青空の Café time

私の中には♪
いつも青空がある♪

シトロエン2CV Part2『Antique shop II 』

2016年10月15日 11時12分19秒 | 車のショートストーリー


10時ちょうどにアンティークショップに到着。

あれ、シャッターが半分降りてる。

とりあえず聞いておいた、お店横の駐車場に車を入れよう。

駐車場といっても左側のマンションとの間のあまり幅の無いスペース。

でも大丈夫。

伊達に左ハンドルのマニュアル車乗ってる訳じゃないから。

しかも2CVだしね。


オーナーさんの彼が出てきた。

おはようございますと声を交わす私たち。

彼、誘導してくれるつもりらしいけど、ここは私の運転テクニックを見せておこう。

大丈夫ですからと笑顔で断ってギアをバックへ。

よし、左ぎりぎりに寄せて入れよう。

彼の心配顔に微笑んで、2CVは無事に駐車場に納まった。


「そんなに左に寄せなくても。それじゃあ出られないでしょう」


大丈夫ですよ。

ほら。

ね。


余裕の笑顔で右側のドアから降りて彼の前に立つ。

2CVのシフトレバーはダッシュボードのほぼ真ん中にある。

運転席と助手席の間、ダッシュボードから真っ直ぐ突き出している形。

こんな変な車、他には知らない。

でもそのおかげで床に邪魔するものが無いから、左から降りようが右から乗ろうがどちらでもOK。


「ピカピカですね。この2CV。古い車なのに」


熱心に車を見る彼。

やった。

車好きな人みたい。

この前ルノー乗ってると言ってたし。

コーヒータイムのお話しのネタを一つ確保。


車内を熱心に見てる彼に微笑む私。

ではここで彼にとっておきの情報をあげよう。



『この2CV、新車なんです』




2CVを知ってる人なら、これを聞いて驚かない人はいない。

やっぱり彼も「えっ!」と言って絶句した。

だって2CVの生産終了から30年ぐらい経っているもの。


でもね。

種明かしはコーヒータイムにしよう。

今話してしまうの勿体ないから。

彼との時間までとっておこう。

先に気になっていたことを聞く。


お店、今日お休みなんですか?


「開店は午後からなんです。いつもは。今日は、あなたがいらっしゃるので開けました」


え、そうなんだ。

そういえばこの前友人と来たのもランチしてからだった。

悪いことしたな。


「だから、シャンデリアをゆっくりご覧いただけます。それから、あの・・」


ごめんなさい。

私のために。


でも。

うふふ。

じゃあ、まずシャンデリアを見せていただけます?


彼の後ろから店内へ。

わあ、いっぱいある。

この前よりたくさんのアンティーク。

シャンデリアだけでなく、テーブルや椅子、チェストや絵画まで。

アンティーク好きな私は、ちょっとはしゃいで店内を見て回る。


いけない。

目的はシャンデリアだった。

うん。

これいいな。

フランスの5灯シャンデリア。






歳を経た真鍮の鈍い輝きが素敵。

おいくらかしら。

プライスタグを見る。


うーん。

ちょっと予算オーバー。

どうしよう。

でも見れば見るほど素敵。


アンティークは一点物。

出逢いを逃したらもう二度と逢えない。

素敵な人との素敵な出逢いのようなもの。


迷っている私の後ろから彼の声。

何度聞いても素敵な声ね。


「気に入って頂けましたら、お値段の方はサービスいたします」


それは。

サービスって。

いつもなさっているのかしら?

こちらで初めて購入する人でも?


彼に向き直る私。

いけない。

ちょっと言葉がきつくなってしまった。

でも。


「いえ。いつもという訳では・・あなたに・・」


正直な人。

もしかしたら。

私に好意を持ってくれたのかもしれないけれど。

こういう形で、その好意に甘えたくない。


私と彼に沈黙が降りる。

シャンデリアを見つめたまま困り顔の彼。

この人。

可愛いな。

ふっと心が緩んで微笑む私。


今日はこのまま、このお値段で買います。

お気持ちだけで十分ですから。

ありがとう。


少し照れたように笑顔を浮かべる彼。

その笑顔に胸がきゅんとなる私。


「わかりました。すみません。では梱包いたしますので」


配線とかチェーンなどの調整をしてカードで支払い。

車に運んでもらう。

よし。

では、待ちに待ったコーヒータイム。


「せっかくなので、ご一緒に昼食をと思って近くのレストランを予約したのですが」


ええ!

そんな。

嬉しいことを。

でも、予約したのですが?って言ったけど?


「急な商談が入ってしまって正午には店に戻らないと。すみません」


え、そうなの。

私を喜ばせたいのか、がっかりさせたいのか。

でもこの人。

正直なんだね。


時計を見る。


よし。

タイムリミットの正午まで40分ほどある。

ランチは無理そうだけどコーヒータイムは大丈夫。

せっかくのチャンスだから。

計画を変更しよう。


このあたりでテイクアウトできるコーヒーショップはありますか?


「え、テイクアウトですか?スター◯ックスのような?」


そう。

これからカフェに行って、コーヒーを飲みながらお話しして戻ってくる時間は無いから。

そして彼にとっておきの笑顔で言う。



『私の2CVをカフェにしましょう。それも移動カフェ。私の運転で。いかがですか?』




2CVの車内は広い。

男性がシルクハットを被ったまま乗れるように設計された車。

だから。

彼を助手席に乗せてテイクアウトのコーヒーを買いに行って、そのまま車をカフェ空間にしてしまおう。

今日は気持ちの良い青空だから屋根もオープンにして。

この周辺は代官山の繁華街から少し外れていて、2車線道路の割に車はほとんど通らない。

コーヒーと会話を楽しみながら、この周辺をゆっくりミニドライブする計画。

これなら40分でも大丈夫。


ね。

素敵なアイデアでしょ。

そしてきっと素敵な時間になる。

例えそれが束の間でも。

だって。

二人きりだもの。

この2CVで。




⇨ シトロエン2CV Part1『Antique shop I 』へ

⇨ シトロエン2CV Part3『Antique shop III 』へ










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2 コメント

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素敵なシャンデリア (イエズスのペトロ)
2016-10-15 18:20:35
読者登録して頂いてありがとうございます。
何て素敵なシャンデリア!ため息ついてしまいました。青空さんはとてもセンスがいいんですね!私の部屋の蛍光灯も変えたばかりなのですが、ちょっと値ははりましたが、ステンドグラス柄の傘のついたLEDランプのものにしました。とても気に入っています。
車の中でのティータイム、ちょっとドキドキしますね。でも親しくなるにはちょうど良い空間かも。人生を素敵に生きている青空さんに拍手!!\(^o^)/
イエズスのペトロさんへ (aozora)
2016-10-15 19:05:18
コメントありがとうございます。
私の方こそ読者登録いただきまして、ありがとうございます。
アンティーク品は世界の何処かで愛され年月を重ねてきた一点物。
素敵なアンティーク品に出逢った時は思い切りも必要です。
恋は予想出来ない邪魔が入るのは世の常。ここで諦めてはいけません(^^)
マイナスをプラスに変えてしまいましょう。
うふふ。

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