マリガヤハウス的日記

「マリガヤハウス」は、タガログ語で「幸せの家」という意味。フィリピンの幸せの家からお届けする幸せな日記をお楽しみ下さい。

日本語教室にビジターを迎えて

2005年09月24日 20時48分07秒 | Weblog
初めまして☆現在マリガヤハウスでボランティアをしている、瀬戸典子です。毎週土曜日に行われている日本語教室に、今日は静岡県立大学から7名のお客さんが訪問してくれました。今日の日本語教室の様子をレポートします

午前中は、幼稚園生から小学生対象のクラスが行われ、幼稚園クラスはマリガヤハウスのクライアントでもあるニンファさんが、小学生クラスはフィリピン大学に交換留学で来ているみずほさんが担当しました。幼稚園クラスは果物の名前や特徴をひらがなで書く練習、小学生クラスはひらがな50音表の暗記と、日本文化を知る一環としてあやとりをやりました。小学生クラスでは来週からひらがなのテストが行われるそうです。その後、ビジターと子供達がお互いに日本語で自己紹介をし合い、ビジターが持ってきてくれた折り紙やお手玉、シャボン玉、ケンダマなどで遊んだり、絵を描いたりして遊びました。始めはビジターになじめないでいた子供達も、徐々に打ち解けていったようでした。皆で楽しい一時を過ごせたのではないかと思います
お昼を一緒に食べた後も引き続き、ビジターと子供達で一緒に遊び、14時過ぎ頃からは高校生からお母さん対象のクラスを始めました。このクラスは、やはりマリガヤハウスのクライアントでもあり、日本語教師として働いてもいるリリアン先生が担当しています。ビジターも生徒に交じって授業に参加し、生徒がノートを取ったり、発音したりして日本語を熱心に学ぶ様子を見ていました。授業は15時半まで続き、その後12月に日本語検定を受ける人は残って、検定に向けての復習を行いました
日本語教室は、子供達にとっては同じ境遇におかれたJFCと親しむため、また日本にいる父親と将来日本語でコミュニケーションを取ることができるようになるための手段と捉えられています。お母さん達は、大抵の人は日本語を話せるのですが、文法や書き方はあやふやな人が多いので、それを学ぶために参加しています。日本語検定は、資格を取ることで仕事に結びつく可能性もあると考えられるので、現在大学生やお母さん達を中心に取り組んでいます。
普段は静かなオフィスも、子供やお母さん達が沢山集まる土曜日はにぎやかです

ボランティアさんの活躍(1)

2005年09月14日 18時53分51秒 | Weblog
7月からマリガヤ日本語教室の新学期が始まり、新しい日本語教師ボランティア、池田光子先生が参加してくださいました。なんとアメリカからの参加で、子供たちもワクワクドキドキでした。池田先生からの日本語教室体験報告をお届けします!(尚子)

私はアメリカの大学で勉強しています。両親がマカティに住んでいるので夏休みの度に帰省して、8月の頭にはまた学校に戻る、という生活です。今年は大学生活最後の夏ということもあり、有意義に過ごしたいと思ってボランティアをすることにしました。7月から日本語教室の新学期が始まり、私もバラ組(小学生クラス)とサクラ組(幼稚園クラス)のお手伝いをさせていただきました。実際にクラスに参加できたのは5週間だけでしたが、その前の準備の期間や、授業の間の打ち合わせを通して、他の先生方とも仲良くなることができました。日本語を教えるのは今回が初めてで、最初はとても不安でしたが、とても貴重な体験となりました!

私はバラ組でライティングと文化を受け持ち、サクラ組のライティング用のプリント作成もさせていただきました。夏休みの後で、生徒たちも少しは復習が必要だろう、ということで、最初の方の授業はひらがなに重点をおきました。テーマは動物。みんなで動物の名前や鳴き声を勉強しました。プリントを配ると、みんなもくもくと取り組みます。ホワイトボードでひらがなの穴埋め問題などをすると、みんな必死に手をあげて「せんせい!せんせい!」と自己主張をするので、誰に答えてもらうか決めるのが大変でした。

バラ組には今学期から新しく入ってきた生徒も二人いて、みんなに追いつけるか最初は少し心配でした。でも、それぞれ家でお母さんに教えてもらったり、友達にノートを見せてもらったりして、一生懸命頑張っていました。初めの方は恥ずかしがっていましたが、だんだんと質問にも答えるようになり、その成長には本当に驚きます。

新入生の二人も含め、子供たちは吸収が速くて、いつも驚かされます。前のクラスでやったことなどを復習すると、みんなけっこう覚えていたり、中には授業の前に少しノートの見直しをしている子も。プリントの作成や授業のプランなどは時間がかかりましたが、毎週、「次は何をしようかな」と楽しんで準備できました。

特に文化のセクションでは、いろいろ楽しみながら勉強できたと思います。いつもノートを取ったりするだけでは退屈だろうと思い、折り紙や歌などを取り入れるようにしました。また、7月の末には午前と午後に分かれてクッキングもしました。午前は子供たちのクラス合同で、ツナのおにぎり。みんな手にサランラップを持って、真剣に作っていました。午後は高校生クラスとお母さんクラスの合同で、カリフォルニア巻き。中身はツナやアボカド、かにかまやマンゴー、キュウリなど盛りだくさんでした。お母さんたちは流石に上手で、とても美味しかったです!

