あをまる日記

つれづれエッセイ日記ですv

天は赤い河のほとり

2009-01-04 17:01:10 | マンガ、映画、書籍等
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篠原千絵による漫画作品。
小学館『少女コミック』誌上にて1995年3号から2002年3・4号、7号、11~13号まで連載。単行本全28巻、文庫版全16巻。第46回小学館漫画賞受賞。
紀元前14世紀の世界に流された中学3年の少女・夕梨(ユーリ)が古代オリエントの強国ヒッタイトの皇妃(タワナアンナ)となるまでを描いた物語。
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(ウィキペディアより)



以前母に「何か面白い漫画は無いか」と聞かれ、これなら母にも読みやすかろうと思って薦めたのがこれ。
薦めついでに私も久しぶりに読み返し、しばらく母娘ともども楽しくハマった。

この作品を語るとなると必ずと言って良い程言われるのが「王家の紋章」との類似点、六十過ぎのウチの母も読み始めてすぐに
「ねーこれ昔読んだアレのパクリでしょ?面白いからいいけど」
などとのたまった、まぁ実は私の感想も大体そんなトコなのだが;

「天は~」の読者の中には「王家~」との類似点の話が出ると「この程度の共通点は少女漫画ならばよくある事、これしきの事をパクリパクリ言う奴は池沼##」みたいな激しいファン心理を見せる人もいるようだったが(まぁ固定ファンのついている作品には必ずこういう人は付いてるけど;)
個人的には「基本設定」以外にもかなり共通項が見られるのでやはりどうしても「王家~」をどこかで意識して読んでしまう部分はある。

(そのあたりについて扱ってる面白いサイトがあったので貼ってみた。)
http://www5b.biglobe.ne.jp/~dozikko/mannga9_sora.htm
http://www5f.biglobe.ne.jp/~a-tubaki/page10.htm

数年前病院の待合室で手に取った女性週刊誌の対談だかインタビューのページで「王家~」の作者の細川智栄子姉妹が「天は~」が連載されていた期間を確か「腸が煮えるような苦しみの八年間」みたいなかなり激しい言い回しで表現していたのを見てああやっぱり相当御腹立ちだったんだなと思った;

しかし私が子供の頃ハラハラドキドキ夢中で読んだ「王家~」は今や絵もストーリーもグタグダなのは周知の事実で私もたまにプリンセスを書店で見かけては殆ど「怖いもの見たさ」でパラパラめくっては「やっぱり見なきゃ良かった」と毎回後悔するような状態;

そのせいか私にとって「天は~」は「王家~」のある意味理想形でもあったりする。
「こうあって欲しかったもう一つの『王家の紋章』」なのだ。

母が「天は~」を読み進めミタンニの血の黒太子がヒロインに惹かれる様子を見せるも結局自分を慕う側室を連れて立ち去るシーンを読んだ後に言った言葉。
「こっちはちゃんと出番が終わった男は退場するのね、安心だわ」
「こっち」に対する「あっち」は無論「王家の紋章」の事であろう。
愛する男の元から攫われ他国の王族に貞操を奪われかける、という「王家~」同様の展開が続いたからこそずーと「王家~」を意識して読み続けていたようだ。

物語序盤でどちらのヒロインも救国の女神である事を期待されるが
「王家~」のヒロインが国を救うどころか結果的に次々と敵国を増やして行くのに対して「天は~」は戦いの女神の異名通りの活躍をして国を栄えさせる。

