「イグ・ノーベル・ドクター新見正則の日常」について

  2016/3/4、読売オンラインにある「イグ・ノーベル・ドクター新見正則の日常」というコラム「低周波音、健康被害との因果関係は?」について。こうした無知とまで言いませんが、知ったかぶりの医師が専門家ぶって述べることは看過できないと、「コラムへの意見・質問などは  こちらにとあったので、一応メールしました。社では恐らく誰の目に入ることも無く、今頃はゴミ箱行きでしょうから、一応、自分の脳を使った証拠を残すために、加筆、修正して載せます。

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 貴紙が過日(2016年02月28日)「低周波音苦情相次ぐ…家庭用省エネ機器原因か 不眠、食欲低下…年200件超」 と言う記事に関連し、2016/3/4、読売オンラインにある「イグ・ノーベル・ドクター新見正則の日常」というコラム「低周波音、健康被害との因果関係は?」において述べられている新見氏の低周波音問題に対する見識の無さと同時に元記事がどうした意図で書かれたかの域を越えて、低周波音問題の一般論にまで及んだのは良いが、その知識不足と考察力の無さに唖然としています。単に医師であると言うだけのよう理由で、執筆者として迎えている貴紙の態度に大いに疑問を持ちます。

>まず、僕は低周波音が高率に健康障害を起こすとは考えにくいと思っています。…。産業医の先生方からそれらの低周波数の音で健康を害したという報告は多くはありません。つまり、自分の仕事場の音であれば健康被害に繋がりにくいのです。

 「産業医の先生方からそれらの低周波数の音で健康を害したという報告は多くはありません。」その通りです。作業時という緊張状態では低周波音被害は起きません。その機序は割愛しますが、「低周波音で「不眠」「食欲低下」…健康被害の相談、年200件超」という記事の要点は「省エネ対策で急速に普及した家庭用発電装置や給湯機器が発生源」による低周波音が比較的「高率に健康障害を起こす」と言う点です。一般環境に存在する低周波音や、まして「自分の仕事場」での低周波音によって「高率に健康障害を起こす」などとは述べていません。もし、そう氏が読み取れたのならそれは記事か氏の読解力に問題があるのでしょう。

 この記事で採り上げられているような、現在、低周波音振動被害者として”手を上げている人たち”のほとんど全ての人たちは「自分の仕事場での低周波騒音」によって健康障害を起こした等とは全く述べていません。仕事場での低周波音被害についてはVAD(Vibroacoustic disease=振動音響病)として飛行機のパイロットに起きるとの研究が報告されているくらいです。因みにこの研究のメインであるDr Mariana Alves-Pereira氏の専門は「physics, biomedical engineering and a PhD in environmental science」とある。かなり前から風車の低周波音問題で忙しいようだ。

>違いがわかりますか。自分にとって生活の糧であって、そんな音も致し方ないと思えれば「OK」、一方で突然に変な音が、心地よかった環境に侵入してくると「ノー」、当たり前と言えば当たり前の感情ですね。

 「その当たり前の感情」である、しかも、休息のために我が家に戻って、明日の「生活の糧」ために休もうとする夜間から早朝にかけて、「家庭用発電装置や給湯機器」は稼働を始め、「突然に変な音が、心地よかった環境騒音」を毎日乱し続け始め、明日の「生活の糧」への休息を乱し続け、不眠をもたらすのです。それがOKと言えますか。

 そうした事態を低周波音被害者は「今さら、くよくよするよりも、致し方ないと思って受け入れる」べきだとでもおっしゃるのですか。氏は低周波音が聞こえる「仕事場と家庭という状況的立場の違い」と、「騒音の継続の時間帯(睡眠時)と時間数(睡眠時延々と)の違い」の二点が全くお解りになっていらっしゃらない様である。

>確かに海外の論文などには低周波音が直接に健康被害を引き起こすというものもありますが、その頻度はそれほど多くはないと僕は思っています。どの程度の頻度かを確かめるには、船や工場など、低周波音の環境下で働いている人の健康状態のチェックをすると概要がつかめると思っています。

 私が個人的には「その頻度はそれほど多くはない」と思っている、奇病、難病の類いの病気が「どの程度の頻度かを確かめる」事から治療と対策は始まるのでしょうか。頻度により”病気”に昇格するのでしょうか。例えば、花粉症は頻度が高い上に、原因も判っているのに対処療法しかなく、耳鼻咽喉科の「稼ぎ頭」の「病気」となっています。低周波音被害者の”患者数”は花粉症に比べれば「頻度」は非常に低いでしょう。と言うことなのか、一応、環境省(=国)は、何をしているのか解りませんが、その原因を今もって延々と『調査中』です。しかし、原因が解らないためか、解りたくないためか病気であるとも無いとも言いません。
敢えて、低周波音専門学者に「聞こえない音で、被害は無い。単なる気のせい」等と言わせて放置して居るのが現状です。

