杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

ブラッド・ダイヤモンド

2007年04月11日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2007年4月7日公開
アメリカ 143分

ダイヤの密売人であるダニー・アーチャー(レオナルド・ディカプリオ)は、巨大なピンク・ダイヤを隠し持つソロモン(ジャイモン・フンスー)という男の存在を知る。一方、ジャーナリストのマディー(ジェニファー・コネリ)は、反政府組織“RUF”の資金源となっている“ブラッド・ダイヤモンド”の真相を探っていた……。 (シネマトゥデイより)

新学期に入った最初のレディースデー、しかも朝一(10時前の上映)ということで、大きなスクリーンなんだけど観客はまばら~ゆったり鑑賞出来ました。
感想、一言で言うと、「良かった!」

ブラッドダイヤモンドとは、戦争で疲弊している地域、とくに中央および西部アフリカでの紛争の資金源とするために違法に取引されているダイヤモンドを指し、国連では、「正当かつ国際的に認知されている政府に反する勢力・党派が支配する地域を原産地とし、上記の政府に反対する、あるいは安全保障理事会の決定に違反する、軍事行動の資金源として利用されているダイヤモンド」と定義しています。まさに血のダイヤ。

映画で描かれる1990年代後半、シエラレオネで起きた非人道的な紛争により、世界の注目が集まったそう。この時期におけるブラッドダイヤの比率は世界のダイヤ産出高の約3(4?)%と推測されていました。そして2000年6月、全世界のダイヤモンド業界が紛争地ダイヤモンドに対する「ゼロ・トレランス(ひとつの紛争地ダイヤモンドも許さない)」方針を国際社会に発表し、国連、各国政府、非政府組織と密接に連携し、キンバリー・プロセス証明制度を発足させました。これにより現在は世界のダイヤモンドの99%が紛争と関係のない地域ところで採掘されているのだとか。

ダイヤモンド自体に罪はないけれど、ダイヤ(他の天然資源も同様)を利用して権力や富を掌中にしたい輩の存在が、輝石を血の赤で染めているのね


愛する家族と慎ましいけれど満ち足りた生活を送っていたメンデ族の漁師ソロモンは、突然、反政府軍(RUF)の襲撃を受け、家族と引き離されてダイヤモンドの採掘場での労働を強いられます。
そもそもどうしてRUFが、何の罪もない一般人の村を襲い、略奪や殺戮の限りを尽くすのか、その背景が理解出来ずにいるので、ただただ「理不尽な」という思いが胸にこみ上げてきます。

ある日、大粒のピンク・ダイヤを発見した彼は危険を覚悟で誰にも知られない場所に隠すのです。だってこれがあれば愛する家族を救うことが出来るかもしれないんだしでも見られちゃったんですね~RUFの兵士に
一方、ダイヤ密輸を生業にしているダニーは密輸に失敗して投獄された刑務所でこの話を聞きつけ「チャ~~~ンス」と思っちゃうそりゃそうだそんな彼が知り合ったのがアメリカ人ジャーナリスト、マディー。彼女はブラッドダイヤの真実を報道したいと思ってる。

ここまでは、ダニーの軽さと道徳心の無さが遺憾なく発揮され、掴みはOK 口癖の「は!(上手く文字で表現出来ない)」も傲慢なキャラを旨く現しているように思えました。

サイモンへは行方不明の家族探しを、マディーには情報提供を餌に、このピンクダイヤを我が物にしようとするダニーは、まさに戦場で生き延びてきた傭兵のしぶとさとあくどさを体現しているかのよう。

そんなダニーに変化が生じるのは、マディーとの束の間の感情の触れ合いと、サイモンが息子へかける愛情の深さに触れた時。自身も9歳で両親を虐殺された過去を持つ彼にとって、身近で感じる「愛」の感情は新鮮な驚きであると同時に彼の中で眠っていた人間的な良心をも目覚めさせてくれたのでしょう。しかし、それは危険な運命へ誘う罠(という言い方は変かもですが、最後まで観るとわかっていただけるかも)でもあったのかもしれません

いや~~レオ君、今回もいい仕事してます!『ディパーテッド』あたりから、「一皮剥けた~?」と感じてましたが、今回の作品でも孤独で自分しか顧みなかった傭兵上がりのダニーが愛を知り内面に変化が生じる様子を素晴らしい演技で魅せてくれましただからこそ、辛い彼の○シーン。

マディとの愛についてはごく慎ましい描かれ方で、(多分、あの夜にあった筈~より深い結びつきが!という感じであっさりキスシーンさえない)それでいて、最期の電話のシーンでは互いに深く結ばれた心を感じることが出来るという・・脚本が良いね

サイモンの息子がRUFに拉致されて、兵士として洗脳されていく様子が並行して出てくるのですが、脅迫や麻薬も織り交ぜながらの洗脳の様子に、今でも世界のどこかの地域で、こんな風に子供(少年)が兵士にさせられているのかもという恐怖がじわじわと浮かんできました。

冒頭に登場する朝焼けに染まるアフリカの大地や、自然の雄大さ、素晴らしさ。反して虐殺シーンの惨たらしさが際立ちます。難民キャンプに収容された100万の人々に「国ごと難民だなんて」といったマディの言葉が忘れられません。

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