「王家~」でヒーローのライバルにあたるイズミルは妊娠中のヒロインを手に入れた時散々「我が身の不幸」を嘆いた挙句「愛するが故に今そなたを逃がす」とのたまい敵国の砂漠に放り出し、後は部下に任せて不幸酔い;
なのに対し「天は~」のラムセスは「腹の子は自分の子として立派に育ててやるから二人目は俺の子を産んでねv」だった。
(「そうそう!ヒーローのライバルの資格を得るならそうしなきゃいけなかったんだよイズミルは;」と思ったのだ。どーせ国事に追われる身でも何でもないヒマ人なんだ、帰る場所のない妊婦を保護し安全な居場所を与えて自分を頼らせ周囲にも産まれた子にも自分を父親だと認識させりゃ勝利じゃねーかと、他人の女だろうと何だろうと諦められない、なら。まーこの辺りはキャラの個性だから比較しても意味が無いといえば無いんだけども;)

「王家~」が決着がつく様子も無いままヒロインに横恋慕するストーカーが際限なく増えて行くのに対し「天は~」の男達は物語上の役目を終えるとそれぞれの形で退場して行く。

「王家~」は誘拐と奪還ばかりを繰り返しやがてワンパターンと言われるようになったが「天は~」誘拐や戦争の次は王宮内の陰謀編になったり後宮の美姫達の嫉妬による苛め話だったりと手を変え品を変え色んな展開を見せ飽きさせなかった。

既に物語の目的も着地点も分からなくなった「王家~」に対し「天は~」はラスボスの皇太后を廃し皇后の座に付くという目的に向かって話が収束して行き、そこに着地して大団円を向かえた。


子供の頃夢中で読んだあの漫画がこうあってくれたなら、こう纏まってくれたなら、とついつい思ってしまう、私にとって「天は赤い河のほとり」は「面白い少女マンガ」であると同時に「王家~」のもうありえないもう一つの未来というか「もうひとつの王家の紋章」でもあるのだ;


ところで「王家の紋章」は結局どうなるのかな。
作者が老衰で限界を迎えたら終わってその後は面白かった頃の辺りだけが刊行され続けるとか…;
(ちなみに私は…まぁバビロニア編あたりまで、かな?まだこの奪還劇が終わった辺りから違う展開があるかもしれないと期待していた頃だし、この後また誘拐されたあたりで「ああずっと同じ事繰り返すのか」と悟ってあまり読まなくなった;)

そういえば昔NHK朝の連ドラでやってた「おしん」。
皆よく憶えてるのは小林綾子が演じた子供時代で数年前にも子役時代のみが再放送されてたけど後半は乙羽信子演じる老おしんがいつも息子や嫁を見て顔をしかめている「渡鬼」ソックリのホームドラマだったんだけど何故か前半部しか記憶に残っていない人が周囲に多い(つか私も見た筈なのに乙羽版はすっかり忘れてた;)
や、あんまし関係ないか、何となく今思い出したので;

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6 コメント

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同じように思ってました! (まめくろ)
2012-01-22 03:33:02
最近、昔読んでた王家~はどーなってんだろと48巻~55巻を買ってみたんですけど、キャロル誘拐パターンが繰り返されていて、おい~と思い、アマゾンのレビューを読めば、納得の酷評ばかり。ホント絶筆の未巻になる前に最終巻を!という声であふれてました。
そんな中、天は赤い河のほとりと王家の紋章の相似は私も気になっていたんで、検索したら、こちらが出ました!
同じように思ってたことが、ばっちり、それどころか、自分以上に書いてあって、良かったです。
ホント、キャロルは敵国増やしまくりですよね~。
いや、キャロルが悪い訳じゃないとは思いますけど。
なんかエジプトにとって良くないなとがっかり。
初期でメンフィスの命救ったから、もうなんでもOKなんて思ってもしまいます。
それと天~はもうひとつのこうあってほしかった王家~という文、心にしみました。
終わらせて欲しいなあ。でも手遅れでしょうねえ。
細川先生、やっぱ怒ってたんですね。
でも篠原先生もすごいと思う。絶対パクリという批判もあるとわかっていながら、天~を描いた。
そのおかげで、天~という素晴らしい物語を読者は読めたんですものね。
青丸さんの見解、すごく良かったです。
ありがとうございました。
あ~、天~も読みなおしたくなってきた~。
レスが遅れて済みません! (青丸)
2012-01-26 23:56:41
このブログ最近放置気味だったものでコメントチェックしてませんでした;
申し訳ありません(泣)
改めていらっしゃいませ、コメントありがとうございます。
こちらこそ拙い文を読んで頂きありがとうございました。