 それを今更、その状況について、まずは頻度を調査しろとは、何と遅れた認識でしょうか。もちろん産業医による職場の状況で無く、一般環境に存在する低周波振動被害者であればそれなりに意味があります。しかし、その結果頻度が低ければどうなのでしょう。病気では無いのですか。風車被害もそもそも”苦情”があった時になるべく少なくするために人口の少ない地域に造り、被害者を少なくしているのは「頻度」の問題でしょうか。少なくとも風車騒音問題は低周波音被害として問題にもされていません。

 低周波音問題については、国は既に何十年も「調査」を続けているのです。今更「概要」については良ーーくご存じだと思います。ご存じないのは医学界です。

>実際に僕自身は、夜中に空気清浄器の低周波音は気になるのでオフにして寝ています。

 実はこれまでの氏のご意見は低周波振動被害者からすれば単なる無理解による自己解釈にすぎないと、見過ごすことはできるのですが、この”下り”は氏がいかに低周波音被害が発生するかの最大の理由の一つを知らずして述べているという証明として見過ごせません。と言うより、こんな低周波音被害の常識的な知識を知らずして、専門家ぶって能書きをたれることが、どれほど被害者の被害感を逆撫でして、増幅させるのかまるでお解りにならない様です。

 それは「他人の家の低周波音騒音源」はいくら気になっても「オフ」にして寝ることが出来ないのです。これを騒音源の「アンコントラビリティ(=非支配権)」というのですが、これこそ低周波音被害者を生み出すそれこそ「心の問題を介しての因果関係」の決定的な理由の一つなのです。

 この件に関しては、「参照値」を作成し、当該記事にコメントを寄せている低周波音問題の専門家の一人の山田伸治氏さえ、「隣家の低周波音発生機器のスイッチを持っていれば低周波被害は起きない」と言うようなことをどこかに述べられていたような気がします。「自分でスイッチが切れない」とうことが低周波騒音問題の根本的原因の一つと言うより、これに尽きるとまで言えましょう。

 「嫌な音だなと思ったらオフ」にできれば低周波音問題は生じないくらいこの問題において心理的要因を欠くことはできないのです。ですから被害者切り捨てツールの「参照値」でさえ、「低周波音による物的苦情に関する参照値」「低周波音による心身に係る苦情に関する参照値」と2種に別けているのです。

 氏の考えでは、低周波音の物的要件のみが直接的原因と考えてみえるかのようです。わざわざ国でさえ、心的影響と物的影響と考えている点を考えず、「心の問題を介しての因果関係」を「直接に病気としての原因」とはなり得ない様な論法は、氏はウイルスとか、ガンとか、打撲とかの直接的要因が無ければ病気ではないと考えているのでしょうか。

 「病は気から」と言う極々一般的な言葉をご存じないのでしょうか。仮に、病の原因から「心の問題」が除外できれば鬱などと言う心の病は起きません。「いじめ」も殴る蹴るの行為は原因となっても、「しかと」などは原因にならないのでしょうか。

>耳鳴りで困っている患者さんには敢えて低周波音を発する機械を枕元において寝ることも勧めています。耳鳴りが気にならなくなることがあるからです。

 低周波音は耳栓(最高級耳栓Bose QuietComfort ノイズキャンセリングイヤホン)で防ぐことは出来ません。ほとんどの低周波音被害者は低周波音の影響を少しでも小さく(「気にならなくなる」)しようと、自己発見的に、CDをかけたままにするとか、冷蔵庫の騒音の横で寝るとか、「毒をもって毒を制す」の様々なマスキング方法を考え、実行しています。因みに低周波音被害は耳鳴りとは関係ありません。
 
 しかし、こうした考えが一般人の中でも医師という専門性をもった人間でも低周波音問題について無理解であると言うことが判明した点では、読売新聞が掲載した意味は大いにあります。もちろん、氏が、イグ・ノーベル賞受賞者として、”ホンの冗談”的意味合いで述べられたとしても、それは低周波音被害は「単なる気のせいで、外的要因は無い」とする低周波音”専門家”業界の定説と同列で有り、そこには何ら”冗談的ユニーク”な発想は無く、単に、真剣万剣、低周波音被害に苦しんでいる”低周波音受難者”に怒り心頭をもたらしただけです。

 「医療従事者であれば、(報道を見て)頭から信じる前に原文をしっかり読むことが必要です。大切なことは、いろいろな情報に精通して、そして患者さんの「いろいろ感」を考慮して、バランス良く考える」とは氏が「本当はいくつ?」血圧を巡るデータに素朴な疑問  医療を巡る報道、妄信しないで」で述べてみえることでありあまり目くじらをたてるまでもない事なのかも知れませんが、少なくとも「患者さんの「いろいろ感」を考慮して」いただきたいモノです。

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