青空エクスプ レス

日本ではオンリーワンの手書き地域雑誌『あおぞら』の編集発行人を経て、室戸市の政治を監視する改革派議員三期目。絵馬修復師。

日本語で話すことも「政治家の品格」を高める一つの方法

2017-07-22 | 政治家のあり方
 物を言う時に必ず英語の単語を入れて話す政治家がいます。その筆頭に来るのが、小池知事。

 彼女は必ず、記者会見などでは都民に意味が解らない英単語を入れて話しています。曰く、都知事としてグローバルな(失礼、英語を使っちゃった)資質を持っていることを世間に知らしめるために使っているのだろうが、都民に対して配慮や心配りがない。故に、小池東京都知事は都民に優しくないことが解る。

 一例だが、6月20日の記者会見(←クリック)での一番最後の部分をご覧いただきたい。

 そこで知事が答えたこの言葉「様々な、ワイズ・スペンディングで(やって)いきたいと思っています」の意味をそのまま東京都民や国民が理解できたかというと、大半の人は意味が解らなかったでしょうね。

 小池氏は「記者だったらこのくらいの英単語は知っているでしょうね、フフフ」と思ってのことだっただろうが、テレビのニュースでその場面を見た私は、「そういう英単語の意味を知っている都民や国民が何人いるのか。相変わらず自分本位の人だなあ」と思ったものです。

 で、ネットで調べてみました。つまり、そうしないと都民にも国民にもこの意味は伝わっていないことが解ります。で、こういう意味だと解りました。

 <ワイズ・スペンディング(wise spending)とは、「賢い支出」という意味の英語。経済学者のケインズの言葉。不況対策として財政支出を行う際は、将来的に利益・利便性を生み出すことが見込まれる事業・分野に対して選択的に行うことが望ましい、という意味で用いられる。>

 つまり、経済用語だそうだ。この記者会見場でのこの単語の意味は、ケインズ先生が言うところの「賢い支出」の意味ではなく、「税金の有効活用」という意味で使ったようです。

 きっと、これは「大学を出ていたらわかるだろう」というような単語なんでしょうが、そんな経済用語など国民や都民が知るわけがなかろう。

 ということから考えると、小池さんはこれ見よがしにこの単語を使い、「記者の皆さん、この英単語の意味ぐらい分かるでしょ、フフフ」と思いながら、会見場を出て行ったんでしょうね。つまり、いわゆる、“都民目線”の会見ではないことだけは間違いない。

 思ったのは、いくら自分が英語に堪能であっても、そこは全国にその情報を流す記者が集まっている会見場。そのテレビ画面の向こう側には英語なんか解らない人が圧倒的に多い。そのぐらいのことは政治家なら、知っておかねばならない。そういう立場にいる政治家が、英語に堪能な政治家相手の話ならいざ知らず、記者も都民も国民も日ごろ使ったこともない英単語を使って答え、それで良しとしているところに、この人の配慮の無さと判断能力の低さを垣間見た気がした。

 うがった見方と言われるかもしれないが、「あたしって外国のカイロ大学を出てるから、英語に堪能なのよ」とでも言いたいのかと思ってしまう。

 でも、票で地位を得る立場の政治家が「小池さんは有権者のあたしたちに配慮がない」、そう見られてしまったら、もしかしたら地位を失うかもしれない。たかが、英語でだ。

 だから、小池知事だけでなく、日本の政治家が日本人を相手に話す時には、日ごろ若者もオジサンたちも使っている“日常英単語”に留め、【聴く人の耳にやさしい発言】を行うよう努めてほしいものだ。言うにしても、「ワイズ・スペンディング、税金の有効活用に力を入れていきたい」というのがトップとしての見識というものであろう。少なくても、私が英語が堪能な知事であったら、そう答えていた。

 身近な場所で不遜なトップの言動を長く見聞きしてきたお陰で、地位にある人たちを分析したり評価したりする能力がついてきたようだ。 


 この英単語も一時期、流行ったが、「マニフェスト」という言葉がある。

 「マニフェスト」と有権者に訴え掛ければ、たとえ欠点だらけで甘い言葉ばかりを並べただけであっても全て認めてしまう世の風潮がある。一部に“政治的サギ”が見え隠れしている。各政党はこれを「政権公約」と言って凄んでいるが、私は「政権も取れない政党がなんで政権公約だ。正しく言えば政党の選挙公約だろう」と思っている。

 だから「政権公約」と指し示す事が出来るのは、政権に付くかもしれないと考えられる政党、つまり自民党と民主党だけ。あとの、選挙後に自民か民主と連立を組むかもしれない小さな政党である、公明党や社民党、共産党等々が公表する公約集は全て、「政党公約」が正しく「政権公約だ」というのは間違い。

