杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

LOGAN ローガン

2017年06月02日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2017年6月1日公開 アメリカ 138分

ミュータントの大半が死滅した2029年。長年の激闘で疲弊し、生きる目的も失ったローガン(ヒュー・ジャックマン)は、アメリカとメキシコの国境付近でリムジン運転手をしながら、年老いたプロフェッサーX/チャールズ・エグゼビア(パトリック・スチュワート)を匿い、ひっそりと暮らしていた。そんなある日、ローガンの前にガブリエラ(エリザベス・ロドリゲス)と名乗る女性が現れ、ローラ(ダフネ・キーン)という謎めいた少女をノースダコタまで連れて行ってほしいと頼む。組織に追われているローラを図らずも保護することになったローガンは、チャールズを伴い3人で逃避行を繰り広げることになるのだが……。


「X-MEN」シリーズのキャラクターの一人、ウルヴァリン/ローガンが主役の「ウルヴァリン」シリーズ第3作で最終章です。

2029年において、その治癒能力が衰退しているローガンはもはやウルヴァリンではないのね。

年老いて認知症気味のチャールズは、その能力を抑制することができず、ローガンが手に入れてくる薬でかろうじて抑えている状態。匂いでミュータントの居場所を特定する能力を持つキャリバン(スティーヴン・マーチャント)と二人でチャールズの面倒を見ているのですが、キャリバンは太陽に当たると皮膚がただれてしまうため、日中は布で全身を覆っています。(吸血鬼ではないのね)

ガブリエラは遺伝子研究所の看護師でしたが、そこでは兵器用ミュータントの開発をしていて、ローラをはじめとする子供たちは兵器として育てられていました。でもドクター・ライス(リチャード・E・グラント)ら科学者がウルヴァリンの遺伝子から作ったクローンX24の完成で、試作品である子供たちを処分すると知り、ローラを連れて逃げ出し、ローガンに助けを求めたのです。

初めは拒否したローガンですが、ガブリエラが殺され、隠れ家も襲われて、渋々ローラとチャールズを連れて逃避行の旅が始まります。ローラは殺人兵器として育てられたため、世間の常識を知らず、敵には容赦なく襲い掛かるさまはまさに手負いの野獣さながらです。R指定がかかったこの作品の中で、戦いのシーンはかなりグロいし、幼い少女であるローラの姿も異様に見えます。

ローラはアダマンチウムの爪を手足に持ちますが、それもそのはず、ウルヴァリンの遺伝子から作られているの。いわば父娘の関係ですね。

逃避行の中で知り合ったマンソン一家との束の間の安らぎの時間は、拉致されたキャリバンの能力で彼らの居場所を知ったドクター・ライスらにより奪われ、チャールズとマンソン一家は殺害されてしまい、既に不死身の人ではなくなっているローガンも重傷を負います。

彼らがたどり着いたのはノースダコタ州・エデン。コミックの中のユートピアだ、作り事だと信じなかったローガンですが、実際に研究所から逃げ出せたミュータントの子供たちが集団生活を営んでいました。彼らはカナダ国境を越えて安全な地へ向かおうとしますが、そこにドクター・ライスたちが襲い掛かるのです。

ローラを守ってX24の前に力尽きたローガン。ローラはローガンが持っていたアダマンチウム弾でX24を撃ち、仲間とともに国境へ向かうのです。

ラストでローラが墓標の十字架を「X」の形に置き直すシーンがあり、本当にローガンの物語が幕を閉じたのだと実感させられることになります。いつもエンドロール後に登場する次回シリーズ作の予告がないことも、終わりを印象付けていました。

愛する者を次々失い、孤独に生きてきたローガンの中に初めて宿った父性愛に似た感情。死にゆく身を憂うのではなく、むしろ歓迎するかのような生きざまが痛いけれど、ようやく安らかな死の腕に抱きとめられた彼は幸せなのかもしれないな~と感じました。

生身の人間として(外見的に)劣化したローガンを演じるヒューもまた、シリーズ当初の若さは喪われていますが、円熟味の増した味わいがありました。


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