今回マリガヤ・ハウスでボランティアをさせていただいて、短い間でしたが本当にいろいろなことを教えていただきました。JFCの問題に関しても、この夏の体験がなかったら、きっと無関心なままだったと思います。お母さんたちや子供たちと直接触れ合う中で、今までどこか遠い世界で起こっているような「誰か他の人の問題」が、「自分の問題」になりました。

私は将来、人権関連のNGOや国際機関で働きたいと思っています。小さな頃から「児童労働を無くしたい」という漠然とした思いがあり、それが大学4年生になった今になって、今後の進路や就職といった形で、リアルに迫ってきています。そういう意味で、今回のマリガヤでのお手伝いは、NGOの抱える悩みや問題、実際にコミュニティーの人たちと働くことの楽しさなどを知る良いきっかけになりました。

次にフィリピンに戻れるのは、いつになるか分かりません…。5週間はあっという間で、もっとやりたいこともたくさんありました。短い間だったのに、スタッフやお母さん方もとても親身になって下さり、これから帰省する度に戻るところができたなぁ、と思っています。みんなにたくさんのことを教えてもらった分、私もこの体験を生かして、次へのステップにつなげていきます。

またお会いする日まで、みなさんお元気で! 今度は日本語でもっと会話できるようになるかな? 私もタガログ語を頑張ります。(文責:池田光子)

JFCを支えるネットワーク主催のスタディツアー

2005年09月08日 13時06分33秒 | 子供たちの笑顔
9月3日~10日までJFCを支えるネットワーク主催のスタディツアーが行われています。マリガヤハウスは3日~6日までのマニラ滞在のお手伝いをさせていただきました。以下に日本人参加者&JFC合同ワークショップの報告をしまーす。

今年のスタディーツアーのワークショップは、9月3日から4日にかけて、アンティポロの美しい山の中にある、ローレランドファームリゾートで行われました。ここからは、ラグーナの自然とマカティに建ち並ぶ高層ビルを一度に見渡す事ができ、景色は非常に綺麗でした。雨が降ったり、突然陽が射したりと、天気は思わしくなかったのですが、子供たちはみな夜の水泳やワークショップの活動を楽しんでいました。
 JFCのワークショップへの参加者は、10歳から22歳までの12名で、男の子が5名、女の子が7名でした。子供たちはみなマリガヤハウスのクライアントで、毎週日本語教室に参加しています。中にはJFCNETの奨学金をもらっている子もいます。一方、東京事務所からの日本人参加者は男性2名と女性3名でした。JFCと日本人参加者は共に、3~4名からなるグループを5つつくりました。
グループごとにグループ名を決めた後、それぞれグループ作業の後半のプレゼンテーションで使う紙や筆記具を受け取ります。グループ作業の中で、JFCはみな自分のライフストーリーを語ります。はじめに過去の経験、生まれた場所、誰から名づけられたのか、名前にはどんな意味があるのか、幼い頃の出来事で覚えている事などを話します。次に現在の状況、どんな学校に通っているのか、大学での専攻科目は何か、なぜその科目を選んだのか、そして現在の家族の状態について話します。最後に、これまでの経験を通じて考えた将来の夢や計画、期待などを伝えます。
 日本人参加者はグループのまとめ役になり、JFCにそれぞれのライフストーリーについて尋ねたり、グループ発表で使う模造紙に誰が書き込むか、誰がデザインするかを指示したりします。そして子供たちはみな、模造紙に書いた事に沿って過去・現在・未来それぞれについて絵を描きます。子供たちが絵を描いている間に、日本人参加者もJFCへのメッセージを絵で描き表します。
模造紙と絵が完成したら、グループでその発表をします。まず自分が描いた絵に関連付けながら、自身のライフストーリーを簡単に話します。そして、JFCは持参した、父親を思い起こさせるもの、あるいは自分にとってのお守りである大切なものについても説明します。
 全ての参加者がみな積極的にグループ発表に取り組んでいました。あるJFCの話では、以前は父親と一緒に暮らしていて幸せな家族だったけれど、今は父親だけが家族と離れて日本に暮らしており、彼女は母親と兄弟と共にフィリピンで生活しているということでした。現在彼女は大学生で、将来看護婦になって病気の母親の面倒を見るために、看護学校に通っています。またいつか日本に行って、父親の世話もしてあげたいと思っています。彼女が描いた絵からも、彼女が心の優しい子であることがわかります。将来に対して良い展望を持っており、夢をかなえるために一生懸命頑張っています。
 また他のJFCは、日本にある亡き父のお墓を見て、お祈りを捧げたいと言いました。亡くなった父親が天国から家族を導いていてくれる限り、彼は母親と妹の面倒を見ると約束しています。
JFCの中には、生まれてこのかた知り合う事が出来なかった父親に会いたいと思っている子もいます。日本の父親と話して、声を聞いて、父親が好きなものを知って、直接会いたいと思っているのです。
ほとんどのJFCは父親と会話し、日本語や日本文化を理解するために、日本語教室に参加し、勉強しています。彼らは自分のふるさとを知り、日本語で読み書きできるようになりたいという強い希望を抱いています。
JFCの参加者はみな、遠く離れた父親に、息子・娘として心から愛している気持ちを伝えたいと言っていました。生命を与えてくれた人に対する愛を大切に届けたいと切に願っているのです。
ある日本人参加者は、“JFCはみな、全ての父親はいつも子供のことを愛しているということをずっと忘れないでいてほしい”と書いていました。
ある日本人女性参加者からのメッセージは、“JFCには将来フィリピンと日本とをつなぐ希望の星になってほしい”というものでした。希望を失わず、努力し続けてほしいというメッセージです。
このワークショップを通じて、私達は子供たちの内に秘めた感情から、彼らを取り巻く生活や人々まで、普段は見ることのできない様々な想いを知ることができました。これは、子供たちとより深く接するための手助けとなりました。
子供たちはいつも笑ったり、冗談を言ったりして、今あるものに満足しようとしていますが、心の奥深くには、現状に対する寂しさのために穴が開いてしまっているのです。JFCは日本の父親の存在を強く望んでいます。彼らはみな、父親に欲しいものを言い、思ったことを伝え、そしてできることなら、父親のそばにいて触れたり、抱きしめたり、大切にしてあげたりしたいと思っているのです。
このワークショップでは、全てのJFCが自分のライフストーリーを語ることを通じて、彼らに生きる目的を理解させるという目的が、十分に達成されたと思います。子供たちは人生の苦難を乗り越えることのできる、強い人間になります。彼らが自己を向上させるために、弱点を克服し、長所を頼りに生きていくことは、自分自身をより理解する事につながるでしょう。(文責:ルーデス高橋・翻訳:瀬戸典子)

