杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

スポットライト 世紀のスクープ

2016年09月18日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2016年4月15日公開 アメリカ 128分

2002年、アメリカの新聞『ボストン・グローブ』の記者たちによって、カトリック教会のスキャンダルが明るみに出る。神父による性的虐待とその事実を看過し続けたカトリック教会の共犯とも言える関係を、『スポットライト』と名のついた一面記事に掲載したのだ。彼らの追跡は、教会で長く隠蔽されてきた衝撃的な歴史を暴き、社会で最も権力をふるう人物たちを失脚に追い込むことになる、記者生命を懸けた闘いだった……。(Movie Walkerより)

新聞記者たちがカトリック教会のスキャンダルを暴いた実話の映画化で、第88回アカデミー賞の作品賞と脚本賞を受賞した作品です。

スクープの発端となったのは連続小児性愛者、ジョン・ゲーガン神父による事件です。示談交渉が成立し大手を振って出てくる彼の姿が冒頭にあります。日本人には想像しにくいですが、宗教が絡むと人は盲目になります。カトリックにおける神父は神の僕、使いであり神とある意味では同等なのですから、そんな人が悪行をする筈がないというのが大前提。普通人ならクビが当然なのに、当の神父は教区を変えたり、施設で休養してまた戻ってくる繰り返しの事実が恐ろしい
事件が起こっても被害者家族は表だって声をあげることすらはばかられるような周囲の視線。田舎の村じゃあるまいし・・・と思えど、ある種「村」に近い感覚なのかな?
被害者の心は二重に傷つき、死を選ぶ者も多く出ているという事実が切ない。彼らは身体と信仰心の両方に深いダメージを負い、一生苦しむのですから。

この事件を追うよう命じたのは、ボストン人でもカトリック教徒でもないグローブの新編集局長マーティ・バロン (リーヴ・シュレイバー)です。いわばよそ者の彼だからこそ出来たのかも。よそ者といえば、アルメニア系集団訴訟弁護士ミッチェル・ガラベディアン(スタンリー・トゥッチ)もそう。虐待神父に裁きを受けさせようとしても教会側の弁護士や法廷関係者までもが教団寄りなのですから。
ついでにいうと、記者のマイケルも移民で有形無形の差別を感じているようです。

「スポットライト」を担当する編集者ウォルター“ロビー”ロビンソン(マイケル・キートン)、記者サーシャ・ファイファー (レイチェル・マクアダムス)、マイケル・レゼンデス(マーク・ラファロ)、データ分析担当マット・キャロル(ブライアン・ダーシー・ ジェームズ)は、初めは半信半疑で調査を始めます。しかし事実が判明してくるに従い、彼らの中の記者魂と正義の心に火が付くのがわかります。
社会的権力者を失脚に追い込む記者生命をかけた戦いは緊張感に溢れています。

編集長のベン(ジョン・スラタリー)は生粋のボストンっ子で、友人でゴルフ仲間のジム(ジェイミー・シェリダン)は教会の相談役だし、ピーター(ポール・ガイルフォイル)は教会の親善大使を務めています。教区のバーナード・ロー枢機卿(レン・キャリオー)の権力も絶大な中、彼ら教会派を敵に回すのは危険で得策ではありません。しかし、調査が進み膨大な数の事件と加害神父の存在に、ベンの心もまた決まるのですそれは人として正しい事をするというごく当たり前のことでもありますが、決断には人生を賭けるほどの勇気が必要でもあります。

一人の神父の一つの事件としてではなく、このような人間を擁護してきた教会の体質そのものに切り込もうとしますが、教会側の調査妨害や、9/11事件の影響による調査の棚上げを余儀なくされます。しかし「聖職者による虐待被害者ネットワーク」(SNAP)の支援や、元神父で、現在は心理療法士のリチャード・サイプ(声:リチャード・ジェンキンス)の協力を得て遂に発表にこぎつけることができたのです

サイプは、性犯罪神父たちが貧しく弱い人々の中から犠牲者を捜そうとし、教会神父の少なくとも6%が、犯罪者だと説明しています。カトリックの神父は妻帯出来ないので、性的欲求の解消の矛先が弱者に向くというわけね。これは教義に関わる問題なので軽々には論じられませんが、聖職者といえど一人の人間に過ぎないのだから当然とも言えるかな。
日本だって「なまぐさ坊主」なんて言葉もあるんだから、洋の東西を問わずってことよね。

映画はスクープが載った後の新聞社にかかってくるひっきりなしの電話(その多くが被害者からのものだったとか)に応対するスタッフたちの画で終わります。この先の展開は事実をご覧くださいってことかな

元々信仰心を持ち合わせていない身には、ますます宗教なんて胡散臭いと思ってしまう事件ですが、信仰自体を非難・否定するわけではなく、人間そのものへの不信感が増したという感じですね。
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