本当に…今はもう王家は全く読んでないです;
もう着地点を失くした今は終わらせようもないのでしょうが、
ガラスの仮面しかり、ベルばらしかり、私が子供の頃に一時代築いた少女漫画というのは不朽の魅力とパワーがありました。劣化の一途を辿るループ漫画となる以前(キャロル結婚辺りまででしょうか)は何度読んでも面白かったんですが…

「天は~」は、これもまた途中のどこを取り出して読んでもぐいぐい引きこまれる面白さなんですよね^^
王家との共通項はタイムスリップした少女が古代の王国で救国の女神と呼ばれ、皇位継承者と恋仲になる、という基本設定だけでなく、「ヒッタイト」「エジプト」「女神イシュタル」等々キーワードも類似していたので批判もさぞ多かったかと思いますが、
それでも高い評価を受けたのは、やはり圧倒的な面白さ故でしょうね。
(他、鉄剣の製法や、女神を民衆が称えるポエムとか「ソティス星現れる時黄金の乙女ナイルの岸に立つ」「イシュタルは獅子を従え暁の空をゆく」)

そういえば物語後半に、エジプトでユーリが使った偽名が「ナプテラ」でしたが、ここはあえて「ナフテラ」という読みを避けたんでしょうか(笑)



Unknown (まめくろ)
2012-02-03 06:16:51
コメントありがとうございます~^^。
ナフテラ(笑)。さすがに避けたのではと私も思います。エジプトでよくある名前なんでしょうか。
さて、漫喫で天は~を読んできました。
あれ~と思ったのですが、「似てない」と思いましたね。設定はこんなに似ているのに・・・。
別作品と感じました。それとさすがに読者がグッ!とくるカッコイイ見せ所が随所にありますね。
ただ、絵が王家に比べて「白く」感じました。
王家は書き込みが多いですね。絵柄の違いなんでしょうが。
やはり、ユーリが皇妃になるというゴールできれいに終わって気持ちいいですね。
王家のゴールって、なんなんでしょうね(笑)。
メンフィスが死にそうになるけど(定められた死)、それをキャロルが助ける?のでしょうか。
今、偽弟が出て、キャロルが暗い胸騒ぎを感じているのですが。
あと、イズミル王子はもろ、いい男に愛され、追いかけられたい、なおかつそれを冷たくはねのけたいという女の欲望を体現しているように思えます。
可哀そうだ(笑)。でも、私もキャロルに拒否られていいるイズミル王子が出てくると、ちょっと喜んでしまうんですよ(笑)。
なんか不安要素ばかりで、メンフィスとキャロルがハッピーエンドを迎えてほしいですね。
読者を安心させてくれ~細川先生と思います。
新刊の57巻が出たら買うつもりです。
なんでもイズミル王子が貞操の危機らしいので(笑)。
これも読者の欲望と思いませんか。
ちょっと古臭いですが(笑)。
Unknown (青丸)
2012-02-05 02:29:02
ナフテラの「ナフ」は美しい者、みたいな意味があるみたいですね。(つまりナフがつくと○美さん、みたいな名前になるんじゃないかと…)

確かに篠原先生の絵柄は白っぽいですね。この辺りは描き手の年代の違いもあるのでしょうが、細川先生の描く古代人は、やはり現代とは違う憧れの世界、というかあくまで別世界、どこまでも「時代劇」の登場人物ですが、篠原先生の作風は古代ヒッタイトという設定の割にかなりライトです。
絵柄もそうですが、衣装も現代人が手軽に手近な材料で「古代人のコスプレ」をしているようなライトさ、とっつきやすさだし、言葉づかいもほぼ現代の若者なんですね。
それゆえにか、あれほど見事な王道物語でありながら「大作」のイメージが無い。