初めまして、マリガヤハウスです!

2005年08月31日 13時12分49秒 | Weblog
マリガヤハウスとは

「マリガヤハウス」は、タガログ語で「幸せの家」の意味。日本人の父親に養育を破棄されたジャパニーズ・フィリピノ・チルドレン(JFC)の幸せを願い、JFCを支えるネットワーク(事務局・東京)が1998年にフィリピン現地事務所として開設しました。以来、マリガヤハウスでは、JFCの人権擁護と健全な成長を目指した支援を行っています。


JFCの現状
1980年代から日本へ働きに行くフィリピン人女性の増加に伴い、日本人男性との出会いが増え、両者の恋愛、結婚、そして両者間に生まれる子どもたちも増加しています。幸せな家庭を築いている日比家族も増えていますが、中には日本人の父親に養育を放棄されるなどのために、精神的・経済的に苦しい生活を余儀なくされている子どもたちも非常に多くなっています。こうした子どもたちとその母親の人権を守る目的でJFCを支えるネットワークが1994年に設立されて以来、現在までに正式に受理した相談件数は635件に上っています。

活動内容

Psycho-social Intervention Program (PSI) (心理・社会的介入プログラム)

電話相談や訪問相談の対応、個別ケースの聞き取り調査や家庭訪問、法的アドバイス、母子のカウンセリングなどを行っています。東京事務所では、JFC弁護団(JFCのためのボランティア弁護士の集まり)と連携して、JFCの父親探しや認知・養育費を求める交渉、調停や訴訟などを実施しています。

Training &Education Program (TEP) (トレーニング・教育プログラム)
日本語や日本の文化に慣れ親しみ、「ダブル」としての誇りや長所を伸ばせるよう、日本語教室・ワークショップを行っています。母親に対しては、法律・法的手続きセミナーほか、移住労働者やジェンダーのワークショップセミナーを行っています。自助組織作りをすすめ、リーダーの育成や精神的サポートを目指しています。父親からのサポートが得られないJFCに対して奨学金も支給しています。
また、JFCの包括的な社会的支援体制を作っていくために、以下のプログラムを通じて市民への啓発やアドボカシー、団体強化などを行っています。

Research & Publications Program (RPP) (調査・出版プログラム)
来日するフィリピン人女性のためのハンドブック作成プロジェクトを実施中。2004年にフィリピン政府機関などを通じて配布予定です。その他、ミニ図書館の管理、ニュースレター作成など。

Advocacy & Networking Program (Ad Net) (アドボカシー・ネットワーク)
在比日本大使館との協議や、フィリピンNGOと連携してフィリピン外務省などへの働きかけをしています。

Finance & Administration Program (FAP) (財務・事務局運営)
組織の運営、事務局のメンテナンス、資金集め、プロジェクト開発やスタッフの能力開発などを行っています。