青空の Café time

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小説「My Sweet Heart」その2

2017年04月18日 05時32分29秒 | 車のショートストーリー "with Love"
第2章 『愛しいあなたとまた会えるから』



都内の道路はいつも混んでいる。

それでも、わたしはできるだけ空いている道を選び、あなたのもとへ急ぐ。

渋谷入り口から首都高に乗り3号線へ。そのまま東名高速に入り一度川崎で下道に降りる。

下道には首都高よりは空いていた。


2車線道路で赤信号で止まっていると隣に止まった車の男が、わざわざ窓を開けてわたしに声をかけてきた。



バカな男。

わたしは安っぽい男には興味ないの。

グローブボックスから取り出したサンローランのサングラスをかけると信号が青に変わった。

その男の車を先に行かせて、車線変更しアクセルを踏み込み「ヴォン」とV8エンジンを吹かしながら煽ってやる。

わたしに煽られた男は慌てたように、狭い横道に逸れて行った。

ふん。くだらない男ね。



京浜川崎入り口から第三京浜に乗り、新保土ヶ谷で横浜横須賀道路へ。

逗子で降りると潮の匂いがしたが気のせいだろう。

いくら海が近いと言っても、5キロは離れている。

さあ、来たわ。

あなたのいる葉山へ。

会ったらなんて言おう。

逗葉新道を5分ほど走ると、あなたのいるはずの建物が見えてきた。

広い駐車場にマスタングを突っ込み、ドアを開けて降りる。

ああ、あなた、もうすぐよ。

店のドアを開けると・・・




あああ!!!

あなたが!!!

愛しいあなたが!!!

こんなに!!!

こんなにいっぱいいるわ!!!


「えーと、カスタードプリンと王様プリンとティラミスプリンを5個づつ。あ!ティラミスは大好きだから7個にしてください」

「ありがとうございます!お客様、全部で17個になりますが・・その日持ちがいたしませんが・・大丈夫でございますか」

「何よ!いいでしょ別に10個や20個買っても。車で来てるから持って帰れるわ。それにわたしが全部ちゃんと食べるから大丈夫よ」

「えええ!!全部、お客様が・・」

「何よ!!さっきから何なの?いいじゃない好きなんだから。あ!わたしのこのセクシーなナイスバディが崩れるのを心配してくれてるの?大丈夫よ。食べたらジムに行って運動するから」

愛しいあなたの名前はマーロウ・プリン。

プリンが入ったガラスビーカーに、チャンドラーの小説に登場する私立探偵フィリップ・マーロウが描かれた高級プリン。

ここ神奈川県の葉山にあるお店が本店だった。

わたしが初めて駅の構内で見たマーロウ・プリンの売店は、期間限定の出張店だったのである。

あまりの美味しさに毎日食べた結果、体重が5キロ増加したことは言うまでもなく最重要機密だから、誰にも言っちゃダメよ。もし言ったらわたしのマスタングで追い回して、口では言えないような、あんなことやこんなことをしてあげるから。

あああ・・でも・・

愛しい美味しいマーロウ・プリンさまに再び会うことができて幸せだわ。

これからあなたに毎週会いに来るから。

「通販もございます」

高速代とかガソリン代とか、デートを我慢したり、毎週来るのは大変だけど・・

「お客様、さっきからひとりごとをおっしゃってるお客様!」

「何よ!何か言った?」

「ですから、遠方でいらっしゃるのが大変なお客様のために通信販売もしております」

「・・・え?」

「つーしんはんばい。です」

「・・・なんだー、先に言ってよー、もうー、今日だって早く行かないと売り切れちゃうと思って彼とのデートすっぽかして急いで来たんだからね!!」

「それは申し訳ありません。ですがお客様。当店の場所はどうやって確認されましたか」

「それは駅でお店が葉山にあるって聞いて、あとはマーロウ・プリンというワードをググって、こちらのホームページにたどり着いて、そこに載ってた住所をカーナビに入力して」

「ホームページをご覧になったのですね。それならそこにオンラインショップのご案内があったはずなのですが」

「・・・そうなんだ」

「そうです」

「気がつかなかったわ」

「そうですか」

「ありがとう。教えてくれて。次回からオンラインショップでオーダーするわ」

「よろしくお願いいたします」

店内を見回すと、テーブルと椅子があって食事できるようになっていた。

もしかしたら、ここでプリンを食べられるのかな。

「カレーライスとミートソースライスには、オプションでお好きなプリンをお付けできます」

「えー!なんだー早くいってよ!!もうあなた気が利かないんだから」

「それは・・申し訳ありません」

「じゃあミーソースライスのセットに王様プリンとカスタードプリンを付けて」

「ええ!!プリンを二つでございますか?」

「ちゃんとその分のお代払うから大丈夫よ。それともカロリーでわたしのこのナイスバディが崩れるのを心配してくれて・・」

「そんな心配してません」

・・・少しは心配してくれてもいいじゃない。

「何かおっしゃいましたか?」

「いいえ。別に。なんでもないわ」

ああ、夏が来る前に、水着になる前にダイエットしないと。
水着以前に、タプタプになってしまった二の腕もなんとかしないと。
それから、お腹も・・

でも今はそんなこと忘れて、マーロウ・プリンさまとの再会を祝って、お腹いっぱい食べよう!!


ーENDー



マーロウ・プリンは本当にありますが、この小説はフィクションです。
(明日UP予定のあとがきへ続きます)



待てない!という方はこちらへどうぞ〜

⇨ 青野詩織 車のショートストーリー "with Love" 「ハードボイルド・マスタング」(エブリスタ)
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小説
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