青空の Café time

Summer love is Passionate

奇妙な話『かけられる』

2016年12月10日 06時31分08秒 | 奇妙な話



友人の秀行は雨の日の運転が嫌いだった。

「すれ違いざまに道路に溜まった水を跳ねあげられるのがね。」

「ああ、大型トラックとすれ違ったりするとひどいよね。一瞬前が見えなくなる時もあるよな。」

「・・トラックじゃないんだ。」

「じゃあダンプカーとか?あれも向こうの方がでかいから、こっちが軽自動車とかだと・・」

「ダンプでもない・・」

「?じゃあ何だよ。マナーの悪い普通車か?」

「トラックでもダンプでも、だいたい車じゃないんだ。多分・・」

「・・良く分からないな。」

そして秀行が話し始めた・・

半年ぐらい前、彼女を乗せてドライブに行ったんだ。
麗子っていうんだけど、会ったことあるよね。
そう、よく笑う女で・・
それで海が見たいって言うから湘南から葉山を回って・・
で、その帰りに相模原あたりで、土砂降りの雨になったんだよ。
まだ午後3時ぐらいなのに真っ暗になって、ヘッドライト点けても雨でよく見えないんだ。
2車線の道路で、それほど交通量は多く無かったけど。
もう、道路が川のようになっていて、視界は悪いし、スピード落として慎重に運転したよ。
そうしたら、いきなり反対車線から思いっきり水をかけられたんだ。まるで滝に突っ込んだみたいに凄い量の水をさ。

でも、いなかったんだ。
誰も。
何もと言った方がいいかな。
水をかけられた時、反対車線には車がいなかった。
何も見えなかった。
なのに大量の水が降ってきたんだ。
まるで何か見えない巨大な物とすれ違ったように。
僕は凄く驚いて、何だ一体!?とか叫んだと思う。
それで助手席の麗子に言ったんだ。
今の何だろう。反対車線に車なんかいなかったよねって。
そうしたら麗子がこう言ったんだよ。

「いたわよ」

え!? 何がって聞き返すと

「車じゃないわね。足があったから。真っ黒で大きくて反対車線を走って来て私たちとすれ違って」

・・聞かなきゃ良かったと思ったよ。
そう麗子って、こういう女なんだ。
見えるんだね。
そして黙ってしまった僕に笑いながらこう言ったんだ。

「大丈夫よ。その前にすれ違った車に憑いてきただけみたいだから。たまたま、とばっちりを受けただけよ」

え?最近、麗子を見ないって?

・・別れたんだ。
可愛くて好きだったんだけどさ。
怖くなっちゃったんだ。
彼女が。
だって想像しちゃったんだよ。
この女には一体何が見えてるんだろうって・・

そして、何で笑っていられるのだろうってね。




⇨ 麗子が登場する、奇妙な話『ぶつかる』





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