…というのは、岩波らしい敷居の高さですねー。
新潮のカラマーゾフって表紙カバーが強面な…。読み比べの感想、楽しみにしています。ということは「本が好き!」にまめにいかないと?
そのころまでに読み終えられる…といいなぁ。
とても短いものばかりなのに
なかなか読み進めることが出来ませんでした。
印象的な言葉は沢山あるのですが、
これは、ちょっとレビューを書くのが難しい!
読んだ本のリストにこっそり加えておこうと思います。
他の作品を読んでいらっしゃるとなおさらなのかも、と想像したり。
それにしても、ほんとに早かったですね!読んでいただけると、やっぱり嬉しいです、