ついでに、天は~、はタイムスリップというファンタジーを中心に置きながら、かなーりヒッタイト史の史実と実在の偉人を取り込んでる大がかりな「歴史物」でもあるんですが(例えば昨年ドラマでやってた「JIN」もそうですが)そういうイメージもまた無い、という…(笑)

イズミルの貞操…ですか?(汗)
女に襲われかけてるのか、はたまたアルゴン王のような若干変態な人に追われてるのやら…何か知るのが怖いような(苦笑)

そういえばアルゴン王、全盛期の悪役だけに魅力あったよなぁ、などと感慨が湧きますね。
Unknown (まめくろ)
2012-02-16 21:01:48
何回もすみません。こんばんは~。

ナフ=○美さんなんですか!
へ~。そういうトリビア大好きです。勉強になるなあ。

青丸さんのコメント読んで、おおっ!とまた熱く思ってしまいました。
「作風がライト」「古代人のコスプレ」というコメント、すっごい、鋭いと感じいりました。
もや~?と思っていたことが、そうそう!そうなんだよ!と言語化されていて、熱くうなずいてしまいます(笑)。
自分の頭じゃ出てこないなあ~。は~、素晴らしい。
しかし、きちんと歴史をとりこんでいるのに、本当にあまり感じさせませんね。
わざとなんでしょうか。小難しくして、読者が離れていかないように?

さて、アルゴン王なつかしい。あ、でも最近のコミックにも登場してましたよ。
でも、いいヤツの弟にとめられて、お邪魔虫な行動はできないまま退場していきました。メンフィスラブのジャマリも相変わらずでいましたよ~。

アルゴン王といえば、キャロルがアルゴン王から逃れようとジギタリスを食べるところが好きでした~。
ハサンが後悔してキャロルを助けるところ、子どもながらに泣きましたっけ。

イズミル王子は18禁なみに悶える王女に襲われるそうです。がんばって逃げて~と声援を送っておきます(笑)。

良いコメント大変ありがとうございました。
すごく、うなずけました!
またこちら拝見させてくださいね。
ありがとうございました~^^。
Unknown (青丸)
2012-02-20 01:37:04
確か、天は~後半、エジプトでのラムセスとの偽装結婚の時、女王に
「ナプテラは別読みでネフェルタリ、最も美しき者、という意味だな、お前にとってその娘は最も美しいか?」
みたいな問いかけをするシーンがあったかと思いますが(うろ覚え;)

「ネフェル」が「美しい者」という意味なのは昔どっかで読んだのですが(そういえばメンフィスのお父さんのお名前はネフェルマアト王、でしたっけ?)
「ネフェルタリ」が「最も美しい者」だとすると「ネフェル(美しい)タリ(最も)」となり、
「ナフテラ」は「ナフ(美しい)テラ(最も)」となるんじゃないかな、と^^;
(無理矢理日本名に訳すなら「最美(もとみ)」さんとか? 笑)

天は~の連載が終了して10年にもなりますし、既にどちらも「古い作品」で括られるのでしょうが(王家は連載中ですが;)王家~が始まった時代と天は~が始まった時代は全く違う訳で…

王家~は少女漫画に現実とかけ離れた異国、時代、トコトン「夢の世界」が求められた時代の作品で、天は~は逆にかけ離れた時代と設定を描く時には夢の世界を「現実に近づけて」少女たちに読ませる時代だったのかもしれませんね。
(何しろ同誌では確か新條まゆ先生が活躍していた頃だったかと)

しかしいつの間にか王家~も欲望に悶える王女が出るようになったとは…見たいような怖いような…(苦笑)


こちらこそありがとうございますv
更新の遅いブログで済みませんが、宜しくお願い致します。



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