 ま、そう広めたい高ぶった気持ちはわかるが、明らかに間違いだ。

 さて、この「マニフェスト」という言葉は前の三重県知事の北川さんがイギリスに学んで日本全国に「この言葉を使って下さい」と広めたものとされているが、一言で言って、これは北川元三重県知事のいわゆる“西洋かぶれ”。却って、真実を見えなくしてしまった罪がある。

 日本にはこれまで「政権公約」というものがあって、これを政権党が国民に示してきた。あまり明確で詳細なものではなかったが、公約集であったことには間違いない。そこが不満足ならば、各政党が詳細な、微に入り細に入りした「政党政策集」を作成し公表すればよいだけのことで、なにも無理に外国語を使って国民を惑わせるようなことをしなくてもよい。

 しかし、この「マニフェスト」とう英単語を使うことによって、老いも若きも「マニフェスト」なら全て「正しい」、「信じてよい」と勘違いしている。

 そんなことを自分なりに思っていたところ、作家・藤原正彦氏はその著書『管見妄語』で次のように語っていて、わが意を得たりの思いがしている。

  《選挙公約という立派な日本語があるのだから安易なカタカナ語を使わないほうがよい。》

 我が意を得たり。全くの同感だ。

 国民は国政選挙の度にこのカタカナ語に惑わされることになる。

 藤原氏の書いた記事の続きです。

  《国民の素朴な感情に迎合しないことが真の政治ではないのか。(中略)国家とはこれまでの全ての国民、これからのすべての国民のものである。従って政治家の頭には国民ばかりでなく国家もなくてはならない。国家のために国民に耐乏生活を強いることもありうるし、ときには嘘をついて国民を欺かなければならないこともありうる。》

 これも、国家の政党や地方の首長など組織の長たる立場になれば、この考え方も至極当然のことだ。それは自分の家計に置き換えて考えてみるとすぐに解かります。

  いくらマニフェストに書いてあろうとも、国民は政党の甘言にだまされて投票してはならない。

 この点を、藤原氏も 《マニフェストを見ても戦術ばかり、すなわち当面の問題に対する具体策ばかりである。足元を照らすより行く先を明るく照らすような言葉、大局観がほしい。(中略)日本の防衛をどう考えるのかという最重要問題について触れないのは不可解である。つまらぬ甘言で票を得ようとするのは国民を愚弄している。》と指摘する。同感だ。

 これこそ正しく、作家・藤原正彦の「政党の品格」。面目躍如たるものがある。

 藤原氏は最後に、こう指摘する。

  《政治家は国民に迎合してもいけないし愚弄してもいけない》

 私もこれまでずっと同じことを考えてきた。国民に甘い言葉でささやき掛けることばかりで、今の政治家の中には国を引っ張ってゆける能力を持った政治家が少なくなった。そして、政府の足を引っ張るだけしか能がなく、正面切って正論で政策を語り国民を納得させる能力を持った野党議員もいない。だから、国政自体を何か心許ないし頼りないと思っていて、自分を肥やすことや政府の指示に逆らう国家公務員の仕事ぶりも加わり、不安で堪らない。

 日本がこれからますます真の政治家を輩出できないとなると、十年後、二十年後の将来、子や孫が六十代、四十代になった時に、この日本はどうなっているのだろうか、どうなるのだろうか。それが心配だし、そんな時代に生きてゆかなければならない子や孫がほんとにかわいそうに思う。

 自分たち地方議会の議員にとっては政府から地方自治体にお金が回ってくれば単純に「良かった、良かった」と喜んでいればいいのかもしれないが、私はそんなに物事を単純には考えない。何でもかんでも自分たちが金をもらえばそれでよいということにするつもりはない。

 誰だったか、どこかの政治家が言ってた、金をもらう行為は「さもしい」。あれだよ、あれ。武士は食わねど高楊枝の精神で、清貧の美学が心になくてはならない。 

 政治家は、自分の周りのことだけ、目先のことだけ考えてはならない。藤原氏が言うように、物事は大局に立って考えるものである。それが「大局観」だ。

 製材所の子として生まれ、親父に言いつけられて子供の時から百万、二百万円の木製品の代金を大工さんから集金してきた経験などから、その会社経営も国の経営も自治体経営も、経営哲学たるものは全く同じと考えている。

 その経営哲学の基本を違えた甘言だらけの政策を「マニフェスト」という横文字で着飾った「政党政策集」で唱えて政治を行おうとしていることに、大いに将来の国政を危惧している。

 とにかく、各政党の議員も小池知事も焦点をぼやかしたカタカナ語を使うのをやめて、日本人なら日本語を使うべきだ。

 「ワイズ・スペンディング」という言葉にしても、東京都に住んでいるおじいちゃんやおばあちゃんもわかるようにちゃんと「税金の有効活用」と話し、「マニフェスト」も「政党公約集」とすべきです。

 政治家がそう頭を切り替えれば、人は必ず後についてくる。

 「政治家の品格」を高める努力をしよう。


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