杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

ぼくのバラ色の人生

2017年06月13日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

1998年11月7日公開 フランス・ベルギー・イギリス 88分

映画天国 2017年6月13日放送

7歳の男の子リュドヴィック(ジョルジュ・デ・フレネ)の夢は女の子になること。スカートをはいて、着せ替え人形と遊んで、いつかは好きな男の子と結婚したい…。そんな無邪気なリュドに周囲はとまどう。成長の過程で訪れる一時的なものだと考えたピエール(ジャン=フィリップ・エコフェ)とアンナ(ミシェール・ラロック)の両親は見守ろうとするが、学校でも、ご近所でも、リュドはどんどん浮いた存在に…。リュドが思いをよせる男の子と“結婚式ごっこ”をする姿を目撃した男の子の母親は…!

 

トランスジェンダーの男の子のお話ですが、この映画が作られた90年代後半では、社会的偏見や差別が当たり前のようにあったのではないでしょうか。自分は神様の手違いで男の子として生まれたけれど、その間違いは将来正されると信じているリュドですが、友達も近所の住民も、家族さえも理解してはくれません。

リュドが化粧をしてドレスを着たり、父親の上司の息子ジェロームと仲良くなって彼と結婚したいと望んで皆を驚かせたのも、彼の心の性別が女の子だから。でも周囲はリュドを性的倒錯者とみなして両親のことも非難します。その両親さえも、リュドを理解できずに混乱し、父親は矯正を試みセラピーを受けさせます。最初はリュドをありのまま受け入れようとしていた母親も、度重なるトラブルと近隣住民の悪意と差別の目に追い詰められ、リュドを突き放してしまうの。

お母さんが家族の散髪をしているんだけど、今までは許していた女の子のように伸ばした髪をバッサリカットされるシーンは切なかったな~~。

やがてリュドは転校を余儀なくされ、父親もリストラに遭います。虐められているリュドを兄たちも見て見ぬふりをするなど、一家の中でも浮いてしまったリュドは同じ町に住む祖母の元へ一時避難。でも新しい仕事が決まり転居することになったとき、リュドは一緒についていくことを選択するのね。やっぱりリュドにとっては親兄弟が一番なんです。元々リュドの姉や兄たちは弟のことを受け入れているような節があり、このころには父親も一定の理解というか諦めを持って接している気がしましたが、逆に母親だけが一家の不幸はリュドのせい!みたいな意識が見えます。

引っ越し先で知り合ったクリスは男の子みたいな恰好をしています。本名のクリスティーヌと呼ばれるのも嫌がっている様子。ある日クリスの母親が、リュドの母に、うちの子(クリスティーヌ)は少し変わってるけど仲良くしてねと誕生日会に招待し、リュドは母親に三銃士の恰好(男らしさを意味している?)をさせられ出かけていきますが、お姫様の恰好をしたクリスに衣装をむりやり取り換えさせられ、それを見た母親は、またトラブルを引き起こしたと誤解して逆上し、リュドは逃げ出してしまいます。

映画では物語の要所でリュドの大好きな着せ替え人形のパムが登場するのですが、リュドを追いかけた母親が、このままでは愛する子供を失うかもしれないことに気付くシーンにも効果的に使われていました。ようやく母親にも今度こそありのままのリュドを受け入れる気持ちが芽ばえたようです。リュドにとって、愛する家族、特に母親に受け入れてもらうことが、何より望んでいたことなんじゃないかな

最初の引っ越しで登場する住宅街は、「シザーハンズ」に出てくるような画一的でカラフルな一見温かみのある雰囲気ですが、住人の心の許容は狭く、差別意識や偏見に満ちていました。対して、新しい引っ越し先はいわゆるどこにでもあるような町ですが、クリスのような少女も受け入れられていて、人々の心はずっと豊かで進歩的に見えました。

20年前の映画とはいえ、日本でもまだまだこのような偏見は根強く残っているように思えるので、今観ても全く違和感のない内容です。

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