愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

テーマをひねり出す

2017年05月16日 | 卒論
現在ゼミ4年生は卒論,3年生は研究発表のテーマを模索中です。なかなか決まりそうにありません。研究テーマが明確に決まれば,論文は半分は完成したも同然なので,当たり前といえば当たり前なのですが。

研究テーマを決めるということはどういうことか。何を明らかにするのかを決めることです。ただし,これは自分が知りたいことを決めることではありません。

学生たちに研究テーマを考えて来るよう指示すると,たいてい自分が知りたい事柄をテーマとして掲げます。例えば,「ユニクロのSPAモデル」「セブンイレブンのPB開発の実態」などです。基礎知識のない学生がその知識欲を満たすには,ビジネス書を2,3冊読めば十分です。かつては,あいまいな知りたい事柄をテーマとして掲げ,ビジネス書を丸写して卒論とする例が後を絶ちませんでした。

研究テーマは,本来,未知の事柄について自分なりに知見を導き出すものでなくてはなりません。したがって,特定領域において,現状ではどこまで明らかにされているのかを探ってから,未知の事柄を整理する作業が必要なのです。そのためには,膨大な数の文献を読み込まなくてはならないのです。

自分が知りたい事柄を掲げるのは出発点として,良いでしょう。しかし,あくまでこれは勉強の方向を示すだけです。そこから,研究テーマをひねり出すためには,数多くの文献を読む必要があるのです。

もし「ユニクロのSPA」という知りたい事柄を定めたのならば,ユニクロの経営戦略を扱った論文や著書を集めます。2,3ではなく,数十は集めます。さらにそれに加えて,ユニクロの創業や現状の戦略,経営者柳井氏の発言などを記した雑誌・新聞記事を集めます。続いて,SPAというビジネス・モデルを扱った論文や著書を集めます(ユニクロとは必ずしも重ならない)。加えて,SPAの現状を記した雑誌・新聞記事も集めます。

これらを数か月かけて読み込み,ユニクロのSPAがどのように生まれ,成功に至ったのか,要因や経緯を自分なりに整理します。そうすると,既存の文献において説明の不十分な点が存在すること,複数の文献の間に記述の矛盾が存在していることが浮かび上がってきます。これらこそが未知の事柄について自分なりに知見を導き出す始まりになるのです。不十分な説明があるときに自分なりにそれを補うことができるのか,記述の矛盾が存在するときにそれを解消する事実を自分なりに探し出すことができるのか見通すことで,研究テーマをひねり出すことができるでしょう。

学生がそのようなことを行うのは至難の業であると,ゼミ生たちは訴えるかもしれません。文献を相手にすることはつまらないと考えるかもしれません。しかし,文献と格闘することが大学(とくに文系学部)における知的訓練の基本なのです。

とにかくゼミ生たちには以上の作業をきちんとやるよう繰り返し諭していきます。
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